「サイバー犯罪と刑事捜査を考える 〜児童ポルノ単純所持規制の論点〜」のまとめ
単純所持違法化の場合、『疑いがある』程度であれば、令状実務では一件の事件で多数確保できる可能性が高い。情報を恣意的に蓄積し続ける事で、(塩漬けにしておいた類の事件を利用し)令状を任意に発付しフリーハンドで様々な場所を捜索できる状態になる。
2013-02-20 18:32:26捜索差押許可状が発布されるようなケースでは、1件で多数の捜索対象が生まれる可能性もあり、警察としては、そうした情報を蓄積しておいて、必要な時にフリーハンドでさまざまな場所(被疑者の自宅・勤務先・立寄先)に入り込んでいける状態に…という危険性に目をむけておく必要がある。#単純所持
2013-02-20 18:33:18児童ポルノの場合の 1)対象に対する支配関係 について。“画像”が対象に含まれるため、メールで送り付けられた場合やキャッシュ等でも、所持が違法とされれば“所持扱い”とされる事態が発生する可能性は高い。
2013-02-20 18:38:45薬物などもそうだが、「所持」で逮捕される場合には、対象に対する支配性と故意性が問題になる。薬物の場合、他人が持ってきた滑り込ませたものが発見されることがあるように、児童ポルノの場合も、知らないうちに送りつけられていた画像データ などという事態が起きてくる可能性は高い。#単純所持
2013-02-20 18:39:33微妙な事案では、捜査機関や裁判所の認定に誤りが生じ、犯罪として認定されるべきでないものが認定されてしまう怖れがある。……たとえばPC内のデータの場合、「知らなかったはずはないだろう」ということで、状況的に「故意」が推認されてしまう恐れがある。#単純所持
2013-02-20 18:43:51画像を送り付けられたケースやキャッシュ等の場合での 2)故意性 について。PC内のデータであれば、利用者の目の届く範囲であるとして、故意性を推認される恐れがある。遠隔操作冤罪事件の公表された報告書の事例を挙げ、誤認逮捕に基づく故意性の推認を『実例』として紹介。
2013-02-20 18:46:09PCの遠隔操作の件で、メールが送られてしまったPCの持ち主が当初強く疑われたことを思えば、PCの中に児童ポルノの画像データがあるからといって故意の所持を「推認」するというのは、誤った判断を導く可能性、という点でかなり危険性をはらんでいる。リスクは大きくなるのは確か。 #単純所持
2013-02-20 18:48:14最終的には不起訴になる可能性はあるが、安易な令状発付と情報リークにより喪失した社会的立場や信用が回復されないリスクは単純所持違法化により高くなる。
2013-02-20 18:48:20ここまで主に刑事手続き面に焦点をあてつつ話してきたが、児童ポルノ単純所持の犯罪化には、捜査権の濫用や冤罪等には現実的な危険性があり、今後、そうした規制を導入するにあたっては、各種弊害を防止する方策(犯罪成立要件の厳格化や捜査権濫觴抑制対策等)が慎重に講じられる必要がある。:終。
2013-02-20 18:53:10「備考」おそらく樽井良和参議院議員だと思われる。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7012002.htm
たるい議員「規制問題が立ち上がった際に実際にゲーム(コンシューマ?)の販売は落ち込んだ。児童ポルノの規制は必要だが創作者の制限に向かうべきではない」
2013-02-20 18:59:24たるい議員「冤罪のパーセンテージはどの程度と想定されるか?」 落合弁護士「パーセンテージはわからない。単純所持規制の場合、潜在的被疑者は多いだろうが、そこに割けるリソースは他の重大犯罪に比べ少ない。政策などに左右される恣意的な捜査となる可能性は高い」
2013-02-20 19:00:56