昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

新選組表象史研究

90式短パンさんの「新選組表象史研究」を纏めました。
10
短パン @4thplatoon603

まず、なぜ忠臣蔵でなく新選組を研究対象と選んだか。これは忠臣蔵よりも新選組のほうがコンテンツとしての消費形態に多様性があるからである。忠臣蔵も長きに渡って消費されてきているが、その消費形態は大した変化を遂げていない。せいぜい「本当は吉良のほうが悪かった」という解釈のレベルである

2013-03-03 19:42:29
短パン @4thplatoon603

忠臣蔵は大衆向けの枠を抜け出せなかった。物語としての「隙」が少ないのである。一方で新選組というコンテンツの消費形態は多様に細分化を続けているのである。「新選組」という題材は1920年代から90年近くに渡って安定して消費され続けてきたコンテンツである。この点も注目。

2013-03-03 19:42:47
短パン @4thplatoon603

1950年代まではほとんど小説と映画のみが新選組というコンテンツの受け皿となっている。この時期は小説よりも映画のほうがその割合が多い。坂東妻三郎の『乱闘の巷』、大河内伝次郎の『興亡新選組』、月形龍之介の『新選組』、片岡千恵蔵の『新選組』など。いずれも近藤勇が主人公。

2013-03-03 19:43:04
短パン @4thplatoon603

1960年代に入ると大衆文学に伴い、映画に対して小説作品がより多く発表されるようになっていく。加えてテレビドラマ、漫画にも新選組を題材とした作品が増え始める。特にこの年代で注目しなければいけないのは司馬遼太郎という作家の存在である。彼の『燃えよ剣』は発表されてほぼ半世紀が経つが

2013-03-03 19:43:40
短パン @4thplatoon603

(続)未だに新選組小説の入門書のような位置づけがなされており、多くの新選組ファンの「入口」となってきた作品である。また、主人公を務める人物にも大きな変化が起きている。1950年代までの新撰組作品の主人公は近藤勇がほとんどであったが、1960年代には土方歳三を主人公とする

2013-03-03 19:43:58
短パン @4thplatoon603

(続)『燃えよ剣』のヒットにより近藤勇人気に翳りが見え始める。

2013-03-03 19:44:19
短パン @4thplatoon603

1970年代には大内美予子の『沖田総司』等、沖田総司を主人公とする作品が多数発表され、「薄幸の天才美剣士」というイメージが定着する。沖田総司の人気は『燃えよ剣』での活躍と無関係ではないだろう。また、斎藤一が主役の小説が発表され、のちに高まる人気を思わせる。

2013-03-03 19:44:38
短パン @4thplatoon603

1980年代もまた、沖田総司の時代である。この頃光栄からボードゲーム『維新の嵐』が発売され、新選組というコンテンツがゲーム、アニメといったジャンルにも広く展開されていく先駆けになる。

2013-03-03 19:44:49
短パン @4thplatoon603

1990年代の初頭には沖田総司ブームの中で、「沖田総司はBカップ」で有名な牧瀬里穂主演の映画『幕末純情伝』が発表される。この映画の特筆すべき事項は、主人公の沖田総司が実は女だったという設定である。この年代に新選組を題材にした作品の主人公はさらに多様化する。近藤、土方、沖田に

2013-03-03 19:45:02
短パン @4thplatoon603

(続)加えて監察方(密偵)の山崎烝、土方の小姓を務めていた市村鉄之助らがそうである。90年代の、特に目立った事項としてあげられるのは新選組を題材とした漫画作品が多いということである。これは消費者の低年齢化を示していると考える。

2013-03-03 19:45:11
短パン @4thplatoon603

2000年代以降は小説作品が数多く発表された。特に浅田次郎の『壬生義士伝』がドラマ化、映画化され、人気を博した。また、三谷幸喜脚本の大河ドラマ『新選組!』が発表され、キャストの豪華さが注目を集めた。主人公を務める人物の多様化はこの年代に最たるものとなる。近藤、土方、沖田や組長の

2013-03-03 19:45:23
短パン @4thplatoon603

続)原田左之助が主人公を務めるのはもちろんのこと、新選組を取り巻く女性たちの目線で描かれる物語も多い。サブカルチャーの分野で特筆すべきは、2009年に発表されたゲーム『薄桜鬼』であろう。プレイヤーは雪村千鶴という架空の少女となり、極度にビジュアル化された新選組隊士たちと恋をする

