「デス・フロム・アバブ・セキバハラ」#3・再放送Ver(実況なし)

ツイッター連載小説"ニンジャスレイヤー 第2部「キョート殺伐都市/Kyoto: Hell on Earth」"より @njslyr_rによる再放送「デス・フロム・アバブ・セキバハラ」#3のまとめ(実況なし) #1 http://togetter.com/li/496229 #2 http://togetter.com/li/496319 #3 (今ここ) 続きを読む
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◆再放送中の磁気嵐について公式アンナウンスー◆
(本来は再放送途中に挟まれたものを移動)

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(親愛なる読者のみなさんへ:現在@njslyr_r にて再放送ですが、大変危険な前後磁気嵐です。しかし動き出した、何者にも止められぬマシーン。これはハイテックの恩恵による半自動投稿の新しい有料クライアントを使ったらドバっとなったためで、人類がまだ即座に自動投稿不可能性を示唆する)

2013-05-02 22:14:27

◆編集註◆このまとめでは磁気嵐による影響はてきせつに除去されており、
したがってごあんしんください。◆わかりました。◆


NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「デス・フロム・アバブ・セキバハラ」#3

2013-05-02 21:33:07
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

(前回までのあらすじ:イグゾーションに敗れたニンジャスレイヤーは、セキバハラ荒野で数日間に渡って磔にされていた。灼熱の太陽!空腹!サスマタ!拷問!バイオハゲタカ!バイオスズメ!そして狂気の影がニンジャスレイヤーを容赦なく襲う!もはやこれまでか?!だがそこへガンドーが駆けつけ……)

2013-05-02 21:37:50
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

(……ガンドーは彼にスシを食わせたのだった!だがニンジャスレイヤーの負ったダメージは大きく、まともに歩くことすらできぬ有様。2人はストーンヘンジで休息を取り、体力の回復を待つ。一方その頃イグゾーションは、秘密アジトにてウミノの洗脳に成功。ヌンジャや三神器の情報を引き出していた…)

2013-05-02 21:42:53
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

ここはバトルフィールド・セキバハラ。ガイオン・シティの遥か東に横たわる、広大な古戦場跡だ。江戸時代、ここで悲惨な大戦争が起こり、サムライやニンジャやダイミョが大勢死んだ。ネットワーク化された現在でもなお人々は太古の怨念やイービルスピリットを恐れ、この地に住み着こうとはしない。 1

2013-05-02 21:48:09
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

そしてセキバハラの中心部である、ヘルボンチ。四方をキャニオンに囲まれたこの乾いた荒野に、太古の怨念を鎮めるために築かれた盛り土の丘とストーンヘンジがある。荒城が聳えるあのキャニオンも、かつては松の生い茂る美しい山だったが、異常気象等の影響を受け、いつからか現在の有様となった。 2

2013-05-02 21:48:00
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「……って話はまあ、知識程度には知ってたが、まさかこんな所に自分で足を運ぶたあ、思っても見なかったぜ。サイオー・ホースだな」タカギ・ガンドーはしめ縄の巻かれたストーンヘンジに背を預け、49リボルバーの手入れをしながら、どこか他人事のように言った「俺の馬はくたばっちまったがよ」 3

2013-05-02 21:53:24
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

ヘルボンチの陽は傾き、夕暮れが近い。「スゥーッ!ハァーッ!」ニンジャスレイヤーは目を閉じ、チャドー呼吸を続ける。「ナンシー=サンに貰った金でサイバー馬を買ったはいいが、少し南でコブラに噛まれてよ…」ズバリ中毒のガンドーは一定の口調で語り続けていた「……あ、もしかして邪魔か?」 4

2013-05-02 21:58:06
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「いや」ニンジャスレイヤーは目を閉じたまま素っ気無く答える「続けてくれ。気が紛れる。できれば何か、取り留めの無い話を…」。陽光の下で誰かと話をするなど、何時以来だろう。ふと、ニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジの脳裏には、スガワラノ老人との余りにも短い安らぎの一時が蘇った。 5

