ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード #2
(あらすじ:ウシミツ・アワーのルート808で行われた危険な暴走バイクレース!暴走バイクチームのリーダーであるカケルはチョッパーバイクにまたがる二人のニンジャに敗れる。敗れたカケルはメンツを保つため、ケジメ覚悟でヤクザ暗殺部隊を手配した。)
2012-10-30 22:06:03(だが、ヤクザ暗殺部隊はルート808を封鎖したアマクダリ・セクトの3人のニンジャに思いがけず皆殺しにされてしまった。ナムアミダブツ!アマクダリ・セクトのニンジャは何を目的にしていたのか?その答えはおそらく、勝利したチョッパーバイクにスピード勝負を挑んだ乱入存在にある。)
2012-10-30 22:11:54(謎のエアロバイクにまたがり、サイバネティクス・ニンジャ・アーマーに身を包んだ乱入存在はクロームドルフィンと名乗り、チョッパーバイクを手玉に取ると、そのままアマクダリの道路封鎖すら飛び越え、夜の闇に消えた!バイクから振り落とされ呻く二人のニンジャをアマクダリ・ニンジャが取り囲む)
2012-10-30 22:15:20(しかしながら二人のニンジャ、スーサイド、そしてフィルギアは、ハナからやる気十分!どうやら彼らは、アマクダリ・セクトが現れる事をハナから狙っていた節がある。一体何が起ころうとしているのか?その場に相次いで出現した新たなニンジャ、ルイナーそしてアナイアレイター!彼らに注目せよ!)
2012-10-30 22:18:43「……宣戦布告?セクトにか?」ポインターが呻いた。アナイアレイターは首をゴギリゴギリと鳴らした。フードの下の影から見え隠れする金色の瞳の圧力!「何がおかしい。おまえらはアマクダリ・セクトだろう。だからおまえらに宣戦布告するんじゃねえか!」「な……どういう事だ」「あン?」1
2012-10-30 22:22:54「なぜセクトに……宣戦布告を……」「話が進まねェ!段取りが悪いぞ、フィルギア=サン!」アナイアレイターが吠えた。「あァ?」「俺らがバイカーのガキどもをコケにする。ガキがヤクザを呼ぶ。ヤクザがアマクダリを呼ぶ。それを潰す。だろ!」「ああそうだ、うん」フィルギアが頭を掻いた。 2
2012-10-30 22:25:18「何で話が噛み合わねェ」アナイアレイターは苛立たしげに言った。「騒ぎを収めに来たんじゃねェのか?こいつらは」「……」フィルギアはポインターとフォールダウンを見た。「何にせよ、こいつらがアマクダリってのは確かなんだろ。同じ事だッて」「……!」フォールダウンとポインターは身構えた。3
2012-10-30 22:34:43「今更くだらねェ事言ってんじゃねえ」スーサイドは両拳をガシガシと打ち合わせる。ルイナーは自らが破壊したニンジャの死体を踏みにじり、緩慢とも思える動作で、カラテを構え直す。アナイアレイターは納得した。「OKOK……面倒くせえからな」 4
2012-10-30 22:44:11「貴様らッ!セクトと積極的に事を構えるというのか?」ポインターが狼狽えた。彼の装束の背中はじっとりと汗で滲んでいた。3対2で敵ニンジャを包囲したつもりが、なぜか2対4で包囲されてしまっている。サークル・シマナガシ?理解できぬ……理解できぬながら、この頭目ニンジャの金色の目……!5
2012-10-30 22:49:26「そこにいるのはフォールダウン=サンか?そしてポインター=サン」バリケード上に新たな影が三つ。バリケードの向こう側から登って来た者達だ。全員がそちらを見た。「ドーモ。オーファンです」三つの影の真ん中がオジギした。ポインターは安堵した。オーファン!アマクダリ・セクトのニンジャだ。6
2012-10-30 23:00:05「ドーモ。ポインターです。良き所にきた!」だがオーファンは首を傾げた「それよりも!こっち側のヤクザどもの死体!貴公らがやったのか?我々の庇護下のクランだぞ」「そんな話はドブに捨てろ!我々は重要ミッションの最中!くわえて今、正体不明のニンジャどもに遭遇!」ポインターが怒声を返す。7
2012-10-30 23:07:25「サークル・シマナガシとかいうカスが、セクトに宣戦布告!トラッカー=サンがアンブッシュを受けて死んだ!一刻も早くこいつらを……」フィルギアがジョイントを咥え、火をつけた。スーサイドは火を借り、自分のタバコに着火した。ルイナーは辞退。アナイアレイターは我慢の限度を超えた。 8
