中小企業のための銀行交渉力向上講座(入門) かけひきテクニック30⑥

税理士という立場で銀行との交渉力をしてきた経験から、中小企業における銀行交渉力アップ法をまとめてみます。第1章は中小企業でも自分でできる「銀行さんとのかけひき」で全30問30答です。 26.融資担当者が「YES」とう言わざるを得ない事業計画書とは? 27.本当に必要なお金の決め方 28.経営上必須の資金繰りのコツとは? 29.銀行組織を知って交渉を有利に 続きを読む
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松波 竜太 @maznami

【26.融資担当者が「YES」とう言わざるを得ない事業計画書とは?】まずは「銀行交渉用に初めて作る事業計画書」について説明しましょう。本当は事業計画書は経営の指針となり、従業員とビジョンを共有するためにあるべきものであることはいうまでもありません。ただ、実際問題、中小企業に(続

2012-07-22 14:52:14
松波 竜太 @maznami

とっては、経済や政治といった社会情勢のちょっとした変化が「荒波」になってしまうので、計画を立てても、修正に次ぐ修正が必要なってしまうため、実行可能性が乏しい。また、従業員とビジョンを共有と言っても、一流商社なみの従業員を抱えられれば、すぐにでもそれが可能になりますが、(続

2012-07-22 14:56:33
松波 竜太 @maznami

そのレベルまで従業員を教育するのは非常に困難だったりするので、事業計画書を実際の経営に生かせている例は少ないと思います。作って満足しているのは社長と会計事務所、というのが現状でしょう。ということで、「銀行提出」の必要性が差し迫った時、どこに気を付けて「初めての事業計画書」を(続

2012-07-22 15:06:18
松波 竜太 @maznami

作成すれば良いのかについて、考えてみたいと思います。大切なのは「第一にスピード、第二に返済可能性、第三に過去との整合性、第四に実現可能性」です。まずは、第一のスピードですが、提出の必要性に迫られているのに「せっかくだから現場の声を聴いて積み上げ式で」などと悠長なことをして(続

2012-07-22 15:11:33
松波 竜太 @maznami

いてはいけません。過去のデータと現実的にとれる施策から「銀行提出用」と割り切って作りましょう。第四の「実行可能性」にもつながりますが、だいたいの場合、時間をかけすぎると「現実離れ」を起こします。得てして経営者は「昨年度対比売上15%増!」などという「営業目標」を基準にして売上(続

2012-07-22 15:15:28
松波 竜太 @maznami

を組み立てた事業計画を作り、できるだけ会社をよく見せようという傾向があります。時間をかければかけるほど、理想論ができてしまうのです。ここは割り切って諦めることが大切です。第二の「返済可能性」、借入を申込む際、銀行が見るのは「貸した金が返ってくるのか」です。当然「返せる」こと(続く

2012-07-22 15:19:06
松波 竜太 @maznami

が証明できる計画でなければ、意味がありません。第三に過去との整合性、過去の売上高が減少傾向にあるのに、ここで急に増加に持っていっても信頼されません。感覚的には、過去:将来=99:1ぐらいの信頼性です。売上高成長率、固定費、売上債権回転率、買入債務回転率、在庫回転率等に(続

2012-07-22 15:27:18
松波 竜太 @maznami

ついては、過去のデータに基づいた数値を使った方が信頼されます。また、これら「前提条件」をリスト化することも忘れないようにしましょう。業績回復をアピールしたいのであれば、「切詰られる固定費」を箇条書きで列挙し、その影響度を示すのが効果的です。例えば、生命保険の解約…○○千円、(続く

2012-07-22 15:29:42
松波 竜太 @maznami

従業員の夜食代…○○千円などです。とにかく、過去の決算書、試算表からのつながりを断ち切ったような事業計画書は信憑性が低いので、しっかりと継続性を保った形で作成しましょう。また、過去とのつながりを断ち切る部分ついては、「現実的な路線で、かつ、根拠を示す」ということが大切です。(続

2012-07-22 15:34:21
松波 竜太 @maznami

そして第四の「実現可能性」についてですが、一言で言うなれば、銀行に融資を説得できるのは「売上がいくらまで減っても返せるか」という視点で作成した事業計画です。むしろシミュレーションに近いと言えます。「営業予算」で組んだ「絵に描いた餅」的事業計画などを出したところで、意味が(続く

2012-07-22 15:40:10
松波 竜太 @maznami

ありません。また、売上や仕入などについては、受注の内定書や見積もりなどの裏付け資料を添付することで、実現可能性をアピールすることができます。事業計画書の書式等については、公認会計士協会の「小企業のためのキャッシュ・フロー計算書作成シート及び経営計画書作成シートの改訂について」(続

