アウェイクニング・イン・ジ・アビス #3
「て事は、正解はカタナかテンプルかモタロだ。だがそんなトロッコは無い」ガンドーは渋面を作った。タペストリーを撫でる手が止まる。「……いや、まて」彼は注意深くタペストリーを注意深くめくった。 47
2012-01-31 14:35:30ナムサン!ここがネオサイタマTVのオイランクイズ放送であれば、キャバァーン音が鳴らされた事であろう。タペストリーの裏側には四つの小さなくぼみがあった。それぞれ、タペストリーがかかっていれば「モタロ」「猟犬」「モンキー」「孔雀」の文字の位置!「オイオイオイ!」「……モタロだ」 48
2012-01-31 14:39:13ガンドーは一瞬ためらったのち、「モタロ」の位置の窪みに指を差し込んだ。ガチャリと仕掛けが動く音が壁の向こうで鳴った。「さあどうなる……」二人は周囲を警戒する……。 49
2012-01-31 14:41:15ゴゴツ、ゴゴゴ!なんらかの機構が唸りを上げ、彼らの眼前の三台のトロッコが床に収納された!それだけでは無い!三つのレーンが分離しながら配置を変え、組み合わさって、新たな一本のレーンを形成したではないか!さらに手前の床が開き、新たな一台のトロッコがせり上がってきた! 50
2012-01-31 14:57:46ゴウランガ!なんたる奥ゆかしくかつ大掛かりで謎めいた古代人の秘匿技術か!「オイオイオイ!大掛かりなもんだぜ!だが結局トロッコだ。参るよな」ガンドーはトロッコに乗り込んだ。「早く行こうぜ!ニンジャスレイヤー=サン。ザイバツにはウミノ=サンの謎解きがある。時間が無いかも知れんぞ」51
2012-01-31 15:06:06「レバーは私がやる」ニンジャスレイヤーは後ろ側に乗り込み、レバーを掴んだ。やはり硬い!「ヌウーッ!」力を込めて漕ぐと、トロッコが徐々に進み出す。レーンは下り坂へ差し掛かり、トロッコが加速を開始する!「イヤッハー!」ガンドーが風を受けて叫んだ。ジェットコースターめいた速度! 52
2012-01-31 15:21:56風が唸り、ガンドーの白髪やニンジャスレイヤーの装束をはためかせる!急カーブだ!「ウオオーッ!ヤバイヤバイ!」強烈なGを堪え、ガンドーはトロッコの縁にしがみつく。ニンジャスレイヤーは持ち前のニンジャバランス感覚を発揮し、さほど苦もない様子、流れゆく周囲の様子を警戒する! 53
2012-01-31 15:28:57さらにカーブ!そして下り坂!「ウオオーッ!」その後トロッコは一直線に進行!やがて前方、トンネルの両壁に、円く口を開けた穴が近づいてくる。左右それぞれの穴の中からは別のレーンが吐き出されており、このトロッコのレーンに合流・並走する形となっている……ナムサン!見よ! 54
2012-01-31 15:34:03左右の穴から別のトロッコが飛び出したのだ!トロッコにはそれぞれ三人ずつのクローンヤクザが乗り込んでいる。それがニンジャスレイヤー達のトロッコを並走しながら追ってくるではないか!「ザッケンナコラー!」クローンヤクザ達はアサルトライフルで狙う! 55
2012-01-31 15:36:27「オイオイオイ!ふざけるなよ……!」ガンドーは素早く49口径マグナムで右後方のトロッコを狙い、発砲した。BLAMBLAM!「グワーッ!」「グワーッ!」クローンヤクザ二人がトロッコから転落!ガンドーが急いでトロッコの中へ身を沈めると、銃弾が無数に車体を跳ねる! 56
2012-01-31 15:42:45「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは左後方トロッコめがけスリケンを投擲、アサルトライフルを激しく撃ち込んできたクローンヤクザの脳天を破壊!「グワーッ!」ポイント倍点!「イヤーッ!」さらに投擲!「グワーッ!」さらに一人をヘッドショット重点!「チェラッコラー!」57
2012-01-31 15:47:45ナムサン!右後方の残るヤクザが身をかがめ、ロケットランチャーを取り出して構えた!「ヤバイヤバイヤバイ!RPGだとォ!?」ガンドーは慌てて銃弾を撃ち込む!BLAMBLAM!カーブ!当たらない!「スッゾコラー!」引き金が引かれんとす!BLAM!「グワーッ!?」 58
2012-01-31 15:51:47RPGヤクザが仰け反る。必死の銃弾がロケットランチャーの側面に当たり、そらしたのだ!ロケット弾は花火めいた光る煙の尾を引いてニンジャスレイヤー達のトロッコの横をすり抜け、そのまま旋回して壁に衝突!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーのスリケンがRPGヤクザを殺害! 59
2012-01-31 16:00:53「ダッテメッコラー!」右後方トロッコはもはや無人!残るは左後方のトロッコに一人!アサルトライフルを乱射!だがここで右へ急カーブだ!「ウオオオーッ!」ガンドーは振り落とされそうになりながら必死でトロッコを掴む。ニンジャスレイヤーはニンジャバランス感覚によりものともせぬ! 60
2012-01-31 16:05:49「グワーッ!?」だがクローンヤクザはダメだ!身を乗り出してアサルトライフルを撃っていた事が仇となった。悪魔めいた遠心力でトロッコから壮絶な速度で振り落とされ、斜めに吹き飛ぶ!「アー……アバッ!」インガオホー!トロッコは爆走、周囲のトンネルはいつしか狭い剥き出しの鍾乳洞に! 61
2012-01-31 16:09:08ゴウゴウと空気が唸り、前方からなにか暗い霧めいたものがトロッコを包み込む!「グワーッ!グワーッ!ペッ!ペッ!」ガンドーが悲鳴をあげる。ナムサン!洞窟コウモリの大群に出迎えられたのだ!ニンジャスレイヤーはトロッコの後ろ側であったため、身を沈めるだけで問題無し! 62
2012-01-31 16:17:00鍾乳洞が開ける!そこは再び人の手が加えられた空間、地下鉄駅のホームめいた場所だ!ニンジャスレイヤーは力任せにブレーキをかける!「イヤーッ!」前方は行き止まりだ!「ウオオーッ!ヤバイヤバイヤバイ!」「イヤァァーッ!」CRAAAASSH! トロッコは転倒!二人を投げ出す! 63
2012-01-31 16:33:30「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは突き当たりの壁を蹴って跳び、くるくると回転しながら着地した。タツジン!「グワーッ畜生!」一方ガンドーはブザマに地面へ落ち、ゴロゴロと転がってようやく停止した。「……トロッコは。ああ。ああ二度とごめんだ。ブッダ」64
2012-01-31 16:38:25二人は新たな門を見上げる。やはりこの門の入り口にも、ザイバツ・シャドーギルドのエンブレムが書かれた禍々しい旗が垂らされている。「この騒ぎ。様子を見にくるかね」「判らぬ。備えろ」ニンジャスレイヤーはこの先で遭遇するであろう「先客」の微かな気配を、確かに感じ取っている……。 65
2012-01-31 16:46:45(第二部「キョート殺伐都市」より:「アウェイクニング・イン・ジ・アビス」 #3 終わり。#4へ続く)
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