村上隆氏の『めめめのくらげ』に関する連ツイ(5/4 早朝分)

村上氏およびそれに呼応する形の椹木野衣氏 @noieu 、techne石井俊氏 @art_techne のツイートをまとめました。 関連まとめもご覧下さい。 ◎村上隆氏×椹木野衣氏  映画『めめめのくらげ』について http://togetter.com/li/496883 ◎村上隆氏の『めめめのくらげ』に関する連ツイ(5/3分) http://togetter.com/li/497049
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takashi murakami @takashipom

そして、そのエヴァンゲリオンのクリエーターはまたしても!庵野秀明とその仲間たちです。でももうその事実、天才集団の仕事を直視し、自分の才能の無さを理解せねばならないギリギリに追い詰められ、そして僕のキャリアはごろりと変わったのです。つまりフィギュアを造ることに精魂を傾け始めました。

2013-05-04 05:40:57
takashi murakami @takashipom

つまり、自分のアイデンティティがアニメであったというショッキングな事実に直面し、それを現代美術に合致させる為の手法を考えると、人間と同じ大きさのアニメ・フィギュアを造ることがわかりやすいプレゼンテーションになる、という流れに身を委ね始めました。

2013-05-04 05:42:21
takashi murakami @takashipom

結論から言って、そのフィギュアシリーズが僕のアメリカでの現代美術作家としてのキャリアを押しあげ、かつオークションで高値を叩きだし、結果日本で忌み嫌われる存在の象徴的作品ともなってゆくのですが、でも、嫌われて当たり前です。なぜなれば僕の一番いやな部分をさらけ出した自画像ですから。

2013-05-04 05:44:34
takashi murakami @takashipom

アニメからは逃げられない。そうNYの地で人生の方向転換を決めようとした時、「攻殻機動隊」のアニメのプロモーションを手伝う、という仕事に出会ったのです。ヤングマガジンに出ていたアニメ事前モニターの募集要項にアメリカから応募した所、エデイット90というプレス事務所から電話が来ました。

2013-05-04 05:47:26
takashi murakami @takashipom

「君は今、NYにいるんだね。一度日本に帰ってきて、打ち合わせさせてよ。アメリカでの上映会の算段をしたいんだよ」帰国後観た押井守さんの「攻殻機動隊」は観たこともないような映像で、この僕に何をせよというのだ?と思いましたが、アニメに真正面から向き合う、と決意した後だったので

2013-05-04 05:49:59
takashi murakami @takashipom

なんでもやったるで!と思ってましたが広告会社のリクエストは、1,アメリカのコンベンションでの上映の手引き。2,日本に来るディストロビューターの通訳、であったのです。え〜と、当時の僕の英語力は英語学校でグレード7というケツから3番目のバカなクラスでした。

2013-05-04 05:52:20
takashi murakami @takashipom

そこでアホなゲームに引っかかるようなレベル。なんで俺が通訳に?と思いましたが、でもそれ程に日本のアニメビジネスの世界に英語力が欠如していた時代でもありました。もう仕方がないので言われるがままにあれこれやって、

2013-05-04 05:54:13
takashi murakami @takashipom

NYでもコンベンションで『攻殻機動隊』を上映することを実現もさせ、通訳もしました。

2013-05-04 05:54:18
takashi murakami @takashipom

32歳〜33歳の頃。そこで僕の出来る仕事はこういう日本のアニメの紹介かもしれない、そう思い込み、その流れで「SUPERFLAT」という展覧会と本を造りました。僕の尊敬するアニメの大家達を日本のアートの歴史上で語る試み。これもアメリカで当たった。

2013-05-04 05:56:42
takashi murakami @takashipom

この「SUPERFLAT」の本を担当してくれたのが、今、僕の懐刀のカイカイキキの番頭、笠原ちあきなのです。 http://t.co/DLD5kINNLW

2013-05-04 05:57:38
takashi murakami @takashipom

そういえば「SUPERFLAT」には、あの東浩紀さんも寄稿してくださっています。僕も30歳だったが、東さんは20歳代の前半だった気がします。凄い元気とエネルギーにあてられて、ああ、自分がもたもたしているうちに、どんどん若いエネルギーも出てきてるんだなぁ〜と、彼との出会いの時には

