バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト #1

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

浴槽の対角の岸にはバンブーのゴザが敷かれ、極めて大柄な別のニンジャがアグラしている。こちらは白いニンジャ装束の上半身をはだけ、黒いタトゥーまみれの逞しい上半身を剥き出しにしていた。やはり裸の召使いめいた男女が彼の周りに集まり、肩に鍼灸をしたり、治療針を刺すなど、世話していた。51

2012-12-25 22:58:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「初夜権というのを知っておるか?オーバーウェルム=サン」カミザのニンジャはオイランに性退廃行為をさせながら、極めて大柄なニンジャに話しかけた。「面白き話よ。婚前の領民を召し上げ、夜通し前後するのだ。平安ニンジャ貴族は存分に権利を行使していた。そののちの世においてもな」 52

2012-12-25 23:02:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オーバーウェルムと呼ばれた男は特に返事をせぬが、そのニンジャは上機嫌で話し続ける。「故に私もその史実になぞらえる。この宮殿は所詮、平安時代に私自身の憧れを投影した一方的なものかも知れんがね、実に……おお……よいぞ……不断の努力の産物よ。ノブレス・オブリージュとでも言うべきか」53

2012-12-25 23:09:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

焚かれ続ける化学物質によって、この巨大酒池肉林に侍る男女の意識は常時夢見心地だ。濁った目をしていないのはこの二人のニンジャのみであった。「人の向上心とは際限無きものでな。そこらの実際安いオイランではダメだ。初夜権も要は比喩よ。わかるかね?美しく希少な物を尊ぶという事だ」 54

2012-12-25 23:18:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「成る程」オーバーウェルムが相槌を打った。カミザのニンジャは続ける「私の長い指は遠くキョートにまで届く。不断の努力よ。日々、宝玉を捜し求める。いわば大航海時代だな。ピサロ、コルテス、彼らはニンジャでは無かったかね?痛いほどにわかる……彼らを探索行に向かわせた王侯の熱情は」 55

2012-12-25 23:25:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その様子だと、上首尾だったと……ウーム!」オーバーウェルムは肩に打たれた針がもたらす快楽に震えた。「……いう事ですか?」「フフフフ、然り」ガンダルヴァは恍惚とした。時をはかったかのように、ヴェールの外でハンドベルが鳴らされた。「ガンダルヴァ=サン。こちらへお持ちしました」 56

2012-12-25 23:32:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待ちわびた!」ガンダルヴァと呼ばれたカミザのニンジャが歓喜した。「よいか?オーバーウェルム=サン。ただカネにあかせてオイランの頭数を掻き集める?それでは下の下よ。それでは到底、神秘的快楽の奥義に触れる事はできん。見るがいい。今回の成果だ!……入れ!」 57

2012-12-25 23:37:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヴェールが開き、X字の鋲打ちベルトとバラクラバを身につけた屈強な親衛戦士が、金の首輪をつけた「今回の成果」を浴槽の縁に立たせた。彼女は恐怖に震えていた。オーバーウェルムは目を見張った。ガンダルヴァは目を細めた。「ようこそ、キナコ=サン。快楽の園へ」 58

2012-12-25 23:43:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト」#1 おわり。#2 に続く)59

2012-12-25 23:44:16