坂上秋成さんが飲食業でのアルバイトを始めた件。

坂上秋成 @ssakagami7776

よし、概要が決まったので勝つる！　書くぜー。でもその前に簡単な謝罪と状況を書いておきたいです。

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まず、5月以降、原稿関連の〆切で3回ほど多大な迷惑をかけてしまいました。そのことについて情けなく思うとともに、心より謝罪したいと思います。で、何でそうなっているかというと、原稿仕事が増えたこともあるのですが、それ以上に飲食業でのアルバイトを4月から始めたということが大きいです。

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以前から接客業への憧れがあったので鉄板焼き屋でのホール&キッチンスタッフをやっているわけですが、始めた一番大きな理由は、今年の2月あたりに自分の動きがひどく虚しいものなんじゃないかと思ってしまったからです。色々な文章を書いていてもどこか気分の乗らない時期が続いた。

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同時に、商業で文章を書いて3年以上が経過する中で、それは勿論必然としてそうなるんだけど、自分が凄く楽な環境にいるのではないかと感じてしまった。具体的に言えば、今僕は小説の話でも漫画の話でもエロゲーの話でも、誰かに話せばある程度理解してもらえるし受け入れてもらえる。

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しかしそれは極めて特殊な世界です。昔斉藤美奈子さんが「読書としてる時点であなたはマイノリティ」という趣旨のことを言っていましたが、本当にそうです。批評的な話や文学的な話ができる環境というのは幸福だけどかなりおかしな場所です。その中で僕は、読者を見失っていく感覚に囚われていた。

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つい最近、太田克史さんが佐藤友哉さんとUSTをやっていた際に「僕たちはいつも読者に届く作品を作りたいと考えていたが、そこでの読者というのは僕の頭の中にいる読者で、本当の読者を分かっていなかった」というような発言をしていて、凄く共感しました。読者のイメージを煮詰めることの重要性。

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そんなことを考えながら飲食業を始めたわけですが、予想を上回るルールの違いがそこにはあった。仕事における効率についての考え方、喜ばれる接客、一流のサービスマンとしての心がけなど、それをバイトに求めるべきかはさておきｗ、自分の常識がほとんど通用しない世界に放り込まれたという感じでした

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たとえば、コンテンツに関してもそうです。みんなワンピースは好きだけどトリコは読まないし、人が5人集まっても誰も涼宮ハルヒの憂鬱を知らない。平野綾さんがアッコさんに「ハルヒとか知らない」って言われた時の絶望に近いものがあったように思います。しかし、これがいわゆる「正常」な世界です。

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「全ての読者が小説や映画やゲームが好き」と思っていたら、絶対に間違えてしまうという確信を得ました。これまでもそういうことは考えてきたけど、実際に僕がやっていたのはキーボードを操作して、文字列という記号の集積に意味を持たせる作業でした。しかし、それだけでは駄目だと感じた。

坂上秋成 @ssakagami7776

ブラパス２のインタビューで國分功一郎さんがご自身を「土木派」とおっしゃっていたように、人が生きる現場の匂いや物体に対する手触り、目の前のお客様に対する瞬間的なやりとりといった実践性を無視して言葉を操ることはもうしたくなかった。

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つらいことは山のようにあります。「早稲田出てもバカはバカだな」、「お客さんのことも観察できないで文章なんか書けるわけねえだろ」と言われる時には心折れそうになったりもします。しかしそれは、僕が飲食業の世界では「単に仕事のできない頭デッカチの使えないバイト」に過ぎないということで、

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これに対して「じゃあ合わないからやめよう」ではなく「合わないからこそ、ここで新しいルールや武器を手に入れたい」という気持ちが強い。料理を作ることへの誇り、カッコいい接客。そうした点について、怖かったり理不尽さもあるけど、高級店なこともあり社員さんは尊敬できる人ばかりです。

