貧困の歴史についてのあれこれ

中近世ヨーロッパを中心に、貧困の歴史についてのやり取りをまとめてみました。このまとめは「ひすとり!~歴史ごった煮闇鍋マガジン~」のコンテンツです。http://wikiwiki.jp/wesmag/
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黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@almadaini あぁ、ケンブリッジのそれは英語で読める文献としては有名ですね。あと日本語でも地中海世界を対象とした論文集みたいなのがあったかと思います。

2010-01-25 23:31:34
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

@NijiKarainbow 現代にまで繋がる貧民観は、だいたいこの時期に確立されたと思います。つまり、老人や障害者など働けない貧民のみを慈善の対象とし、働く能力のある貧民を怠け者の犯罪者だと見なす貧民観です。だから、近世には当局による浮浪者への強制労働が行われたと。

2010-01-25 23:32:12
almadaini @almadaini

ムハンマドは、結構孤児とか、社会的弱者に対する保護を重視している感がある。

2010-01-25 23:32:29
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

RT @almadaini 中世イスラーム世界貧困研究Adam Sabra,Poverty and Charity in Medieval Islam: Mamluk Egypt, 1250-1517,2000 http://bit.ly/8W0WDh #rekisinews

2010-01-25 23:35:09
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@saisenreiha その通りですね。一方で、結果として出現する経済的貧民あるいは経済的な困窮状況のみが問題とされるよういなってきたとも思います。社会的ネットワークや地位、あるいは基盤がないことが貧困の条件でもあるはずなのですが、そこへの注目が完全ではないですが失われていく。

2010-01-25 23:35:32
almadaini @almadaini

@NijiKarainbow 論文集ですか?貧困関連で、誰が書いてるんだろう。と思ったら、長谷部先生の編集で出てたんですね。これは把握してませんでした。『中世環地中海圏都市の救貧』http://bit.ly/8T2QSp

2010-01-25 23:37:53
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

フランスだと浮浪禁止令がジャン=フィリップだったかに出されて、浮浪者は働けよ、ぼけって言って労働力を確保し、労働賃金と物価上昇の低下が試みられたりするわけだ。

2010-01-25 23:39:49
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@almadaini あ、まさにそれです。ただもう少し幅広い地域での比較研究をしたほうがいいよねぇって話はよく他の先生としています。てか、イタリアとフランスも入れたほうがよかったのにorzみたいな。

2010-01-25 23:40:51
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

@NijiKarainbow 私はこのあたり詳しいわけではありませんが、近世以降はプラグマティックな救貧政策が出てくる一方で、貧困や浮浪が犯罪化する、つまり貧民が社会秩序を壊す危険な者達であるという考えが広まった時期だと見なす研究を良く目にする気がします。

2010-01-25 23:41:26
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

中近世では失業が労働力の需要と供給で決まるということはまだ知られておらず、失業も神のだと見なされていたと、どこかで読んだ気がする。

2010-01-25 23:43:47
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@saisenreiha ただ、「犯罪=反社会秩序」と結び付けるというよりは、16Cでもまだ悪しき貧者は犯罪を犯すから悪いのではなく、働かずに喜捨の対象になるから悪しき者とされているのではないかとも思っています。個別の都市でかなり差異があるので一概に言えない状況もあります。

2010-01-25 23:47:51
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

しかし、専門に近い近世ドイツの貧困についても、全然サーベイできていないし、手に入れたけど読んでいない文献が山積みなので、博論が終わったら一度腰を据えて研究史整理する必要があることを実感する。

2010-01-25 23:48:29
almadaini @almadaini

@NijiKarainbow ビザンツ、エジプト、スペイン、エルサレム、中国(宋)というラインナップなんですね。確かに「環地中海」ならイタリアやフランスも入れてほしいところです。

2010-01-25 23:48:35
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@saisenreiha 河原温さんなどがその辺フランドルで書かれていますね。

2010-01-25 23:49:15
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@almadaini 今興味を持っているのが各都市にいたであろう遠隔地商人や移民による相互扶助の問題ですね。ヴェネツィアあたりの商人はイスラム方面ではどのような互助関係を作り上げていたのかなどは非常に関心があります。

2010-01-25 23:52:12
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

ちょっと頭の中がぐだぐだになってきた。とりあえずもう少しまとめてから話したほうがいいな。あと近年の貧民、貧困研究もちゃんと抑えないとな。なんか再燃してるって話だし。でも流行り廃りだけで研究かよ!とか言いそうになるけど飯食うためだと仕方ないのか残念。

2010-01-25 23:55:43
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

@NijiKarainbow 日本で近世都市救貧政策というと、河原温先生が第一人者だと思います。

2010-01-25 23:55:56
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

ぶっちゃけ欧州の貧困研究は60年代と80年代がメインだと思う。あと社会福祉!ボランティア!みたいなところからの研究は90年代からされている。医療の社会史もその辺からかな。

2010-01-25 23:57:03
almadaini @almadaini

すでにご存知かもしれませんが、そのあたりでは堀井優さんが研究されてます。相互扶助を扱ってるかはわかりませんが。http://bit.ly/71a27V

2010-01-25 23:58:01
almadaini @almadaini

リプライじゃなくポストしてしまいました。@NijiKarainbow すでにご存知かもしれませんが、そのあたりでは堀井優さんが研究されてます。相互扶助を扱ってるかはわかりませんが。http://bit.ly/71a27V

2010-01-26 00:00:20
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@saisenreiha そうですね。政策としての救貧についてなら河原先生が第一人者だと思います。私ももろに影響を受けた一人ですね。

2010-01-26 00:00:24
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

@NijiKarainbow きちんと調べたわけではありませんが、貧民、あるいは貧困そのものを扱った研究はそれほど多くないのではという印象はあります。救貧政策についての研究は、それほど死ぬほどありますが。

2010-01-26 00:02:13
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@almadaini おおー、これは助かります。

2010-01-26 00:02:34
黒鮭虹鮭 @NijiKarainbow

@saisenreiha ポーランドのゲレメクやフランスのモラなどの研究以降は貧民そのものを対象とした研究は大きく出てきていない感じですね。貧民の声を聞くことが本当にできるのかどうかなんて中二病になったこともあります。それそのまま師匠の研究に対しての問題意識だったんですけどね。

2010-01-26 00:05:15
Tetsuya Nagamoto @saisenreiha

正直貧民に関する史料は非常に乏しいのが普通なので、研究が凄く難しいんですよね。史料的にも、研究手法や分析方法にしても、相当工夫しないとならないので、貧民でなく当局の救貧政策を分析しがちになるのは仕方がないところはあります。

2010-01-26 00:07:19