2013.2.8 駒場科学史講演会(日本学術振興会賞記念講演会)ヒロ・ヒライ

ヒロ・ヒライ氏による講演会「ルネサンスの生命と物質 20年の海外研究生活から」にかんするツイートをまとめました。今回の講演は、ヒライ氏の2冊の著作、Le concept de semence dans les theories de la matiere a la Renaissance: de Marsile Ficin a Pierre Gassendi(Brepols書店、2005年)と、Medical Humanism and Natural Philosophy: Renaissance Debates on Matter, Life and the Soul(Brill書店、2011年)の内容をもとにしたものでした。
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Q @kimo_Q

種子の理論はマルシリオ・フィチーノからはじまる。フィチーノは宇宙の位階的構造を考えた。神、精神、霊魂、自然、質料。それぞれのあいだを仲介する伝達者がいる。霊魂と自然のあいだを仲介するのが種子 semina だと考えられた。 #hirai_komaba

2013-02-08 17:55:38
Q @kimo_Q

そこで自然のなかには種子があふれているとされる。新プラトン主義がちゃんと説明しなかったこれらのところをフィチーノがちゃんと説明した。このフィチーノの理論が後世の哲学者に影響を与える。 #hirai_komaba

2013-02-08 17:56:06
Q @kimo_Q

ジャン・フェルネル。フィチーノの名前は出さないものの影響を受けた。当時の医学のメインストリームにいた大権威。神から由来する目に見えない種子が充満しているという考えを彼も展開した。 #hirai_komaba

2013-02-08 17:56:17
Q @kimo_Q

マージナルな医療活動、著作活動をしたのがパラケルスス。彼の著作にも自然界に充満する種子というアイデアが展開される。フィチーノは基本的にはプラトンの註解をするというスタンスだった。パラケルススは、聖書の創造論と種子の理論を結びつけた。 #hirai_komaba

2013-02-08 17:59:07
saebou @Cristoforou

4元素の下のがUstに映ってないな #hirai_komaba

2013-02-08 17:59:27
Q @kimo_Q

パラケルススの物質論。硫黄、水銀、塩の三原質というのが教科書に出てくるけどあれは何なのか。四元素との関係はどうなっているのか。彼は元素を母 matrix、つまり受容器としてとらえる。元素が交じり合って事物ができるというアリストテレスの考えは否定する。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:04:46
Q @kimo_Q

自然の事物というのは果実 fruitsだと言われる。植物の母は土。金属や鉱物の母は水元素だとされる。そのなかで最初は目に見えない種子が、育って鉱物や金属になる。それを人間は果実として使用することができるようになっている。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:04:52
Q @kimo_Q

硫黄、水銀、塩の三原質 tria prima というのは、あわさって種子を形成している。〔ちょっと途中切れててこのへん不正確?〕 #hirai_komaba

2013-02-08 18:08:37
Q @kimo_Q

フェルネルとパラケルススの考えをうまい具合に使い、ラテン語で、出版の中心地だったバーゼルで著作を出版したのがペトルス・セヴェリヌス。絶大な影響を後世に与える。彼は医学哲学の根幹に種子をおいた。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:10:05
saebou @Cristoforou

ヤン・パブティスタ・ファン・ヘルモント http://t.co/duQlNolv #hirai_komaba

2013-02-08 18:10:26
saebou @Cristoforou

セヴェリヌスの種子の理論を受容したガッサンディはこちら http://t.co/VJYzuzzG #hirai_komaba

2013-02-08 18:11:27
Q @kimo_Q

その影響がドラマチックに目に見えてくる影響。17世紀中盤のファン・ヘルモント。セヴェリヌスの種子の理論を自分の哲学の根幹に置く。彼は錬金術師とか神秘主義者だとか言われる。じゃあそういうマージナルだと考えられてきた領域にしか種子の理論は関係なかったのか? #hirai_komaba

2013-02-08 18:11:38
Q @kimo_Q

違う。近代科学者の一人であるといわれているピエール・ガッサンディの哲学の根幹にまで、フィチーノからはじまった種子の理論というのは流れ込んでいる。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:12:08
Kuni Sakamoto @kunisakamoto

なんというディープなルネサンス学 http://t.co/xrrj5MGK

2013-02-08 18:12:17
拡大
saebou @Cristoforou

にくさんのガッサンディ論文はこちら http://t.co/6r3LP736 #hirai_komaba

2013-02-08 18:12:28
saebou @Cristoforou

フェルネルとセヴェリヌスは相互参照してないのですか? #hirai_komaba

2013-02-08 18:13:40
Q @kimo_Q

2冊目の話。16世紀に古代のガレノスやヒポクラテスの著作が人文主義者と呼ばれる人々によってギリシア語で、続いてラテン語で出版されるにいたる。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:19:05
Q @kimo_Q

古代のテクストの復活を担った人文主義者たちがどういう活動をし、どういうインパクトを近代以降の科学や医学、哲学に与えたのか?医学の分野でそれを見ていこう、というのが『医学人文主義と自然哲学』(2011年)のプロジェクト。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:19:25
Q @kimo_Q

6人の人物を分析した。まずニコロ・レオニチェノ。古代末期にギリシア語で書いたアリストテレス註解者たち(新プラトン主義者)のラテン語訳されていなかった著作を見て、特に形成力(胎児がどうやって形成されるのかを説明する概念。ガレノス由来)を説明しようとした。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:21:57
Q @kimo_Q

第二は最初の著作でも扱ったフェルネル。レオニチェノは形成力を神秘的なものじゃなく自然的なものだと考えた。かつ人間の霊魂を四元素の混合とみなし、それが身体の死に際して死滅すると主張した。ポンポナッツィに近い。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:24:22
Q @kimo_Q

フェルネルはこれに真っ向から反対した。霊魂が天から来るのだと説明する。ここにはフィチーノの影響が強くある。世界霊魂から人間や動植物の霊魂まで来るのだ、霊魂とは世界霊魂から送られる力なのだと言う。だから霊魂は不滅。 #hirai_komaba

2013-02-08 18:24:31
Q @kimo_Q

シェキウスはこの論争に別の方向から答える。彼は、霊魂が天界から来るのではなくて神が毎日霊魂を創造しているのだと考えた。 ...〔CMが入ってこの後聞けず〕 #hirai_komaba

2013-02-08 18:26:46
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