人に勧めるには注意を要するカー作品
桜庭一樹先生は、バンコランの少年時代を書いているけど、正直俺にはあれはアンリ・バンコランというより、ジャック・バンコラン(漫画「パタリロ!」に出てくるMI6の諜報員。カーが元ネタ)の少年時代とかぶって仕方なかった。
2010-08-06 01:34:49カーは『火刑法廷』しか読んでいないけれど、衝撃度の点でいうと初カーがこの作品で良かったと思う。他のカー作品への入り口にもなったし。
2010-08-06 01:12:31人にお勧めするのに注意したいというと、いまなら『火刑法廷』を挙げたい。オレはミステリ読み始めた頃に読んで、それこそ天地がひっくり返ったかのような衝撃を受けたけど。いまでは定番ネタと化しているので、できたら早めに読んで衝撃受けて欲しいなと。
2010-08-06 01:03:33似たようなきちがい爺さんタイプに見えるフェル博士(及びH・M卿)とポアロを比べると、ポアロは探偵として戦うのは私情・友情のためであり、それ以外においては人に対する残酷なまでの好奇心ゆえの観察者であるように思う。
2010-08-06 00:43:01一方、フェルやH・Mは若人のことなんて最初から全部お見通しでw、前途洋々たるべき彼ら(赤の他人である)のために事件をどう無難に決着させるかに腐心している。
2010-08-06 00:45:43似たような探偵なのに何故、微妙だが決定的に違うように感じたのか、これはやはりクリスティとカーの問題意識の違いだろう。クリスティは犯罪の起こる人間関係を豊かに書きたいのであって、事件そのものの謎は小説の彩りという序列が感じられる。(それでも事件の謎も凄いが)
2010-08-06 00:51:51カーは事件そのものを楽しく読ませることが第一で、推理小説を無邪気で知的なエンターテイメントと割り切っていると思う。ここで強調したいのは「無邪気さ」である。怪奇趣味も不可能犯罪もきちがい爺さんも全部無邪気さの産物なのである。
2010-08-06 00:54:40「邪気」の有無というのはミステリ作品のあり様を決定的に変えるものだと思っている。クリスティがそういうどろどろの「邪気」を煮詰める鍋として開発したとすらいえるw、クローズドサークルというものを無邪気に使う新本格はそりゃあ歪と言われるかもしれないな。
2010-08-06 01:00:04誰も「アラビアンナイトの殺人」について触れてくれない。買ったはいいが、カーのこれは読むな発言の筆頭株らしいのでなかなか読むタイミングが無くて……。すごい面白そうにdisってくれたら読む気も増えるのにw
2010-08-06 01:12:38カーマニアの中には私が間違っていると思うタイプがいて、それはカーの良さを怪奇趣味「だけで」説明してくれる人。あの怪奇趣味はまさに無邪気の塊であって、あれが本気でおどろおどろしいと思う感性はいかがなものか。つまり本当に幽霊のしわざかも!とか思ってるタイプ。
2010-08-06 01:21:37それゆえにカーを褒めたり特徴をあげる時に、怪奇趣味云々は誤解を招く恐れがあるので言わないようにしてます。カーがなんかホラー系だと勘違いして読んでない人もわりかしいるはず。もっと破天荒で楽しいものだということを強調するべき。
2010-08-06 01:24:18カーの「ビロードの悪魔」を読んでから知ったのは、しゅのうせんせいの「キマイラの新しい城」はあれの逆パターンをやりたかったのだということ。せんせいも相当楽しいけど、やっぱカーの方が一枚上手です。
2010-08-06 01:42:09@_1026 あとは創元推理文庫版だと、見取図なしで現場の様子を頭に描くという楽しみ/苦行がw >『アラビアンナイトの殺人』
2010-08-06 21:15:18