神サバ小話

診断メーカーの「ゾンビサバイバル! あなたは何日生き残れるか!? 」をテーマにした短文集「神サバ」の番外編。ノリで作った更なる番外編・神サバ小話2(http://togetter.com/li/493228)のそのまた番外編・神サバ小話3(http://togetter.com/li/507496)もある。 一体いつまで続くんだろうねぇ…? え、神サバ小話4(http://togetter.com/li/534179)もあるの?マァジでぇ? 「私」が呟く「神サバbot(https://twitter.com/kamisurv_bot)」も稼働中。 続きを読む
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お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 私は喉に違和感を感じた。何かが引っ掛かっている。そして、混沌が口の中に流れ込むのも構わずに、それを呟いた。たった四つの音で作られた言葉。何もかもが洗い流され、何も持たない私の唯一の財産。これは何を意味するのだろうか?いや、何の意味もないのかもしれない。 #神サバ小話

2013-04-05 09:49:34
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ああ、頭の中が疼く!時々こうなるんだ。誰かが私を呼んでいる。誰が?…どうでもいい。私は眠りたい。この心地よい仄暗い海の中で。これは…叫びだ!頭が割れる!私の涙は流れる事なく、そのまま混沌に溶けていった。やめろ!やめてくれ!私を狂わせないでくれ!壊れ…… #神サバ小話

2013-04-05 09:50:31
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ……眩しい。ここはどこだ?温かい。体に違和感を感じる。私は目を開いた。すると、私の視界は誰かの顔で占領されていた。幼気であどけない、今にも泣きだしそうな顔。…ああ、笑った!私は彼を喜ばせたいと思った。だから、私の大切なたった一つの言葉を教えようとした。 #神サバ小話

2013-04-05 09:51:34
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl だが、それは声にならなかった。彼は首をかしげ、私の喉をそっと撫でた。突然、喉に激痛が走り、私はすっかり怖気づいてしまった。痛みが引くと、声が出る様になっていた。私は尋ねた。あなたは誰だ?「ボク?ボクぁ、神だよ!」では、私の主か?「うーん、ちがうなぁ…」 #神サバ小話

2013-04-05 10:15:32
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 「友達だよ!と・も・だ・ち!」…そうか!彼は神で、私は彼の友達なのか。(終) #神サバ小話

2013-04-05 10:16:53

忘れがたき笑顔、その名前・あとがき

お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl もう追加なんてしないなんて、言わないよ、絶対!だって、また魔がさすかもしれないから。とは言え、これで「混沌のほとりで」の呪縛は解けたと思います。まとめでは三番目に置いていますが、この「忘れがたき笑顔、その名前」は一番最後に追加したエピソードです。(続く #神サバ小話

2013-04-05 21:24:53
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 続き)まとめの閲覧者数が、ダブっているかもしれないけれど、本編を上回っているのに気づいて慌て追加しました。わざわざ本編を見なくても楽しんでもらえる様にするには、重要人物である「神(以前は私)」と「彼(以前は神)」の説明が不可欠だと思ったのです。(続く #神サバ小話

2013-04-05 21:32:17
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 続き)ただ、これは説明と呼べる程に多くの事を語ってはいません。飽くまでも、二人の関係についてのヒントです。そして、この二人の掛け合いが大好きなお菊の自己満足です。彼の容姿の描写は初めてでしたね。ジョナとユリエルはどうしたって?はて、誰の事でしょう…? #神サバ小話

2013-04-05 21:41:07

君と手を繋いで

お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 天使はその眺めに嘆息した。楽園で一番高い生命の樹の頂きから見渡す景色に、ミシェルは心を奪われていた。だから、隣にルキフェルの姿を見つけた時には驚いた。ルキフェルはミシェルの柔らかな金色の髪に触れ、静かに口づけていた。天使はその表情をただ美しいと思った。 #神サバ小話

2013-04-03 18:50:20
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 天使は知っていた。この美しい天使の心は繊細で脆く、美しいものしか愛する事ができない。同じ時に、同じ場所で、同じ力を与えられて創られた美しい片割れを見るにつけ、ミシェルは不器用な自分を否定し続けてきた。だが、片割れのたった一つの言葉で、世界は光で満ちた。 #神サバ小話