2012-07-22 15:44:58
松波 竜太 @maznami

http://t.co/zqUVuH8n を利用されるのが良いと思います。言うまでもありませんが、計画書の各数値に関して、整合性が保たれていることが前提となりますので、余程自信がない限り、エクセルの参照を変えない方が無難です。そして、最後に、「はじめての事業計画書」を無事(続

2012-07-22 15:53:36
松波 竜太 @maznami

卒業された方に一言。まず今回、初めて「借りた金を返す計画を数字で示した」訳ですから、これからは、「実績をきちんと報告する」ことが大切です。「計画にそって運営できる能力を証明する」これが事業計画書の一番の担保となります。銀行との取引においては、こうして築く信頼が一番ききます。

2012-07-22 15:59:57
松波 竜太 @maznami

中小企業においては、社員を鼓舞するために作る「ビジョンを語る」事業計画と、銀行提出用の「有言実行を示す」事業計画は分けて作成するべきだと、私は考えています。もちろん両者が一致するのが理想ですが、世の中、理想で動いている訳ではありませんので。

2012-07-22 16:06:15
松波 竜太 @maznami

本音を言うと、「事業計画書を提出する」というのは「正統派」の銀行交渉であって、いわゆる「かけひき」を意識した場合には「負け」なんです…。融資担当者と支店長が積極的に動いてくれて、社内稟議を通してくれるような状態を作るのが、あくまでも理想。

2012-07-22 16:25:25
松波 竜太 @maznami

【27.本当に必要なお金の決め方】経済・政治の「小波」が、中小企業の一社にとっては「荒波」となることが多々あります。その意味では、「現預金はいくらあっても良い」というのが正解。「余剰資金」などという考え方は中小企業にはあてはまりません。借入に頼らなくとも現預金が余って仕方が(続く

2012-07-22 16:34:39
松波 竜太 @maznami

ない、という会社を除いて、「資金が余ってる」と考えるのは単なる「油断」です。本当に気を付けましょう。ちなみに経営に必要な最低限度の運転資金は、「売掛金+棚卸資産‐買掛金」で一応求められます。試算表から求めた場合、「月末残高」ベースで計算されることになりますので、(続

2012-07-22 16:38:19
松波 竜太 @maznami

実際にはこれよりも必要な資金は多くなるのが一般的です。これを下回ると会社が回りません。また、売上が増加傾向にある場合、「売掛金+棚卸資産‐買掛金」も大きくなる、つまり、最低限もっていなければならない資金も増加します。その意味では、一般的に売り上げが上がれば上がるほど、お金が(続

2012-07-22 16:40:41
松波 竜太 @maznami

なくなりますので、早めに手を打つことが大切です。特にV字回復を遂げた企業の場合、「赤字で資金不足なのではないか」と疑われないためにも、こまめに試算表で銀行に状況説明するようにしたいところです。さらに、見た目上現預金があるからと言って、運転資金で設備投資をしてしまうなどと(続く

2012-07-22 16:48:00
松波 竜太 @maznami

いうことは絶対に避けてください。これが「油断」の典型例です。面倒でも、絶対に設備資金で借入を行って下さい。「自己管理できない=計画性なし」ととられかねません。とにかく、「経営分析」の教科書通り「適正有利子負債」などという考え方は、中小企業には当てはまりませんので、鵜呑みにしな(続

2012-07-22 16:53:12
松波 竜太 @maznami

いように気を付けてください。

2012-07-22 16:53:53
松波 竜太 @maznami

【28.経営上必須の資金繰りのコツとは?】「資金繰り改善策」についてはどんな本を読んでも、「売上の回収を早める」「在庫をなるべく持たない」「支払はできる限り引き延ばす」と書いてあります。しかし、「在庫」を除いて、取引先との力関係を考えると現実的でないことがほとんどです。(続

2012-07-22 17:14:35
松波 竜太 @maznami

「ダメモト」で交渉してみるのも一つだとは思いますが、やはり「銀行借入」で運転資金をある程度潤沢に持っておくというのが、実行可能性が高い方策なのです。経営分析の教科書に出てくる「必要運転資金と有利子負債」の考え方は無視しましょう。確かに必要運転資金を計算して、最低限度の有利子(続

2012-07-22 17:44:06
松波 竜太 @maznami

負債で回すことは可能かもしれません。しかし、最低でも中小企業でも1%後半の金利で資金調達ができる時代において、「金利」と「資金繰りをギリギリで回すべく計算をする従業員」の人件費とどちらが経済的かを比較する必要があります。表面的な「もったいない」に惑わされないことです。(続く

2012-07-22 17:47:45
松波 竜太 @maznami

また、中小企業にありがちなのが、「お金があったので運転資金を使って設備投資をしてしまう」という間違いです。運転資金と設備資金は絶対に分けて考えましょう。担保設定または質権設定できる資産は絶対に「設備資金」で借入を行って下さい。ここを間違えると「黒字倒産」します。できれば、(続

2012-07-22 17:51:42