アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ #3
ズンズンズンズズキューワキュワーキュキュ!ズンズンズンズズキューワキュワーキュキュ!ハッカードージョー内に、鳩尾を殴られるほどの重低音サイバーテクノが鳴り響く。ゼンめいた神秘的アトモスフィアは無残にも引き裂かれ、雲散霧消していた。 24
2012-01-17 00:58:22「グワーッハッハッハッハ!グワーッハッハッハッハ!」最新鋭のUNIXサーバーに赤色LED表示される数字は、ひたすら上昇を続けていた!スゴイ!すでにジロが数えられる桁を突破している!だが彼はまだ満足していない!「もっとだ!満タンまで入れろ!グワーッハッハッハッハ!」 25
2012-01-17 01:01:52チャブの上に悠然とアグラをかき高笑いするグリーンエレファント。隣のチャブでは、サブロがニュービーハッカーの1人と向かい合って、殺人的な1対1のハッキング遊戯を行っていた。「ハァーッ!ハァーッ!」ニュービーは目を血走らせてUNIX画面を見つめ、死に物狂いでタイピングしている! 26
2012-01-17 01:06:38ジロの座るチャブの横には、正座の姿勢を取るヤマヒロとソダワ師範。乱入から現在までの10分間、彼らはこれ以上無い屈辱を味わい続けていた。「……この薄汚い嘘吐きのヤクザめ!」小声で罵るソダワ。「相手はニンジャだ。これしか、ねえんだよ。俺たち2人が生き残るには…」震えるヤマヒロ。 27
2012-01-17 01:11:37「アイエエエ!」ハッキング対決を行っていたニュービーが、首の後ろのバイオLAN端子から煙を吐き出し死亡した。やはりニンジャのタイピング速度にはかなわぬのか。「フゥーッ……飽きたしちょっとトイレ」「アレーッ!」ガスバーナは胸の豊満な女ハッカーを小脇に抱えてトイレに向かった。 28
2012-01-17 01:17:27こうした数々のマッポー的光景を、映画のスクリーンを見るような目で見ながら、タロはドージョーの隅でひとり、ヌンチャクを振り回していた。ブラックジーンズ、スニーカー、黒いダウンベスト、偽物のニンジャ頭巾……どこで何を間違ったのだろう。悪い夢をみているようだ。あの夜から、ずっと。 29
2012-01-17 01:20:28「……なあ解ったろ、ソダワ=サン」ヤマヒロはハッカー師範がやけを起こさぬよう、この世の道理を教え諭すように、小声で語っていた「ここはこらえるんだ。死んだら終わりだ。ニンジャには絶対に勝てない。一般人がヤクザに勝てないのと同じだ。蟻が人間に勝てないのと同じだ。食物連鎖なんだ」 30
2012-01-17 01:23:45「なあ、おい」突然、グリーンエレファントがチャブを下り、ヤマヒロに対して顔をぬうっと突き出した「俺のことバカにしてるだろ?」「アイエッ!?してません!」「俺に嘘ついてるだろ?だってさ、お前、ハッキングのこと何も命令してないじゃん?そこの爺さんだけいりゃ、いいんじゃないの?」 31
2012-01-17 01:26:57「実際そうです」ソダワが復讐心に満ちた老狐の目で言い放った「フリーランスヤクザの用心棒です!ハッキングには支障ありません!」。インガオホー!門下生を惨殺されたソダワは、やり場の無い怒りをついに爆発させたのだ!ヤマヒロは全身の血が零下まで冷え切っていくような絶望感を味わった! 32
2012-01-17 01:31:05(親愛なる読者の皆さんへ:本日は「深刻なNRSから読者の皆さんを守るためのコンプライアンス作りについて」という議題で翻訳チームの緊急IRC会議が入りましたので、アイキャッチ状態で止まっている「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」の更新はありません。カラダニキヲツケテネ!)
2012-01-17 22:18:32■※コン=コンベンション■ なお、本日の更新は二本立てを予定しております。なお、ヤクザ天狗の話は夜です。カラダニキヲツケテネ! ■今から本編更新がはじまる■
2012-01-18 13:16:40■なんたる事か■鰤■ なんらかのIRCインシデントにより今日のヤクザ天狗更新は無くなりました。ごあんしんください。 ■焦らしてはいない■
2012-01-18 21:40:07「なあ、おい」突然、グリーンエレファントがチャブを下り、ヤマヒロに対して顔をぬうっと突き出した「俺のことバカにしてるだろ?」「アイエッ!?してません!」「俺に嘘ついてるだろ?だってさ、お前、ハッキングのこと何も命令してないじゃん?そこの爺さんだけいりゃ、いいんじゃないの?」 31
2012-01-19 21:37:49「実際そうです」ソダワが復讐心に満ちた老狐の目で言い放った「フリーランスヤクザの用心棒です!ハッキングには支障ありません!」。インガオホー!門下生を惨殺されたソダワは、やり場の無い怒りをついに爆発させたのだ!ヤマヒロは全身の血が零下まで冷え切っていくような絶望感を味わった! 32
2012-01-19 21:37:58ドージョーの入口を見張るタロは、撲殺されたマグロのように澱んだ目で、鎧ヤクザとジロのやり取りを遠くから眺めていた。ハッカーを逃がさないよう、弟たちに命令されたからだ。あのヤクザは殺されるだろう……タロはまだ、人が目の前で死ぬということに対してまっとうな恐れを抱いていた。 33
2012-01-19 21:44:09「ハッキング完了まであと何分だ?」グリーンエレファントがソダワ師範に問う。「5分はかかります」苦々しい口調でソダワ。「よし、じゃあ、暇だし、あっちでカラテしようぜ。5分で殺してやるからよ」グリーンエレファントはヤマヒロの兜飾りを掴んで持ち上げた。無言で立ち上がるヤマヒロ。 34
2012-01-19 21:48:28グリーンエレファントに背中を押されながら、ヤマヒロはゴルゴダの丘に向かうジーザスのごとき悲壮さで、あるいは十三階段を登る死刑囚の如き思いで、赤い畳で囲まれたカラテゾーンへと歩いていった。脱出手段を考えたが、皆無だ。後ろからは、嘘吐きは死ねと罵るソダワの声とニンジャの笑い声。 35
2012-01-19 21:55:35ニンジャとヤクザはタタミ3枚離れ、カラテ距離で向かい合った。「ドーモ、グリーンエレファントです」先にニンジャが嘲笑うようなアイサツを決める。ヤマヒロはもう死を覚悟していた。あとはどう死ぬかだけだと思った。そう思うと気が晴れた。勝ち目の無い戦いだ。せいぜい華々しくやってやる。 36
2012-01-19 22:05:22「……ザッケンナコラー!」ヤマヒロはファイティングポーズを取り、腹の底から声を搾り出した。レッサーヤクザだった頃のハングリーさが、彼の中で蘇ったのだ。続いて威勢のいいアイサツが、ハッカードージョー内に響き渡った「キルエレファント・ヤクザクラン所属!ヤマヒロ!ドーモ!」 37
2012-01-19 22:10:52「グリーンエレファントだと?ガキが、ふざけた名前付けやがって。象は俺だ!ムテキの殺人象だ!スッゾコラー!」ヤマヒロは理不尽への怒りに燃えて突き進む!クローンヤクザの台頭による経営破綻!追い討ちをかけるように現れた新興組織ソウカイ・シンジケートとニンジャ!せめて、一矢報いる! 38
2012-01-19 22:17:22