「キョート・ヘル・オン・アース」破「ライジング・タイド」#9
(((考えろ……これほどの有無を言わさぬ圧倒的戦闘力の持ち主がグランドマスター位階に無いのは何故だ?そこには理由が必ず存在する!勝機につながる理由が!このジツにはどこかに瑕疵があるのだ!)))「スゥーッ!ハァーッ!」「グワーッ!」ヘカトンケイルの叫びが茶室から届く! 71
2012-08-14 16:33:10ナムサン!ニンジャスレイヤーはその理由を知っている。非人道兵器マキビシ!彼は転がりながらタタミを跳ね上げただけではない。四方八方から残忍な逆棘が飛び出した金属塊、上を通ろう者なら、靴の上からであろうとその足に重篤な傷を負う設置武器をばら撒いて来たのだ! 72
2012-08-14 16:48:01「ウオーッ!」ヘカトンケイルはタタミ・バリケードの向こうで苦悶!何しろそれはインプルーブド・マキビシ!逆棘で床にガッチリと根を下ろし、踏んだ者の肉にも食い込んで、縫いつける!一度この罠にかかれば、もはやそう簡単には踏み越える事ができぬ……超人でも無い限りは、「イヤーッ!」 73
2012-08-14 16:54:08KRAAASH!最終バリケードが破られ、茶室からヘカトンケイルが飛び出す!「小賢しいぞーッ!」歩き方がぎこちない。マキビシを足裏の肉ごと引き剥がしたのである!「イイイヤァーッ!」そこへニンジャスレイヤーはスリケン投擲!チャドー呼吸で投擲力を最大限に高めたツヨイ・スリケンだ! 74
2012-08-14 17:04:17ヘカトンケイルは六本の腕を交差させ、ツヨイ・スリケンをガード!ナ、ナムサン!?ガードだと!?なんたる耐久力か!万事休すか?否、見よ!ツヨイ・スリケンの衝突力は傷ついた足裏のニンジャバランス力では流しきれず、ヘカトンケイルは後ろへたたらを踏む!「「「ヌウー!?」」」75
2012-08-14 17:09:05ニンジャスレイヤーは敵の声が突如乱れた瞬間を見逃さなかった。彼は己のニンジャ洞察力、ニンジャ第六感がもたらす情報に賭け、跳んだ!「イヤーッ!」その先には、おお、おお!苦悶しながら膝をつく三人のニンジャ!ブリアレウス、コットゥス、ガイギスだ!「合体維持時間が……」「再合体だ!」76
2012-08-14 17:11:49「イイイイイヤアアアーッ!」そこへコマめいて回転しながら飛び込むニンジャスレイヤー!前倒し行動によるイニシアティブが、再合体の隙へ差し込まれる!そこから繰り出されるのは……見よ!チャドー奥義、タツマキケン!一度の跳躍で回転しながら無数の回し蹴りを叩き込む地獄カラテだ! 77
2012-08-14 17:16:34蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!まさにそれはカバー無き扇風機をタケノコの群れに投げ込んだがごとし!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」78
2012-08-14 17:21:00飛び散る血飛沫が円形にタタミを汚す!「グワーッ!合体……再合体だ!」「グワーッ!」「グワーッ!応!応ーッ!」三人のニンジャはほとんど致命傷を受けながら、叫び合う!そしてニンジャスレイヤーのジゴク回転殺戮蹴りマシーンに同時に飛び込んだ!なんたる自殺行為!「「「イヤーッ!」」」79
2012-08-14 17:24:00KRAAAASH!「ウオオオオーッ!」熱蒸気が空気を満たす!最後に立っていたのは……ヘカトンケイル。異形の巨躯はよろめき、周囲を見渡し、顔を歪めて笑った。……ニンジャスレイヤーの姿は無い。「フゴッ……ハーッ……取り込んで……喰って……やった!」ヘカトンケイルは一歩踏み出す! 80
2012-08-14 17:28:28ヘカトンケイルは肩で息をしている。「ゴフッ」二歩踏み出す。「ゴッフッ、喰ってオブッ」苦悶し、仰け反った。「ウブーッ!?」その胸が、腹が、風船めいて膨れ上がる!「オ、オブ、オゴ、アバーッ!?」「イヤーッ!」「アバーッ!」体内を突き破り、第七、第八の腕が飛び出す!赤黒装束の腕が!81
2012-08-14 17:31:20「イヤーッ!」「アバーッ!?」内側から第三、第四の脚が飛び出す!赤黒装束の脚が!ヘカトンケイルは膝から崩れ落ちた。内側から生えた腕が身体を引き裂く!「イヤーッ!」「アバババーッ!?」ナムアミダブツ!無惨に爆ぜ割れたヘカトンケイルの身体!そこから飛び出す……ニンジャスレイヤー!82
