アリスと魔理沙の二人は成人式

君たちの地元の成人式には誰が来るかな!? ※作者様より このSSは東方Project二次創作『永江さん』関連のSSです。
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姫上沙月@ @satsuki_h

顔を真っ赤にしているのがここからでも分かる。緊張しているのか、恥ずかしいのか、それとも母親に対して怒っているのか、よくわからないけど、全部ないまぜにしたもんだと思う。#gentyo_ss

2013-01-13 19:59:09
姫上沙月@ @satsuki_h

「ここに居るみなさんは将来、この街を巣立っていく人も多いでしょう。だけど忘れないで。ふるさとを遠く離れても、きっとあなたたちが帰ってくる場所はここにある。いつでも待っているわ」#gentyo_ss

2013-01-13 20:00:00
姫上沙月@ @satsuki_h

「この街で生まれ、育ったあなたたちなら知ってるでしょう? 途中からやってきた人だって気が付いているはず。この街はね、ありとあらゆるものを受け入れる。それはそれは素敵な街なんだから! 改めて、成人おめでとう!!」#gentyo_ss

2013-01-13 20:01:14
姫上沙月@ @satsuki_h

会場に割れんばかりの拍手が巻き起こる。さっきの市長との落差の所為だろう。きっと。それにしても霊夢も結構マトモなことを言えるんだなと感心した。霊夢のネタリストにしっかりと追加しておいたので今度からかってやろう。#gentyo_ss

2013-01-13 20:02:11
姫上沙月@ @satsuki_h

「それでは、あなたたちの成人のお祝いに、特別ゲストが来ています。あとはそっちに任せるわ。どうぞごゆっくり」チラ、と。去り際に霊夢が私の方を見た気がした。「特別ゲストですって、魔理沙! どんな人が来るんでしょうね」#gentyo_ss

2013-01-13 20:03:15
姫上沙月@ @satsuki_h

「おちつけアリス、少なくともアニメやニンジャは来ない」「ゲーノー人かしら、俳優でも良いわ。なんじゃこりゃあ!! って合わせる準備はバッチリよ」「そいつはもういないぜ」霊夢の退場と共に会場がだんだんと暗くなる。#gentyo_ss

2013-01-13 20:04:23
姫上沙月@ @satsuki_h

ゲストって言ってもこの街出身の有名人か誰かだろう。……ん。この街出身の有名人なんて居たか? と、考えていたら突然イントロが流れ出した。アリスがハッと気が付き立ち上がる。このイントロはどっかで聞いた気がする。「ああ、なんてこと! 魔理沙! 魔理沙!」#gentyo_ss

2013-01-13 20:05:36
姫上沙月@ @satsuki_h

「おい、落ち着けってアリス」「これが落ち着いて居られる!? ねぇ魔理沙!」アリスがこんなに興奮するなんて、アニソンか、その関係の人物だろうか。『みんなお待たせ! 懐かしい人も居るかなー。じゃ、せーので行くわよ! せーの、二人は!』#gentyo_ss

2013-01-13 20:06:42
姫上沙月@ @satsuki_h

ようやく気が付いた。霊夢が私に言ったワケ。だけど、今のアリスを止めることなんて不可能だ。既にこの曲はアリスの思い出として刻み込まれている。はたてとの思い出の歌だ。『秘封倶楽部!!』#gentyo_ss

2013-01-13 20:07:53
姫上沙月@ @satsuki_h

今はシリーズものとして長く子供に親しまれている『二人は秘封倶楽部シリーズ』。その初代である宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン。二人の声優はこの街出身だった。しかしながら所詮アニソン。子供や大きなお友達の心は掴んでも私たちの世代にはちょっとばかり恥ずかしすぎる。#gentyo_ss

2013-01-13 20:08:55
姫上沙月@ @satsuki_h

いや、このイントロを聞けばだれでも思い出すし、そういう世代だったわけなんだけど。それでも臆面もなく、歌い続ける二人に向かって力強い声援を送るアリスの姿は、少しだけうらやましかった。#gentyo_ss

2013-01-13 20:10:03
姫上沙月@ @satsuki_h

『ちょっと声が小さかったかしら。ねぇメリー。一緒に歌ってくれる人を募集しても良いかな? 私、みんなの声がもっと聞きたいわ』『良いけど、蓮子。この会場にそんな人居るのかしら? ほら、私たちって結構時代遅れなんじゃ――』#gentyo_ss

2013-01-13 20:11:34
姫上沙月@ @satsuki_h

「そんなことないわ! 貴女たちは私に、はたてにきっかけを与えてくれたわ! 貴女たちのその姿は、私たちにとっても、みんなにとってもホープ……ええと。希望なのだわ!」『決まったようね、メリー?』『そうね、蓮子』#gentyo_ss

