バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト #4

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト」#4

2013-01-10 14:44:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンダルヴァの促しに応え、闇カネモチのそれぞれのテーブルに同席していた闘士たちが、一人、また一人と各自のカラカサの下から進み出る。その全員がニンジャ!そう、このエキジビションがニンジャ同士の戦闘イベントである事は、闇カネモチ達の間では暗黙の了解だ。非ニンジャなどお呼びでない! 1

2013-01-10 14:49:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャとは闇の力の象徴存在であり、それをバウンサーとして手元に置くことは、すなわち闇権力の誇示に他ならない。この場に単なるカラテカなど連れてくれば、嘲笑にまみれるばかりか、そのカラテカも確実に死ぬ。読者の皆さんに醜態を晒したシーホークのようなニンジャでさえ、十分に強いのだ。 2

2013-01-10 14:55:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャ達は多彩なニンジャ装束に身をつつみ、殺気のこもったニンジャ的な目を光らせて、ガンダルヴァの桟敷の前に集う。その中にアコライトの姿もあった。メンポこそ装着していないものの、その身にまとうのは、ボンジャン・バトルカフタンをアレンジした、白と橙のツートーンのニンジャ装束だ。 3

2013-01-10 15:00:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「今回もまた、よくぞこれほどの戦士達が集いしことよ!」ガンダルヴァが恍惚めいて言った。「大変に喜ばしい。皆様方におかれては、この神前闘技の真剣重大な神聖性を、回を重ねる程に益々深くご理解いただけているという事、光栄の至り!」闇カネモチ達の拍手!互いに油断ならぬ睨みを交わす!4

2013-01-10 15:07:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャ達の体格・アトモスフィアは様々だ。しかし彼らと向かい合って立つオーバーウェルムはその誰をも圧倒する凶悪な迫力を放射し、無言のうちに、この場にいる者達にわからせるのだ……最強とはオーバーウェルムであり、島の支配者とは即ち、最強の彼を顎で使うガンダルヴァであると! 5

2013-01-10 15:22:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オミクジを!」ガンダルヴァが片手を高く上げた。八角柱形のオミクジ箱を持ったコーカソイドのオイラン美女が、ニンジャ戦士達の前をするすると歩き、微笑みかける。アナスタシアだ。箱の底には切れ込みがあり、そこから平たい棒状のオミクジが飛び出す。ニンジャ達は一人一人、それを受け取る。 6

2013-01-10 15:26:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトも他のものに倣い、オミクジを受け取る。彼のオミクジには蛇の焼印が捺されていた。即ち、第一戦の戦闘者に選ばれたしるしだ!「……」アナスタシアは意味ありげな目線をアコライトへ投げた。昨日の彼女の言葉がアコライトの脳裏をよぎる。 7

2013-01-10 15:31:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブヒヒッ……オミクジよりも俺はお前の身体に興味があるんだぜ!」肥満したニンジャがアナスタシアの胸を鷲掴みにしようとした。「いけませんわ」アナスタシアは緊迫した苦笑を浮かべて身を逃れ、クジを渡した。「ブヒィー……御高くとまった娼婦!気分が悪いぜ。お前も売り物なんだろうが!」 8

2013-01-10 15:39:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「神聖な闘技ゆえ、今は控えられよ」ガンダルヴァが見咎め、桟敷上から手振りで制止した。「アアー?」肥満ニンジャは濁った睨みをガンダルヴァへ向けたが、オーバーウェルムが無言で彼に向き直ると、曖昧な笑いを浮かべて引き下がった。「ピリッと効いた冗談よ。ブヒヒッ……」 9

2013-01-10 15:41:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴方もオミクジの確認を」アナスタシアが促した。豚じみたニンジャは小さい目で己のオミクジを覗き込む。蛇の焼印だ。「アタリか?誰だ、俺の犠牲者はよォー!」「前へ出るがよい、選ばれし代理戦士よ」ガンダルヴァが言った。アコライトが進み出た。豚じみたニンジャは嘲笑した。「ブヒヒッ!」10

2013-01-10 15:47:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

巨体を揺さぶり、肥満ニンジャも前に出た。その背丈はオーバーウェルムよりも大きいほどだが、肉体の緊張感は段違いであり、かえってオーバーウェルムの凄まじさを際立たせる結果となっていた。アコライトと肥満ニンジャは向かい合った。「ドーモ。アコライトです」「ドーモ。ウォーピッグです」 11

2013-01-10 15:51:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ウォーピッグは下卑た含み笑いを漏らす。「生臭い堕落ボンズの物見遊山!好奇心の代償は火傷で済まぬぞ。俺は聖職者をいたぶり殺すのが趣味でよ」「いたぶられる趣味はありませんし、負けません」アコライトは動じない。肥満ニンジャは涎を垂らした。「お前じゃ俺の肉体に傷一つつけられんなァー」12