2012-10-30 23:15:09「面倒臭え!」アナイアレイターが長い手足をひろげ、仰け反った。両目がひときわ強い金色に輝き、フードが跳ね上がると、鉄条網めいた恐ろしげな素材で作られたメンポが明かりの下に晒された。「ヤバイ」フィルギアは一番速く地面に伏せた。スーサイドとルイナーがそれに続いた。「イヤーッ!」9
2012-10-30 23:20:20「な……アバーッ!」「アバーッ!」ポインターとフォールダウンは死んだ!鉄の棘が彼らの全身を一瞬にして蹂躙し、引き裂いたのだ!「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」バリケード上でも同様の断末魔が三つ!見よ!アナイアレイターの両袖と両足の裾から放射状に伸びた無数の鉄の蔓草!10
2012-10-30 23:26:17鉄条網めいた蔓草は一瞬にして彼の周囲に展開、ポインターとフォールダウンを引裂き、さらにバリケードを這い上り、上で身構えていた三人の新手ニンジャにも到達、同様に引き裂いたのだ!身につけたパーカーやカーゴパンツもズタズタに裂け、鉄条網の鎖帷子めいたニンジャ装束が下から現れた!11
2012-10-30 23:31:01「スーサイド=サン!わかッてんだろ!」フィルギアがうつ伏せ状態で叫んだ。その頭のすぐ上には鉄条網が網めいて展開している。同様にうつ伏せで無差別攻撃をやり過ごしたスーサイドは素手で鉄条網をかき分け、起き上がった。彼が手を触れた鉄条網は、錆び屑となり崩れ落ちる。フシギ! 12
2012-10-30 23:40:06「フォハハハハ……フォハハハハハ!」アナイアレイターが超自然めいた哄笑を放つ。装束表面の鉄条網がざわつき、さらなる無差別攻撃の発動を懸念させた。スーサイドは地面に展開する棘を踏み越え、アナイアレイターのもとに駆け寄った。「イヤーッ!」そして殴りつけた!「グワーッ!」13
2012-10-30 23:44:08インパクト瞬間、白い光が弾け、スーサイドの身体に吸い込まれた。スーサイドはよろめくアナイアレイターの首を掴む。「クソが!」そして地面に叩きつけた。「グワーッ!」身体から離れた装束以外の鉄条網が全てバラバラに分解、砂鉄となって地面に散った。 14
2012-10-30 23:50:40「結果オーライ、結果オーライ」フィルギアとルイナーが起き上がった。「生きてるぜ」スーサイドがバリケード上を見た。オーファンと名乗ったニンジャに息がある。「貴様、貴様ら、アバーッ……」彼はよろめき、バリケードの反対側に転げ落ちて見えなくなった。 15
2012-10-30 23:55:00スーサイドはバリケードへ向かって歩き出すが、ルイナーが止めた。フィルギアは己の砂鉄を払った「距離が遠かったか、それなりにやる奴なのか……まあ、一人逃げたほうが都合がいい。宣戦布告なんだし。結果オーライ」「こいつ本当クソだぜ」スーサイドは地面に寝転がるアナイアレイターを睨んだ。16
2012-10-30 23:58:56「ようし!これで何もかも始まったッてわけだ」アナイアレイターが平然と起き上がった。「計画達成だぞ、お前ら!」「何となくうまくいってるのがまたムカつくんだよ」スーサイドが苦々しく言った。「便利だなァ、お前のソウルアブソープション・ジツってのは」アナイアレイターが悪びれず言った。17
2012-10-31 00:09:31パンク・ニンジャを憑依させたスーサイドのジツは、対象の魂の力を吸収する危険な「ソウル・アブソープション・ジツ」。空気中の重金属分を触媒にニンジャソウルのエネルギーを結晶化させて作り出す、アナイアレイターの恐るべき鏖殺鉄条網を破壊する事ができるのは、そのジツゆえだ。 18
2012-10-31 00:21:48ではアナイアレイターの憑依ソウルとは何なのか?その名をフマー・ニンジャ。通常、憑依ソウルの格は必ずしも現世のニンジャの力をそのまま規定するものではない。しかしそれを置いてなお余りある暴力的な力!サークル・シマナガシとは即ち、彼アナイアレイターを中心とする反逆組織なのだ!19
2012-10-31 00:33:31……数分後、爆音とともにその場へ到達した、カケル率いるワンダリング・マンモス・レンゴウは、何らかの破壊の痕跡と、道路封鎖バリケードを前に、ただただ呆然とするほか無かった。「リーダー、これって」「こっちに死体!死体がいっぱいだ!ヤクザの!」様子を見に行ったライダーが叫んだ。20
2012-10-31 00:41:28