2012-08-14 17:36:11「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはキリモミ回転跳躍して血と臓物を跳ね飛ばし、この広間にも据え付けられた浴槽に飛び込む!「……イヤーッ!」水飛沫をあげて再び跳躍!その身体は一瞬にして乾いた!彼はIRC履歴を確認する……通信記録無し。ならば、琥珀ニンジャ像の間を単独で目指すべし!83
2012-08-14 17:45:14ニンジャスレイヤーは去り際、己が破壊した超自然合体ニンジャを見やった。クズ肉だ。愚かな真似を。彼は走り出す。スターン!フスマを開け放つ。彼は駆け出した。目指すは琥珀ニンジャ像の間!ユカノ! 84
2012-08-14 17:50:38「張り合いねェーなァー」遥か頭上から声がした。「アイエエッ……」BRATATAT!「アバーッ!」アズールはサラリマンの背中を撃って殺し、暗黒間欠泉の頂点でアグラするデスドレインを見上げた。「21」「あッそ」心ここにあらず、という様子で、彼は己の耳穴をほじった。 86
2012-08-14 17:56:33「なンつうかよォ」デスドレインは暗黒物質の触手で捉えた若い男女を己の高さまで吊り上げ、見守った。「……キリがねェんだよなァ。それ、面白えか?アズール?」「面白くないに決まってる」アズールは憎々しげに睨んだ。「だよなァ!」デスドレインは男女に問う「殺されたくねぇよな、お前らも」87
2012-08-14 18:00:42「ア……ア」男は呻いた。「助けて」と女。デスドレインは彼らの後ろの空に浮かぶキョート城を眺めた。キャバァーン!キャバアーン!逆三角錐の基部から生えたクリスタルが虹色のエネルギーを連続的に放ち、その周囲では漢字がネオン看板めいて浮かび上がって明滅している。「やり方変えるかァ?」88
2012-08-14 18:11:09次に彼は、近くのショッピングモールから火の手が上がるのを見た。下層市民が手に手に武器を持ち、ガラスを叩き割る。ヨタモノめいた若者達が、店内からスニーカーやレコードを持ち出し、路上にバラ撒いている。「ざまぁ見ろ!カネモチめ」彼らは満足げに叫んだ。デスドレインは目を細めた。 89
2012-08-14 18:19:44この辺りはガイオン外周に近く、超自然の即死光線はさほど降って来ない。ゆえに暴徒も集まりがちで、殺すのも楽だった。「そォだなァー」デスドレインは首を傾げ、ゲップをした。「助けアバッ」「アバーッ!」捉えていた男女を思い出して殺すと、彼は暗黒物質から跳んだ。「イヤーッ!」 90
2012-08-14 18:29:21「スニーカー!マブ!」「リアルマブ!」ヨタモノ達は箱を蹴散らし、靴を履き替えて笑いあった。「今日ヤバイくらいマブ最高だな!」「マブ最高……アイエエエ!?」デスドレインが目の前に降ってきたのだ。「ボスとか居るのか?お前ら」「ア?何アバーッ!」答えようとした男が引き裂かれ死んだ。91
2012-08-14 18:34:58「アイエッ……」逃げようとしたヨタモノはうつ伏せに転倒した。足首が暗黒物質に絡め取られて動かない。「お前ら!助け」「アイエッ!」彼が呼びかけようとした他のヨタモノ達も同様だ。足を取られ、動けない。「何、何アンタ……」「やれ、もっと」「え……」「死ぬまでやれ」「え……」 92
2012-08-14 18:38:17「ナンデアバッ」そのヨタモノも引き裂いて殺すと、残るヨタモノ達に向かって言った。「注目!」「……」既に彼らはデスドレインに恐怖の視線を注いでいる。デスドレインは道の先を指差す「ハイ、あいつら見えるなァー!」ドラッグストアのシャッターを鉄パイプで破壊する別のヨタモノ集団だ。 93
2012-08-14 18:45:18「はい合流!合流!」デスドレインは手を叩いた。「動けませんアバーッ!」もっともな指摘をした者を殺すと、他の者達の戒めを解いた。「合流!合流!オラッ!」「アイエエエエー!」ヤバレカバレ!彼らはドラッグストアの暴徒めがけ全力で駆ける!「ウオオーッ!」「ウオオーッ!」 94
2012-08-14 18:52:35ドラッグストア暴徒に混じり、彼らも破壊行為を開始した。「ウォーッ!ウォーッ!」誰かが火炎瓶を投げた。炎上!デスドレインは別の集団を見い出す。ヨタモノの襲撃から自主的に身を守るアッパー市民の群れだ。「オラッ!あいつらにも合流だ!」「アイエエエ!ウォーッ!」「ウォーッ!」 95
2012-08-14 18:57:57