2013-05-02 21:58:03
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「…でよぉ、馬の死体からショーユ瓶と水筒、どっち持ってくるかって言ったら、やっぱり水筒だろ…」ガンドーはリボルバーの回転を確かめながら続けた。チャドーをするフジキドの耳には彼の声が遠いラジオめいて聞こえる。「…スシを持ってきたのは、ナンシー=サンのリクエストで……それから…」 6

2013-05-02 22:03:26
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

だがそうした人間的な安らぎも、今の彼には酷く異質なものに感じられる。かつてのように素直に受け入れられない。フジキドは静かに、昨今の自分が呪わしき人外の存在へと向かっていたことを悟った。このままナラク・ニンジャを失い、人間性さえも失ったらならば、自分は何になってしまうのだろう? 7

2013-05-02 22:08:12
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

宿敵ラオモトを破ったあの夜以来、ナラクは長い休眠状態に入った。そして次第に、ナラクの自我と力が弱まりつつあることを、フジキドは感じ取っていた。かつて彼は、この邪悪なニンジャソウルを徹底的に嫌悪し、排除しようとしていた。それを喚んだのは、他ならぬ自分自身であったというのに……。 8

2013-05-02 22:08:09
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「……でな、俺もガキの頃は、他愛もねえオスモウカトゥーンとかニンジャカトゥーンが好きだったよ……」ガンドーの低い声が心地良いネンブツめいて聞こえる。「……あの頃はまさか、ニンジャが実在するなんざ思ってもみなかった。ドラゴンとか吸血鬼とか、そういうのと一緒だと思ってたのさ……」 9

2013-05-02 22:13:07
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

フジキドは半ばザゼン状態に入りながら、さらに数十分も瞑想と自問自答を続けた。ニンジャの世界では迷いが死を招くことを、彼は知っている。では感傷は弱さだろうか?「……で、まあ色々あったけどよ……俺が学んだのは、私立探偵の世界じゃ、シリアスになり過ぎた奴から死ぬってことだな……」 10

2013-05-02 22:18:30
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

成る程そうなのかもしれない、人間ならば。とフジキドは考えた。いつの間にか自分は、自分の中でさえ、人間ではないことに気付いた。問答はこれまでだ。自分はニンジャだ。ガンドーは人間だ。そして人間らしい人間が自分の隣にいてくれることが、まだ不幸中の幸いなのだろうと考え、目を開いた。 11

2013-05-02 22:18:28
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

すでにヘルボンチは血のように赤い夕暮れ刻だった。地平線の彼方にバイオスズメの群れが飛び去ってゆく。「起きたか?じゃあそろそろガイオンに帰ろうぜ?」ガンドーが49リボルバーをなめし革のホルスターに押し込んで立ち上がる。「できぬ」とニンジャスレイヤー。「ナンデ!?」とガンドー。 12

2013-05-02 22:23:13
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「ウミノ=サンを助け出さねばならぬ。私はスシを食えたが、今こうしている間にも、ウミノ=サンはどんな拷問を受けているか……」「帰り道に助けりゃいいだろ。俺はナンシー=サンとの約束どおり、あんたをガイオンまで連れ帰る」「ウミノ=サンの囚われているアジトの場所が、不明なのだ」 13

2013-05-02 22:28:07
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

「どうやって助け出す算段だ?」ガンドーが問う。「アジトはこの荒野のどこかにある。奴らは明日の朝もここへ来るはずだ。私はニンジャを殺してサイバー馬を奪い、アジトへ案内させる」「オイオイ、俺はどうなる?」「先に帰っていてくれ」「帰れねえ」「オヌシ、そもそもどうやってここへ?」 14

2013-05-02 22:28:06
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

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2013-05-02 22:33:20
NJSLYR SAIHOSO @njslyr_r

明朝。黄土色の砂煙を巻き上げながら無慈悲にセキバハラ荒野を渡る、13人の乗り手。鋭い日差しが、サイバー馬のサイバーサングラスに反射していた。 16

2013-05-02 22:38:56