クローズアップ現代『“必修化”は大丈夫か 多発する柔道事故』 書き起こし
- toshihiro36
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<ナレーション> 必修化を前に、教師自身の指導力を高める講習会が各地で開かれています。体育教師の多くは柔道の経験がありません。初心者のために、道着の着かたや帯の締め方から教えます。講座は全部で6時間。文部科学省が例示している技をひととおり習得させます。
2012-02-07 20:41:58講師: 目標の設定をどこにするかというのが一番大事だと思うんです。3年間通して受け身までいったら十分だという学校もあると思うんです。
2012-02-07 20:46:14参加した教師: ちょっと安心する。ど素人が「柔道して下さい」と言われたら、「試合までさせてあげないと」と勝手に想像しちゃうんで。そのへんはすごいほっとした。
2012-02-07 20:49:36<ナレーション> 世界には指導者の質を高めたことで、子どもの死亡事故をなくした国があります。柔道の強豪国フランスです。柔道人口は日本の3倍。スポーツを楽しみながら、礼儀を学べると人気です。フランスでは50年以上前に起きた1件の死亡事故をきっかけに徹底した安全対策をとりました。
2012-02-07 20:55:35<ナレーション>続き)指導者に国家資格制度を導入したのです。国家資格をとるための講座です。資格を得るには、少なくとも380時間のカリキュラムを終了しなくてはなりません。生理学やトレーニング法、救急救命の方法も学びます。最低2段の段位も必要です。
2012-02-07 21:00:09フランス柔道連盟・担当者: 選手として優秀な柔道家も、正しい受け身を指導できなければ、絶対に国家資格は得られません。生徒を危険にさらすことなく安全に指導するのは、すべての指導者にとって最優先の課題です。
2012-02-07 21:03:56<ナレーション> 日本の武道の精神を学ぶことと、子どもの安全を両立させたフランス。必修化を目前に控えた日本に、何が必要なのか問いかけています。
2012-02-07 21:06:17スタジオに戻ります
国谷:フランスでは指導者になろうとすると、400時間近いカリキュラムをこなして国家資格を取って…中には救急救命士にならないといけないと。日本とは大きな差があるわけですけれども、何が根本的に日本と違うんですか、日本とフランスと?
2012-02-07 21:09:51二村:日本はやはり競技の方に視点の比重がかかりすぎているかなと思いますね。安全指導という面と正反対の方向に行っているかなと思いますね。
2012-02-07 21:12:39二村: 教育ですね。特に道徳教育。これは柔道の原点ですね、加納治五郎が始めたときの。その原点がいまだにずっとフランスでは生き続けているという風に思います。
2012-02-07 21:17:34国谷:事故の経緯を見たりしますと、練習中にすでに意識障害が起きているのに、そこからさらに練習を続けて取り返しのつかなくなったケースもあるわけで。やはり先生方には子どもの異常をやっぱり…身体の異常を見極められる能力を持ってほしいですよね。
2012-02-07 21:21:22二村:やはりこれは…安全指導に関しては不十分だと思います。柔道そのものの技術的な指導も、いまの現場の先生方に不十分だと思いますので、やはり柔道のベテランの方に入っていただいて、一緒になって先生方も憶えていただくという姿勢を作るといいんじゃないかと思います。
2012-02-07 21:29:35二村:全柔連の方も警察の方も、「OBをしっかり出す」と言ってくれていますので。ぜひ、そういう体制を作っていただいて、先生方と一緒になってやっていくというのがいいんじゃないかなと思います。
2012-02-07 21:32:15二村:そうです、「教育委員会からの要請があれば、いつでも出す準備はある」と言っておりますので、ぜひそういう体制を作っていただきたいと思いますね。
2012-02-07 21:35:24二村:そのほかに…もしも事故が起こった時の検証をする第3者機関をぜひ取り入れてほしいと思います。それを立ち上げて、事故例をきちんと分析して。そうしますと原因がはっきりわかれば、今度は予防対策を策定できますので。そういうシステムをぜひ作っていただきたいなと思います。
2012-02-07 21:40:42