軍人と暗殺者

長月笹良 @sasa_sep

@Yukilinus 『吸い終わったらやられる…！』そうだ、ベンジャミンの家業は使い捨て暗殺者になった（一昨日）ので、もし蓮見さんが軍人になってたら命を狙ってたかも、ってなんか萌える！

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 素敵萌えるｗｗそういう意味も含めて二人は真反対なので、蓮見に半ば強引に日本刀を持たせたというのもあるんですよ。正統派と異端派の対比というか。まあ、暗殺者が来るのを楽しみに待ってるでしょうねこの軍人は…そして俺得のみの立石さんの過去話書いてる…

長月笹良 @sasa_sep

@Yukilinus それで戦争が終わるならくれてやるけど、上の奴らが講和だなんだ引き延ばしてやがるんだ。将兵の首ひとつじゃ何も変わらねえよ、やめとけやめとけ。刃を突き付けられて尚、平然とした態度に戸惑う。命乞いでも喚きたてるのでもなく、自分の命などどうでもいいとでも言いたげな。

長月笹良 @sasa_sep

@Yukilinus お前だって、俺を殺してここから出られると思うのか？ 沈黙で応えると鼻先に皺を寄せた。使い捨てかよ、勿体ねえ真似しやがる。自分よりも刺客の命が気にかかるのか、この男、器が大きいのかただの馬鹿か。だが、僕が送られる価値があるのは確かだ。大佐！ 背後で声が上がる。

長月笹良 @sasa_sep

@Yukilinus 咄嗟に薙いだ刃は躱され、僅かに肩を掠めた。危ねえ、撃つな！ 銃を構える部下に叫ぶ隙に、窓ガラスを破って飛び出す。おい、手ぶらで国に帰れないってんならうちで雇うぞ、俺の護衛はどうだ？ 銃弾の代わりにどこか楽しげな声が降ってくる。一体なんだ、なんなんだあの男は？

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep さて今日の金髪のやたら綺麗な刺客は、敵国、上層部どちらからのものだったのか。敵国からは負けなしの指揮官と恐れられ、上層部からは命令に従わないと嫌われてる身としては心当たりが多くて困る。あるいは･･･双方裏で手を組んで俺を潰しにかかったか。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep あいつに聞いときゃ良かったな。どうせまた来るだろうがあの凄腕暗殺者。窓ガラスを破って逃亡、なんて派手にやってくれたお陰でいつもは静かな俺の部屋がちょっとした騒ぎになった。もっとも、刺客が来るのは俺や俺の部下達の間では、もはや日常になっている。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 俺の上司なんぞは同じ建物の中にいるくせに電話一本寄越さない。さすが昼行灯後藤。どうせ今度会った時に「一発で仕留めときなさいよ、君にしてはヘマしたねえ」とかで終わる。ありがたいと言うべきなのかあんたもまともに働けと言うべきなのか。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 左肩の手当てを部下にさせてると、どかどかと乱雑な足音が廊下から響く。 来やがった。ノックもせずに乱暴にドアが開かれる。どしたのじーさん血相変えて。返事は拳骨。さすがは鬼軍曹立石。慌てたのは手当てをしてた部下だった。爺さんを止めに入るが逆に怒鳴られてる。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 俺のせいで見事に八つ当たりされてるな、と思わずため息が出た。もう下がってろ、と涙目の部下を追い出すと爺さんはソファに座ってこちらを睨みつけた。あれ程言うたろう、刺客は取り逃がすなと。人間だもの、失敗する時だってあるさ。阿呆。今度は拳骨は落ちなかった。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 刺客は奴らにとって消耗品ぞ。お前が情けをかけたところで捨てられるのがオチじゃ。…勿体無い。今思い出しても背筋に寒気が走る、美しい深緑の瞳。俺の言葉を聞いて不思議そうに見つめられ、逆に見惚れた。刺客のくせに、あんなに標的を真っ直ぐ見てくるなんて変わってる。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 蓮見、お前楽しんでるな。俺が笑ってることに気付いたのだろう。立石の爺さんは呆れ顔で言う。だってじーさん、それ位楽しみがなきゃやってられねえよ？大佐なんて。しかし、俺一人に何だってこんなに男女問わず送り込んでくるかね。そりゃお前が死ねばこの戦は変わるからのう。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep そこまで背負った覚えはねえ。 とにかく気を付けろ。お前がここまで育ててきた部隊を能無しどもにくれてやることはないのだからな。うん、ありがと。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 蓮見大佐。廊下に出て爺さんを見送ると、声をかけられ振り向く。小柄な美女とその護衛の野獣が歩み寄ってきた。何かご用ですか藤野宮中将。俺より年下の中将殿は優雅に微笑む。聞いたぞ大佐。刺客に襲われたとか。人の不幸が、楽しそうですねえ。こうして公になることが愉快でね。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep お前さんには何人も送り込まれてる筈なのに全部一撃で仕留めているだろ？派手に逃がしたそうじゃないか。まさかあんたまで何人か送り込んでるんじゃなかろうな？この女ならやりかねない。俺の顔のひきつりと敬語を使い忘れた様が楽しかったのだろう。ころころと鈴の様な声で笑う。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep いいえ。私はお前さんが上層部に楯突いてくれてる間は味方だよ。それに。それに？刺客なんか送り込まなくても椿に命じれば済むこと。さらりと、この国有数の貴族のご令嬢は言ってのける。おっかない。大変だねえ。寝所にまで刺客が入られては夜も寝れまい？

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep にこりと笑いながらこう付け加えることを忘れない。まあ、お前さんのことだ、大方、体使って骨抜きにして情報を聞き出した挙げ句始末してるのだろうけどね。シーツの替えは足りているのかい。どこまでも見透かすこの中将殿が、俺ははっきり言って苦手だ。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep ……中将殿、遊びに来たんですか。お察しの通り自分は寝不足ゆえ仮眠をとりたいのですが。いいや、お前さんに椿を貸してやろうと思ってね。は？立石だけでは無理だよ。お前さんがあの爺さん以外信用できない気持ちも分かるがね。でもそろそろ限界だ。違うかな？

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 返す言葉がない。そう、いい加減俺一人では限界がある。椿の狙撃の腕は知っていよう？ええ。狙撃も出来るし楯にもなる。料理も出来るゆえ、毒殺の心配もなくなる。お前さんにうってつけだと思うが。…中将殿が自分にそこまでしてくださる理由は何です。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 中将殿は俺のことをそんなに好いていないはずだ。いや、俺に限らずこの人は軍人自体を嫌っている。この狭い軍部の中で権力争いに没頭している男どもを冷ややかに笑っているのだ。言ったろう？私はお前さんが上層部に楯突いてくれればそれで良い。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep 俺は噂だけでしか知らないが、中将殿の婚約者は軍部の派閥闘争に巻き込まれて殺されたと聞いたことがある。婚約者が生きていた頃は邪魔になると身に着けていなかったのに今はこれ見よがしに首から下げている婚約指輪。それがこの人の、俺への協力の本当の理由だろう。

ゆき。 @Yukilinus

@sasa_sep お前さんが上層部の言いなりに作戦遂行する様になったら無駄な死人が増えるからな。自分はそこまでこの戦を背負ったつもりはありませんが。いい加減覚悟をおしよ、大佐。ここまで来たのだ、背負え。…ご冗談を。先ほどの立石のジジイの言葉を思い出して思わず俺は顔を顰める。