ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード #3
フィルギアはトックリからオチョコにサケを注いだ。ニンジャスレイヤーにも。彼はオチョコを受け取った。「大事件だぜ……災害みたいなものさ。いや、獣かな……で、その罪人を地の果てまで追い、仕留めたのが、ヤマト・ニンジャ」フィルギアは目を閉じた。「彼の槍。『ヤリ・オブ・ザ・ハント』」25
2012-11-06 21:17:06「ヤマト・ニンジャの凱旋……心底ホッとしたね。だって、ワケのわからない不条理だ……ニンジャでも無い、只の人間がだぜ……最終的にヤマト・ニンジャの手をもってして、ようやく……ワケのわからない不条理……オヤジ、サケを」「ハイヨロコンデー」 26
2012-11-06 21:22:50「ヤマト・ニンジャのしめやかな帰還……凱旋は、色々あって、侘しいものだった……侘しいものさ……ま、奴の話はそれくらいでいい。俺も色々あってね……その後、逃げて、寝て、起きた……いつだ、その次は。起きてみて驚いた。記録にさ……一度じゃない……その後もナラク……記録がな。サケを」27
2012-11-06 21:30:36「ハイヨロコンデー」「なァ、アンタはさァ、お前、どうやってるんだ?それェ」フィルギアはサケを呷り、「どうやって……お前どうやって、そうしてる?」「どうやって、とは?」「ナラクはさァ、現れるたび、それこそ、まるで台風や竜巻みたいなものでさァ……お前はどうやってるんだァ……」 28
2012-11-06 21:34:29「やめておけ」「話はまだだッて……サケェ」ニンジャスレイヤーは店主に目配せし、おかわりを止めた。フィルギアは空のトックリをオチョコに傾け、「……お前、ナラクの何を知ってる?せっかくコントロールできてる……勿体無いぜ……昔のニンジャスレイヤー達のようになっちまわないように……」29
2012-11-06 21:43:27「いずれナラクが俺を殺し、災害と化すと?」「可能性の話……」フィルギアは薄ら笑いを浮かべ、「おっかなくてしょうがない……いずれ、ちゃんとしてくれねえと……真実を……俺やアンタの知らない真実……ナラクが何なのか…どうやって生まれたのか……ちゃんとしてくれねえと……ヒヒッ……」30
2012-11-06 21:58:52……「銀行員か」ニンジャスレイヤーは呟いた。路地を歩く彼の腕に縄めいて巻きつくのは、ナムサン!蛇である!しかも蛇は口を動かし、人語を発した!変身したフィルギアなのだ……!「そう……銀行員……銀行員。アンタも気になるだろォ」「もう一度洗い直すとするか」「それがいい、それがいい」31
2012-11-06 22:18:23彼らはやがて庁舎前の噴水に差し掛かる。ニンジャスレイヤーは腕を振り、蛇を水の中に投げ込んだ。「ハハーッ!ハハハハハ!」笑いながら水中でのたうつ蛇は、突如コヨーテに変身した。「イッヒヒヒヒヒ!」コヨーテは不気味に笑って噴水から這い出すと、ブルブルと水を散らした。「ヒヒヒヒ!」32
2012-11-06 22:23:29コヨーテはニンジャスレイヤーを見上げた。「イヤァ、悪いなァ、助かった、冴える、頭が冴えたぜ、ハハハハ」「被害者をもう一度調べるとしよう」ニンジャスレイヤーは言った。「ウシミツ・アワーのルート808を銀行員がバイクで、何の目的で。……洗い直す」「そうそう。イイ線ついてる」 33
2012-11-06 22:33:14空は白み始めている。道の端の粗大ゴミの陰からバイオネズミが飛び出し、路地裏へ駆け去った。歩くニンジャスレイヤーの後をコヨーテが着いてゆく。「段々わかってきたと思うが、サークル・シマナガシは、陰謀とは無縁だぜ」歩きながら、コヨーテがヘラヘラと主張した。「信じてくれてイイぜ……」34
2012-11-06 22:44:43