米国のデザイン教育から学んだこと

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Masato @masato_io

ここでデザインプロセスに関する内容は終了して、次はTypography(タイポグラフィ)講義へ。

2012-03-17 18:52:28
Masato @masato_io

タイポグラフィとは、活字を適切に配列することで、文字の体裁を整える技術です。例えば読者の方が今ご覧になっているこの文章も、一つ一つの文字が横や縦にスペースを保ちながら並べられることで読むことが出来ます。

2012-03-17 18:53:19
Masato @masato_io

文字と文字との間隔、センテンスごとの間隔、センテンス上下一行づつの間隔、これら全てには名前があり、グラフィックデザイナーはこれら全てのスペースを調節します。

2012-03-17 18:53:46
Masato @masato_io

一行に何文字を入れて、文字間隔はどれくらいに設定するべきなのかといった作業も、実は感覚ではなくて視認性を高めるために定められたルールが数多くあります。グラフィックデザイナーはこれらのルールを適応しながら、理論的に文字情報を配置していきます。

2012-03-17 18:54:07
Masato @masato_io

またタイポグラフィ講義では、デザインで使用してもOKなフォーマルなフォントリストが生徒に配布され、基本的にそれ意外のフォントを授業で利用することは推奨されません。

2012-03-17 18:54:48
Masato @masato_io

理由はシンプルで、デザインに利用出来るような美しいフォントというのは実際には非常に限られていて、無料で配布されているようなフォントは視認性や実用性が非常に低いためです。

2012-03-17 18:55:02
Masato @masato_io

フォントで有名なブログと言えばここですね。http://t.co/ofgK1W1O

2012-03-17 18:56:27
Masato @masato_io

また、それぞれのフォントの組み合わせにも相性があり、どのフォントがどのフォントとマッチするのかという相性なども学びます。こうして学生達は様々なフォーマルなフォントと慣れ親しみ、どのようにデザインへと適応させるのかを具体的に学んでいきます。

2012-03-17 18:56:40
Masato @masato_io

ちなみに僕の大学のデザイン学生は、タイポグラフィのクラスをA, B, Cと3つ取らなければ卒業出来ません。これは視覚デザインにおいて文字情報が占める割合は非常に重く、タイポグラフィが出来ることはグラフィックデザイナー/Webデザイナーにとっては必須であるためです。

2012-03-17 18:56:59
Masato @masato_io

8. 中国系移民の教授から学んだ移民の可能性 僕は米国のデザイン講義を担当する教授から、デザインだけではなく英語を第二言語とする移民が秘める可能性についても学びました。

2012-03-17 18:57:57
Masato @masato_io

僕は留学当初、明らかに中国なまりで英語も不完全な中国系移民の教授が、数多くの人気デザインクラスを担当しているという事実に驚きを隠せませんでした。彼は中国から米国大学へ留学し、その後デザイナーとして働いた後に、米国の大学でデザイン教授として働き始めたのだそうです。

2012-03-17 18:58:25
Masato @masato_io

アジアからの大学留学生が、後に海外就職を果たし、米国で人気デザイン講義を掛け持って教えるまでになるという彼のストーリーは、留学生の僕にとっては感動的ですらありました。

2012-03-17 18:58:49
Masato @masato_io

そんな中国人教授が使う英語はシンプルにして明快であり、授業内容も中国と米国のデザイン事情を交えながら教えるという移民ならではの独自スタイルを確立しています。

2012-03-17 18:59:08
Masato @masato_io

特にカルフォルニアでは様々な文化背景をもった教授や生徒達が同じ教室で学びあうので、講義内容だけではなく彼等の文化や考え方を知り、自分のデザイン的な視野を広げることが出来ることも一つの魅力かも知れません。

2012-03-17 18:59:10
Masato @masato_io

さて、ここから米国でのアカデミックインターンシップの話しへ。

2012-03-17 19:01:21
Masato @masato_io

9. 必修科目としての企業インターンシップ 僕は現在、大学のクラスとしてbtraxへインターンシップをさせて頂いています。多くのデザイン系学生にとってこの企業インターンシップは必修であり、取らないと卒業することが出来ません。

2012-03-17 19:01:40
Masato @masato_io

デザインのアカデミックインターンシップは様々ですが、実はその7-8割以上が無給であるとも言われています。こう書くと学生達を無給で働かせるのはひどいという声が聞こえてきそうですが、実はその逆であったりします。

2012-03-17 19:02:16
Masato @masato_io

米国のデザイン学生達は、むしろ無給でインターンシップ出来る企業を探します。それはネームバリューのある会社は無給、ネームバリューの無い会社は有給という常識が定着しているからです。

2012-03-17 19:02:59
Masato @masato_io

学生達は卒業後に就職する際、ネームバリューのある会社でのインターン経験をresumeに書く事で自らを売り込むことが出来ます。多くの学生にとってはインターンで報酬を得るよりも、卒業後に希望の会社へ就職することの方が重要であるため、無給インターンであっても経験を稼ぐために応募します。

2012-03-17 19:03:25
Masato @masato_io

(また無給インターンで働いた後に、その会社から正社員としてのオファーが来ることも少なくありません。この経路で就職する学生の割合はかなり高いです。)

2012-03-17 19:04:17
Masato @masato_io

また、企業もこの事を熟知しているため、ネームバリューのあるデザイン会社の多くはインターンを無給とします。それとは反対に、ネームバリューだけでは学生をインターンとして呼び込むことの出来ない企業は、その対価としてインターン生にお金を払うのです。

2012-03-17 19:04:33
Masato @masato_io

10. MBA & Designという新領域 ビジネスとデザイン。この二つにそれぞれ全く違ったイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、この記事を読んで、少しデザインに対する捉え方が変わったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2012-03-17 19:06:03
Masato @masato_io

実はデザインコンサルティングとビジネスコンサルティングは密接に関連していて、切っても切れない関係にあります。また、様々なビジネス分野におけるデザインの重要性が高まってきている近年、デザインとビジネスの両軸を行うことの出来る人材需要も比例して高まってきています。

2012-03-17 19:06:24
Masato @masato_io

こうした背景も手伝い、最近はMBAとデザインを融合したコースを提供する海外大学院が徐々に増え始めています。そうした大学では、デザインプロセスからビジネス理論までを幅広く学び、最新の市場ニーズにあう知識や技術が習得できるように講義が設計されています。

2012-03-17 19:07:06
Masato @masato_io

【終わりに】僕は日本と米国でデザイン観がどうしてこうも違うのだろうと留学して以来ずっと考えてきましたが、どうもお互いの国が持っている根深い文化背景に由来するところが大きいという結論で間違いないと考えています。

2012-03-17 19:10:33