坂上秋成 @ssakagami7776

凄く直感的に、ここでレベルアップすれば文章のスキルも上がるという確信があります。だからどうにか一年、来年の4月までは続けたいというのが本音。ただ、問題は予想以上に本業が忙しくなり、そちらに皺寄せが行くことが何度かあったという点。これについては完全に僕のスケジュール管理ミスです。

坂上秋成 @ssakagami7776

そこで物書きとしての信頼を失うというのは一番避けたいことなので、次に一度でも誰かにバイトを理由に迷惑がかかったらこれはもう辞めます。この数か月迷惑をかけた方、本当にすいません。長くなったけどそんな感じです。

坂上秋成 @ssakagami7776

9月以降、上手く行けば大きな企画が2つ動くので（ダブルでポシャったら凹むんですがｗ）、もっと厳しくなる可能性もある。そのためにも色々と覚悟は決めました。しっかりと受けた仕事は〆切を守ってこなしますので、何卒よろしくお願い致します。

坂上秋成 @ssakagami7776

今の店で一番キツいのは求められてるクオリティがバイトのそれじゃないってとこなんだけどねｗ　毎日芸能人の方々やとても地位のある人が訪れるので、接客ミスるわけにはいかないのです。しっかり仕事できるようになりたいけど、本業にはできないという分裂感がキツめではあるです。

坂上秋成 @ssakagami7776

前に『群像』に小説出して最終選考残った時、編集者さんに最初に言われたのが、「専業でやる前に就職した方がいい」ということで、当時の俺はなんで物書きで真剣にやっていきたいと思っている人間にそんなことを言うんだと憤慨したけれど、それは完璧に間違っていた。

坂上秋成 @ssakagami7776

結局、文章だけ書いて他の能力身に付けなくていいなんてことは絶対にないわけで、とりわけ批評や編集的なことやると一層強くそれを感じる。だからこそ今の飲食業で何か掴んで、トータル的に文学と関わる上で役立てたいと真剣に思っています。

坂上秋成 @ssakagami7776

しかし週に三回飲食店で深夜2時まで働き、週4で書き物をするというブラック生活に俺の社会不適合性はどこまで耐えられるのか！？　ニート力と文学への意志が交差する時、物語が始まる！（といいなあ）

坂上秋成 @ssakagami7776

真面目な話、もっとスケジュール管理するけど、本当にまずくなったらアルバイトやめて仕事に専念します。もう人様に迷惑かけたくないです。

坂上秋成 @ssakagami7776

これで僕がツイッターで忙しいとか大変とか死にたいとかダサいことを抵抗なく呟きだしたらMAXにアウトなのでその時は罵りつつ説教してください。

坂上秋成 @ssakagami7776

あと予想してたけど、飲食業って小学校や中学校の時の体育の成績とかモロに仕事の出来に反映されるｗ　トロ臭さをなんとかしたいぜ！

坂上秋成 @ssakagami7776

基本的に綺麗なものが作れればそれでいいんだけどね、広義の文学って。でもそもそもフィクションの楽しさとか美しさって、どんどん理解されなくなってるじゃん。だからこそそれがどんだけ役に立つのかを示すのって今凄く重要な仕事だと思うし、ここ1年くらい自分の書いてる文章は常にそれを意識です。

坂上秋成 @ssakagami7776

思い返せば、高校を辞めてテレアポを初めカラオケ、雀荘、塾講師と割と変なバイトを経験してきたけど、仕事そのものが人生に役立っているという感触は飲食業が初めて。特に塾講師時代とか人気あるのをいいことにルール破りまくってたので職業意識とか全くなかった。今、ちょっとだけ「労働」分かるかも

坂上秋成 @ssakagami7776

トイレ掃除を嫌がる人が駄目だなどとは全く思わないけど、トイレ掃除できない人には絶対麻雀で負けないよ。僕は特定の宗教に入ってないけど、今でも雀鬼流をベースに人生を生きてます。