2013-04-03 19:05:51
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 「君の金色の髪は、なんて美しく輝くんだろう」ある時、ルキフェルは自分の艶のある黒髪を指で弄び呟いた。ミシェルは戸惑い否定したが、片割れは優しく天使の頬に触れた。「じゃあ、聞くけれど、僕が君といるのは何故だと思う?双子だから?違うよ。君といたいからさ」 #神サバ小話

2013-04-03 19:09:02
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ミシェルは、しばし片割れの横顔を眺めていた。「気づいてるんなら、言ってよ」ルキフェルは閉じていた瞼を開き、髪に絡めていた指を解いた。そして、恥じらう少年の様な微笑みを浮かべた。「今日は東に行って、碧い水を湛えた沼を創ってきたよ。明日の朝、一緒に行こう」 #神サバ小話

2013-04-03 19:21:02
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ルキフェルの左手に花が形作られた。「…ねぇ、見て」花びらが幾重にも重ねられた深紅の花だった。「君の瞳と同じ色。でも、こっちの方が君の好みかな?」続けて、柔らかで控えめな香りを放つ純白の花が形作られた。ミシェルは両方を受け取り、花に顔を寄せて微笑んだ。 #神サバ小話

2013-06-28 01:27:22
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ルキフェルは満ち足りた少女の様に頷いた。「美しいものは心を癒し、生きる力を与えてくれる。神も喜んでくれるだろうか?僕には君がいる。だけど、神は孤独だ。天使達に囲まれていても…。僕は神を愛する。僕は神の為に美しい世界を創るんだ。君の隣で、君と手を繋いで」 #神サバ小話

2013-04-03 19:37:33
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl ある時、ある天使が言った。「二人が組めば、神を倒す事だって難しくないだろう」と。愚かな道化者の他愛ない戯言。だが、ルキフェルの繊細な心に傷を負わせるには十分だった。脆い心を持った天使は、自分の相棒の手を振り払い、自分が創りあげた砦…地獄に立て篭もった。 #神サバ小話

2013-04-12 00:27:52
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 美しいものしか愛せない天使は、自分自身を否定し始めた。自分らしく在ろうともがき、自分を穢し、穢れた自分を蔑み否定し…。地獄の扉は固く閉ざされ、どんな想いも届かなかった。矛盾の連鎖は止まることなく続き、業火が魂を焦がすように、天使の心は焼き尽くされた。 #神サバ小話

2013-04-04 09:53:04
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 神は悲しげに呟いた。「もう、ルキフェルは手遅れだよ…」と。自分の影に怯え震える天使を抱きしめ、ミシェルは神に願った。ルキフェルを救って欲しいと。そして、微笑んだ。自分も一緒に抹消して欲しいと。だが、神は首を横に振った。「ヤだ!ボクはそんなのヤだよ…!」 #神サバ小話

2013-04-06 00:00:28
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 混沌に浮かぶルキフェルは美しかった。ミシェルは昔してもらったように、眠れる半身に口づけしようとした。けれど、額も、瞼も、髪も、頬も、唇も、首筋も、指先も、すべてが愛おしく思えた。だから、キスをする代わりに、一番美しいと思う繊細な心に語りかける事にした。 #神サバ小話

2013-04-04 09:53:57
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 「私達は手を繋いで生まれ、手を繋いで歩んできた。もう離れない…放さない…私は隣にいる…ずっと…共に消え去る時まで…」と。(終) #神サバ小話

2013-04-05 10:32:54

君と手を繋いで・あとがき

お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 満足したから終わらせます詐欺のお菊です。こんにちは!ズルズルと引きずっております。すべては「混沌のほとりで」のせいです。本編からこの番外編への段差があまりに大きく、補足が必要だと思ったのです。そういう野暮は苦手だけれど、自分の力不足のせいだしね。(続く #神サバ小話

2013-04-05 21:44:54
お菊 @sara_yashiki

@ZS_tl 続き)「君と手を繋いで」は、「失楽園」のサタンとミカエルが手を繋ぎ生まれた双子という記述から取りました。確か、岩波文庫かドレの画集のどちらかに…。神すらも不安定なこの世界で、神が後継者として二人を一緒に創り出したのは、二人なら支え合えるからです。(続く #神サバ小話

2013-04-05 21:45:05