2013-01-13 20:12:21
姫上沙月@ @satsuki_h

壇上から降りた秘封倶楽部の二人は私たちの方まで歩いてくるとアリスに手とマイクを差し伸べる。『チャーミングな金髪の貴女、お名前は?』「アリス・マーガトロイドです」『アリス! 貴女が私たちと一緒に歌ってくれるのね』「ええ! それと彼女も」「お、おいっ!」#gentyo_ss

2013-01-13 20:13:47
姫上沙月@ @satsuki_h

「魔理沙です。私の大切なフレンド」「私は良いって、やめ」「ダメよ、魔理沙。今日のことだってきっといい思い出になるわ。この機会を逃せば二度とないのよ。だったらなんでも。やるべきじゃない」「う、ぐ……それはそうだが」#gentyo_ss

2013-01-13 20:18:02
姫上沙月@ @satsuki_h

『……決まりね』「それとみんな。声が小さいわ。私よりももっと長い間、この国に居るんでしょう? だったらお願い、みんなで一緒に歌いましょう? イチゴイチエ? センザイイチグウ? イッキトウセン?だったかしら」「どれも違うが、……まぁいいや。こうなりゃヤケだ」#gentyo_ss

2013-01-13 20:19:29
姫上沙月@ @satsuki_h

きっと私も、アリスのまっすぐな心にあてられたんだろう。はたてがその気になった気持ちも、今なら少しだけわかる。そういうことにしておけ。『じゃあ、行くわよメリー、アリス』『行きましょう、蓮子、魔理沙』#gentyo_ss

2013-01-13 20:21:17
姫上沙月@ @satsuki_h

口を開けば勝手に歌が出てくる。永江さん達と日曜日にぼんやり眺めていたおかげだ。夢も希望も溢れた二人の歌。輝く未来を肯定し、約束なんて何もないけど、ただひたすらに走り続けられるような。子供向けなんてもんじゃない、ほら、きっとこの歌は、今の私たちのためにだけある。#gentyo_ss

2013-01-13 20:22:37
姫上沙月@ @satsuki_h

アリスは精一杯歌っていた。そんなアリスにつられて私も力いっぱい喉を震わせる。アリスの一生懸命さに会場の皆も感化されたのか、いつのまにか大合唱となっていた。#gentyo_ss

2013-01-13 20:23:33
姫上沙月@ @satsuki_h

『みんな、ありがとー!』『あっ』『どうしたの蓮子』『メリー、大変よ!14時18分35秒!もうすぐ結界が閉じるわ』『大変、急がなきゃ!』『じゃあみんな、また何処かで逢いましょう!』秘封倶楽部が退場する。私たちも拍手の鳴り止まない中、そそくさと舞台袖に回った。#gentyo_ss

2013-01-13 20:24:54
姫上沙月@ @satsuki_h

「お疲れ様、やっぱりこうなっちゃったわね」霊夢が諦め顔で言う。「恥ずかしくて死にそうだぜ」「アリスは嬉しそうね」気が付けばアリスは二人にサインを貰っていた。とても嬉しそうで幸せそうな笑顔。アリスからあふれ出している幸せオーラでこっちも思わず笑顔になってしまう。#gentyo_ss

2013-01-13 20:28:37
姫上沙月@ @satsuki_h

「まぁ……。いっか」これだっていつかは笑って話せる思い出になるんだ。  帰り道、二人のサインを抱えたアリスが笑顔で言う。「魔理沙、知ってた? あの蓮子とメリーって、中の人も同じ名前なのよ」#gentyo_ss

2013-01-13 20:29:45
姫上沙月@ @satsuki_h

「へぇ。ってことは元々二人の宣伝のためのアニメだったってことか?」「いえ、そうじゃないわ、きっと。そうじゃないのよ」「なんだかわからないぜ」秘封倶楽部の主題歌を口ずさみながら、アリスはそれ以上のことを言おうとはしなかった。#gentyo_ss

2013-01-13 20:30:48
姫上沙月@ @satsuki_h

アリスは留学生だ。アリスにとってはあと半分もない学生生活なんだ。きっと卒業したら国に帰るのだろう。その時私は笑っていられるのだろうか。自信はないけれど、アリスにとって今この瞬間も、そしてこの街も、博麗荘も。絶対に忘れない思い出になってくれれば良い。そう思った。#gentyo_ss

2013-01-13 20:31:54
姫上沙月@ @satsuki_h

「「おかえりなさーい!!」」一足先に帰っていた霊夢が、ずっと準備していた永江さん、はたて、地子が、……ようするにいつもの面々が博麗荘の入り口で待っていた。「ようやく公にお酒が呑めますね、とっておきのヤツを出してあげましょう。社会人を舐めるな小娘」#gentyo_ss

2013-01-13 20:33:59