2013-03-03 19:45:39
短パン @4thplatoon603

(続)、というゲームだ。このゲームは「腐女子」と呼ばれる女性たちから絶大な人気を獲得しており、最初の作品を含め今日までゲーム三作、アニメ三作、各種グッズ、さらには舞台、ミュージカル作品が発表されている。 続いて問題提起。

2013-03-03 19:45:54
短パン @4thplatoon603

A.1920年代~1950年代の間は、新選組局長である近藤勇が主役に据えられた作品がほとんどである。これらの作品において近藤は人間臭く、腕が立ち、頼りになる典型的なリーダーとして描かれている。このよう性格を持つキャラクターは他に大石内蔵助や、渡辺謙演じるラストサムライの勝元、七人

2013-03-03 19:46:15
短パン @4thplatoon603

(続)の侍の島田勘兵衛などが挙げられる。1960年代に入ると副長の土方歳三が主人公を務める作品が増え始める。この転換期に日本人の求めるヒーロー像に変化があったのではないか、という問題がある。

2013-03-03 19:46:26
短パン @4thplatoon603

B.1960年代~1980年代の間、土方歳三と沖田総司に人気が集中しており、00年代に入ると消費の形が細分化していく。なぜこのようなことが起きたのかという問題がある。 続いて自説の提示

2013-03-03 19:46:34
短パン @4thplatoon603

典型的なリーダーとして描かれる近藤勇に対し、土方はアウトロー出身の組織運営者として描かれることが多い。この年代に近藤勇を主人公とする作品は減り、土方を主人公に据えた作品が増える。1960年代の学生運動がこのような影響を与えたと考えられ、学生運動の主体となった学生たちにヤクザ

2013-03-03 19:46:47
短パン @4thplatoon603

(続)映画が人気を博した。土方歳三人気のきっかけとなった『燃えよ剣』で彼は若い頃「バラガキ(悪がき)」と呼ばれ、実家で作っている薬を売り歩いては剣術修行をするというアウトローとして描かれている。そんな彼を、現代人の欲望に敏感な司馬遼太郎が描き、『燃えよ剣』は映画化を1回、ドラマ化

2013-03-03 19:47:14
短パン @4thplatoon603

(続)を2回されるという人気作品になった。この頃の日本人が求めたヒーロー像は学生運動を背景に変化したと言える。

2013-03-03 19:47:23
短パン @4thplatoon603

70年代~90年代における消費の細分化には明らかに高度経済成長の影響が見られる。経済成長をする中で国民の中流化が進み、消費動向が細分化していく。これは歴史という分野も例外ではない。この期間は特に沖田総司の表象について細分化が進む。例えば1972年に発表された大内美予子の『沖田総司

2013-03-03 19:47:36
短パン @4thplatoon603

(続)』である。この小説は女性ファンが沖田総司についたきっかけと言われる作品であり、心優しき天才美剣士として描かれている。次に、1976年に発表された笹沢左保の小説『剣士燃え尽きて死す 人間・沖田総司』である。この作品内の沖田は、表情は笑っていても心は暗く、いつも悩んでいる。この

2013-03-03 19:47:50
短パン @4thplatoon603

(続)ようなダークな雰囲気の沖田総司は若い男性の人気を集めるのである。また、1991年に発表された映画『幕末純情伝』では沖田総司は女性であったという設定で話を進めており、男子向けのエロティシズムが伺える。これらの例のように沖田総司には多くのファン層を獲得できるコンテンツとしての力

2013-03-03 19:48:04
短パン @4thplatoon603

(続)があったのである。

2013-03-03 19:48:19
短パン @4thplatoon603

00年代以降はさらに細分化が進み、様々な隊士が消費の対象になっている。初めに示した斎藤一、市村鉄之助や原田左之助、藤堂平助などがそれにあたる。若い女性向けの例として相応しいのは恋愛アドベンチャーゲーム『薄桜鬼』であろう。このゲームで恋愛対象として『攻略』できる隊士たちは皆極度にル

2013-03-03 19:48:35
短パン @4thplatoon603

(続)ックス面で美化されており、ファンの間では「顔さえよければ新選組で幹部になれる」や「顔がよければ死なない」といった冗談があるほどである。この『薄桜鬼』はアニメ、ミュージカル、舞台など複数種類のメディアミックスを達成しており、今後のさらなる展開の可能性も見せている。男性向けの作

2013-03-03 19:48:51