2013-05-04 05:59:36
takashi murakami @takashipom

それはそれで、暗澹たる気持ちになった記憶があります。そうです。僕は才能に出会うと「ああ、もう俺の居場所ないよ」と思う性分だったのです。

2013-05-04 06:00:24
takashi murakami @takashipom

で、日本に帰国しつつ、NYにもスタジオを持続させつつ(既に現代美術の作品をNYのスタジオでも作ってましたから)日本を起点に活動し始めました。東京都現代美術館での個展「召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか」をやったのですが、これもその後の僕の人生を決める体験となりました。

2013-05-04 06:04:50
takashi murakami @takashipom

同時期に開催した同胞、奈良美智さんの展覧会、横浜美術館での個展には10万人を超える人々が訪れ、グッズも本も売れまくり、時の人となってゆきました。一方、僕の個展はあれこれいろんなイベントをやったにもかかわらず、3万人しか入らず、美術館の人をがっかりさせ、僕自身がこりゃもう

2013-05-04 06:07:01
takashi murakami @takashipom

日本でやっても無駄だ!と思うにいたり、その日から日本での個展はやっていないのです。自分のホームグラウンドをアメリカに移し、日本ではGEISAIという若手育成のイベントの開催と、作品制作だけをする場と決定し、日本からスポイルされてしまいました。

2013-05-04 06:08:57
takashi murakami @takashipom

「めめめのくらげ」はそういう日本での表現者としての場を失くした現代美術家、、、しかもアニメコンプレックスをもった、、、が、そういう積年の怨嗟と、日本への憧憬をないまぜにした、作品となっているのです。

2013-05-04 06:10:45
takashi murakami @takashipom

「めめめのくらげ」の上映回数が減ることが決定されたのは上映開始の数日後でした。その決定を知らされ、映画のプロデュースを担当した笠原ちあきはさめざめと電話越しに泣くのです。「村上さんは日本では結局誰にもメッセージは届けられないんですか?なぜ?」

2013-05-04 06:13:39
takashi murakami @takashipom

「坊やだらさ(ガルマが死んだ!とスピーチするギレンザビのTVを場末のバーで観ていたシャア・アズナブルの一言)」とジョークを言える雰囲気でもなく、しかし、僕の日本でのキャリアを思うと、常にスポイルされ続けてきた歴史ではあったなぁ〜と回顧するのでした。

2013-05-04 06:15:09
takashi murakami @takashipom

でも、僕は映画「めめめのくらげ」の4月26日から数日間の不入りは、認知度の問題だけだと思ってるんです、実は。タイトルを見て内容がわからないし、現代美術作家が造った映画だと難しくて観れないものんだろうという先入観もあったろうし、試写会も出来なかったし。

2013-05-04 06:18:17
takashi murakami @takashipom

「めめめのくらげ」上映の一週間が過ぎ、やっと評判が聞こえて来ました。50%以上のお客様は『泣いた』10%以下のお客様が『強烈に嫌い!』嫌われるのは慣れてますが、日本ではそういう嫌うクライングマイノリティーの力が強力なパワーを持っていて、そういう気分に支配されやすいとおもいます。

2013-05-04 06:22:03
takashi murakami @takashipom

自分の価値観をしっかりもって、物事を判断する人は少ないでしょうから、うるさくガンガンネガティヴキャンペーンをやってる声にたなびきます。

2013-05-04 06:22:53
takashi murakami @takashipom

まぁ、でも、僕は「めめめのくらげ」結構自信を持ってる作品です。それは過去の僕の人生経験からしても、また来たな、というプロセスなのです。

2013-05-04 06:27:51
takashi murakami @takashipom

僕の現代美術業界での経験からして、例えばDOBの作品 http://t.co/iQA5sDtd51 を発表した時、当時のベストフレンドに絶交宣言を言い渡されました。「現代美術を馬鹿にするな!こんな幼稚な解釈しか出来ないのか?」と。

2013-05-04 06:28:03
takashi murakami @takashipom

http://t.co/PeSLJwYhD8 フィギュアのプロジェクトなど、未だに日本では嘲笑の対象物です。

2013-05-04 06:29:23
takashi murakami @takashipom

僕の作品は文脈の重層化を幼稚な思いつきで羅列し、その羅列のタイミングが文脈を紡ぎ上げるるか否かが争点です。人の思いつきはしばしば幼稚で馬鹿げていますが、そのアイディアに精魂を込め、技術も集中力も予算もなにもかもを投下して、投下し続けた時、はっと見える軌跡があるのです。

2013-05-04 06:32:00