2013-01-10 15:56:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「始めよ!」オーバーウェルムが轟くような声をはなつ。護衛戦士達が素早く動き、円形にスペースを開けた。今まで目立たなかったが、そこには少しだけ高さのあるドヒョー・リングがあった!「「イヤーッ!」」アコライトとウォーピッグは同時に回転ジャンプ!リングの端と端に着地した! 13

2013-01-10 16:01:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、闇カネモチ達の観覧席では、代理戦士それぞれのあるじが睨み合いの最中である。「どうだ、ジバヌチ=サン?圧倒的質量に声も出まい!」サイバーサングラスをかけ、日焼けしたコワモテの中年が、手にしたセンスをジバヌチに向けた。「それにひきかえお前のアレ!冗談か?手負いのボンズとは」14

2013-01-10 16:11:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハッ!」ジバヌチは肩をひと揺すりし、睨み返した。「俺の冗談は面白えぞ、ガラマ=サン。出来ねえ奴を連れてくるかよ」「ぬかせ、老人!」サングラス男は威圧的に歯を剥き出した。「奴の肉は伊達では無いのだ。パワーと速さのミクスチュアだ。わかるか?質量そしてニンジャで最強よ!」 15

2013-01-10 16:17:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オゲェーッ」眼帯とチョンマゲの痩せた男がゲップで遮り、オイランの胸を揉んだ。「どっちでもいいわい!どっちが勝とうが、俺のとこのバグベアーが蹴散らすだけだ!無駄イクサよ!無駄余興!」「何ィー!?」ガラマが眼帯チョンマゲ男にセンスを突きつけた。「今度の奴は相打ちとはいかんぞ!」16

2013-01-10 16:27:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

然り、このガラマとチョンマゲ眼帯男のシマムラは前回のカラテ・エキジビションにおいて互いの代理戦士のニンジャを相打ちで死なせている。彼らの言い争いに悲痛や怨恨は皆無。まるでゲームの駒のやり取りであり、実際、ゲームなのだ。安全な場所から代理のイクサを楽しむ。カネの力で! 17

2013-01-10 16:33:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ウォーピッグが仕掛けた。キリモミ回転ジャンプから、強烈な飛び蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」アコライトは前転して回避!転がって空中のウォーピッグの下を潜り抜け、起き上がりざまの後ろ蹴りを繰り出す。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ウォーピッグはバックフリップで回避! 18

2013-01-10 16:34:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブヒィーッ!」ウォーピッグは向き直り、肥満体でフットワークしながら手招きした。「チョコマカしておるだけで勝てれば世話は無し!俺の軽いパンチ一発でも、お前のどんなヒサツ・ワザよりも質量があって重く強い。見ればわかる!」「フーッ」アコライトは息を深く吐き、右手を前にかざした。 19

2013-01-10 16:40:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「コロセー!」ガラマが叫んだ。アコライトは腰を低く構え、集中した。眉間に血が噴き出さんばかりの血管が浮き上がった。「ブヒヒヒーッ!」ウォーピッグが再び仕掛ける!連続側転しながら大車輪めいてアコライトへ突進! 20

2013-01-10 16:53:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトのニューロンにニンジャアドレナリンが強烈に作用し、主観時間が鉛のように重くなった。思えばこのイクサは左腕を失って以来、初めてのイクサだ。あれ以来彼のカラテは変質を余儀無くされ、精神の傷には邪悪なニンジャの毒が流れ込んだ。試練である。今回のクエストもまた、試練である!21

2013-01-10 16:58:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「死ねーッ!」ウォーピッグが側転から回転ジャンプ!回転空中踵落としで襲いかかる!「イヤーッ!」「ボンジャン!」アコライトが後ろ足に体重をかけ、跳ねた!ドヒョーが砕け土煙が舞う!「イヤーッ!」斜めに突き上げられたアコライトの拳は天を穿つ弩めいて、空中のウォーピッグの股間を直撃!22

2013-01-10 17:18:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!?」己の落下攻撃の威力と迎撃するアコライトの拳撃の威力が足し算された致命的な衝撃力を股間に受け、ウォーピッグは弾き飛ばされながら悶絶した。頭からドヒョーに落下!地響きが中庭に轟く!ブザマな逆立ちじみた体勢のまま、ウォーピッグは気絶! 23

2013-01-10 17:21:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「セイヤッサーボンジャン!」アコライトはボンジャン・ザンシンを行い、気絶した敵を睨み据えた。巨肉でその身を鎧おうとも、無防備股間を晒せばこのような不覚敗北を招く!水を打ったように静まったその場が、やがて、どよめきに包まれた。「勝者アコライト=サン!」ガンダルヴァが宣告した。 24

2013-01-10 17:39:30
1 ・・ 4 次へ