ＮＨＫスペシャル「産みたいのに産めない～卵子老化の衝撃～」書き起こし #nhk

とし @toshihiro36

<ナレーション>　子供をあきらめていた二人、気持ちが変わったのは２年前でした。ルミ子さんが婦人科の医師から「子供が欲しいなら、時間がない」と告げられたのです。一緒に不妊治療を受けようと、昭洋さんに切り出しました。

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ルミ子：やっぱりタイムリミットというか、そういうのがあるんだと思って。できないって決めつけて時間が経った後で後悔するよりも、ちゃんと言わないといけないと思って伝えたんですよ。

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<ナレーション>　ルミ子さんの言葉が、昭洋さんの心を動かしました。

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昭洋：「お願い一緒に頑張ってよ。私だけでは限界があるから。お願いだから」ということを、この人は言った。こいつが俺の背中を押してくれたというよりも、ドンって突かれた、（俺が）動かないから。ドンって思い切り突いてくれたから…

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<ナレーション>　昭洋さんの治療ができるところはないか、二人は５０以上の病院にあたりました。ようやくたどり着いたのが、山口県の医師が行っていたある治療法です。マイクロテセと呼ばれるこの手術、男性の精巣を切り開き、わずかに作られている精子を顕微鏡で探し出します。

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<ナレーション>　日本には１０年ほど前に導入されましたが、手術ができる病院は限られています。この技術によって、昭洋さんは正常な精子を９つ採取することに成功しました。

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昭洋：９個ですよ、たったの９個。みんなは１億個もある中の。でも今はその９個でできる技術があるから…やっぱり希望になったんですよ。うれしかったですよ。

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<ナレーション>　二人は今月から、体外受精に取り組んでいます。医師からは３８歳のルミ子さんが出産できる可能性は、決して高くないと告げられています。道は険しくても、二人で支えあっていこうと考えています。

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昭洋：二人の一生・将来・未来をかけてやることですから。しっかり夫婦で向き合って…ケンカになってもいいから、思いっきり話し合う問題ですよ。しっかりそこを考えてね…どんな結果であっても、前に進んでいかないといけない。

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<ナレーション>　鳥取県米子市で１９年前にクリニックを開いた、見尾保幸さん。不妊に悩む夫婦と向き合い続けています。この日訪れた夫婦、４３歳の妻は体外受精を９回試みましたが、卵子を採ることが難しくなっていました。

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<ナレーション>　見尾さんはこのまま治療を続けるかどうか、夫婦でじっくり話し合ってほしいと伝えていました。二人は半年間悩み抜いた末に、治療をやめることを決め報告に来たのです。

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妻：心のどこかではまだ残ってますけど。自分の置かれた運命を受け入れて…自分を納得させている最中です。

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見尾：肝心なのは、これからの人生を有意義に楽しく充実させて生きていただくことが、なによりも重要なので…こういう経験で最善を尽くして頑張って、別の生き方を決断されるということは、とても尊いことだと僕は思いますね。

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<ナレーション>　子供が欲しいと強く願っていた二人。このクリニックを訪れる患者のうち、治療をあきらめ去っていく夫婦は年間１００組に上ります。　もう少し二人で出産を考えてくれていたら…夫婦の辛い姿を見るたびに募る思いです。

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<ナレーション>　不妊治療を経験した８０００人を超える人たちの声。「自分と同じ思いをしてほしくない」「今の状況が変わってほしい」と綴られていました。

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アンケート回答：「産みたいのに産めない苦しみは、精神的にきつい。不妊治療がどれくらい深刻なことか理解してほしい」

とし @toshihiro36

アンケート回答：「女性個人の問題としてではなく、社会問題として取り扱ってほしい。妊娠して当たり前、妊娠しないのはあなたが悪いという社会の考えを根底から崩さないと、不妊治療に取り組んでいる女性は救われない」

とし @toshihiro36

アンケート回答：「もっと早く子供をもうけておけばよかったと思っても、今さら戻れない。こういう思いをしている人がたくさんいることを、若い方々にもっと知らせてください」

とし @toshihiro36

<ナレーション>　私たちの社会が生み出した新たな不妊。これまで見過ごされてきました。「産みたいのに産めない」この叫びをどう受けとめるのか、いま問われています。