放射線からの防護か、放射線の防護か?

ICRPに関するドイツ語の文書の拾い読み。拾ったとこに関してはだいたい何か元になる資料が引用されていますが、そうでないところも多いので、全体としてなにかとても信用できる文書というわけではないですが、ポインタとしてはまあ使えるのではないかと思います。
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Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

こういう話を日本語の資料だけ読んでどうこうするのもあれだなーと思って適当に探してみたらなんか見つかった http://t.co/d49PxhLl RT: @A_laragi: (地下猫氏の『放射線被曝の歴史』批判 http://t.co/szVhG91T )

2012-01-03 21:55:21
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

1行目には"protection of radiation or protection against radiation?"とか書いてある。ぼくもちょっとずつ読んで面白かったら紹介していきますが、まだ速く読めないので、どなたかドイツ語分かる方がいたら読んでいただければ。

2012-01-03 21:58:24
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

だいぶ前に貼ったこれ http://t.co/d49PxhLl は遅々として進んでいる。1966年のICRP pub 9には「5rem/yの規制は拡大する原子力に十分な時間を与えるだろうと委員会が信じたためにとられた」とかいうことが書いてあるらしい。pub 9はダウンロードできず

2012-02-06 11:36:00
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。1927年にはX線によって遺伝物質がダメージを受けることがMullerによって分かっていたけれど、1937年のIXRPC(ICRPの前身)の勧告では急性障害についてしか書いてなくて発がんや遺伝的ダメージについては書いてないとか

2012-02-07 10:53:10
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl から。スウェーデンは1920年代の中頃に長期的影響についての警告を出していた。アメリカの放射線防護委員会は1940年に許容線量をそれまでの1/10の50mSv/yに下げるように勧告した。

2012-02-07 10:56:45
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

続き。http://t.co/d49PxhLl でもしばらく許容線量は500mSvのままにされた。委員の一人は、そんなに許容線量を下げたら医療用のX線の利用に支障が出ると言った。専門委員でない科学者からは、許容線量が下げられなのはなぜかと質問が出た、とか。

2012-02-07 11:02:11
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。Muller(X線による遺伝子の突然変異の発見でノーベル賞)が国連のpeaceful uses of the atomという1955年の国際会議で核実験の放射性降下物による影響についての発表をしようとしたが、拒否されたとか。

2012-02-08 08:25:48
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

ちょっと経緯が気になったので経緯を調べてみたらこんなのhttp://t.co/9V4OyHzf が見つかった。P.128の初め。1955年5月には応募が受理されたのに、後で人が多すぎるとかいう理由で外されたと。Mullerはアメリカ代表が多すぎたとかいう理由で会議にも参加できず。

2012-02-08 08:28:21
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

この件についてワシントンポストがAEC(アメリカの原子力委員会)に突っ込んだら、Mullerの講演は広島に言及していたので原子力の平和利用という会議のテーマにそぐわない、とかいうよくわからない言い訳をしたと。http://t.co/9V4OyHzf

2012-02-08 08:32:26
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

近くのページしか読んでないけど、この本http://t.co/9V4OyHzf はいろいろと興味深い。AECの委員が「AECは放射性降下物は全く危険でないだろうという証拠を持っている」「人は放射性降下物と共に生きなければならないことを学んだ」と言ったとか。

2012-02-08 08:40:05
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

政治や倫理の問題が技術的な問題とからんで、科学者は安全派と危険派に分かれて、市民はどっちを信じていいか分からなかった、とか、放射性降下物のリスクが運転や梯子上りのリスクと比較された、とか。P.127-128あたり。 http://t.co/9V4OyHzf

2012-02-08 08:49:29
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これは全部1950年代の核実験降下物の話。AECは核兵器のテストと降下物の危険性の評価を両方やっていた。『放射線と共に生きる』という1989年の本も。 http://t.co/D52bDVT2 世界に冠たるアメリカは、我々のいるところを60年前に通過していたのだ、みたいな。

2012-02-08 08:57:11
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

このあと、猿橋博士などの調査http://t.co/qDg0yK2b もあって、1963年に部分的核実験禁止条約ができる。英語版のwikipedia http://t.co/3g5m8ZVx には降下物が主な背景とはっきり書いてあるけど、日本語版には書いてないのはなんでだろう?

2012-02-08 09:23:27
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

やっと半分まで来たこれhttp://t.co/d49PxhLl の続き。1947年に、後にICRPの委員にもなるCatchsideが「どんな小さい線量でも遺伝的影響を引き起こし、閾値はない」というレポートを書いた。これに対して、許容線量の専門委員のLeaがなんと答えたかというと、

2012-02-10 10:40:54
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

「ある原子力産業の労働者の子供の遺伝子異常が被曝によるものかどうか決定する方法はないから、責任や補償の問題は起こらないだろう」と。1950年のICRP勧告ではCatchsideのレポートには触れられず。http://t.co/d49PxhLl

2012-02-10 10:41:07
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。ICRPの設立者の一人のTaylorの言葉「ある活動が安全でないという証拠が出るまでは、安全だと仮定するしかない。安全でない作業が判明するまでは被害者が出るかもしれないが、ほかに方法はない」

2012-02-10 10:41:14
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl 残り10ページくらいのところまで読んだ。なんだか重要そうなことも書いてあるんだけど、文献の引用も具体的な事例も書いてないのであんまり紹介する気にならないでいる。

2012-02-12 11:35:21
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。ICRPのリスク評価はほぼ原爆被害者の死亡率だけに基づいていた。これから被曝リスクを算出するには、個々人の被曝量を正確に測ることが必要。

2012-02-22 12:40:29
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。最初の死亡率の調査では、広島では長崎より白血病での死亡率が高かったた。これは広島で中性子線が多かったことで説明されるということになっていた。一方長崎での影響はガンマ線から来るもの。

2012-02-22 12:40:35
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。1965年の線量調査は核兵器開発をしていたLL研究所によって行われた。これが80年代になって間違っていたことがわかる。文献はこれらしい http://t.co/jdPNGZtQ あぶすとも読めないってなんなの?

2012-02-22 12:40:42
CAVU @cavu311

良まとめ,ありがとうございます。「1965年の線量調査は核兵器開発をしていたLL研究所によって行われた」というのはオークリッジ国立研究所(ORNL)のT65Dっていわれてるやつとは別物なのでしょうか…。 http://t.co/r9KVH1hm

2012-06-14 12:03:36
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

コメントありがとうございます。これはぼくの訳し間違いで、「LL研究所によって1965年の研究の間違いが見つけられた」です。関係あるのはp.30の最後の段落です。どうもすみません。 http://t.co/yKVQ8mSD

2012-06-14 16:01:56
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

なので、1965年の研究はT65Dであっています。@geophysics http://t.co/vG78HMC2

2012-06-14 16:14:02
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。間違いの内容は、広島での中性子線量が6-10倍過大評価だったこと、広島でのガンマ線量が過小評価だったこと、長崎でのガンマ線量が過大評価だったこと。これはすべてガンマ線の影響を過小評価するほうに働く。

2012-02-22 12:40:47
Yoh Tanimoto @yoh_tanimoto

これhttp://t.co/d49PxhLl の続き。これに対するScience誌の反応「新しい原爆の調査は線量評価を変える。15年間の放射線の研究は間違っていたかもしれない」ICRPの反応「線量の見直しは小さいしALARA原則に基づけば線量限度に影響はない」

2012-02-22 12:40:56