ぼくがかんがえた超電磁砲×フォックスの葬送

渡辺零氏の超電磁砲×虐殺器官本にインスパイアされた結果の事故。俺得。
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クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

彼はすでに臨戦態勢で、ミサカネットワークによる演算補助によりベクトル操作能力を従前に発揮できる状況にある。バッテリ切れまで持ちこたえられるかどうかも怪しい。それでも私は、彼に頤使される妹達を解放したかった。私は「自分だけの現実」を展開し、一方通行を狙う。通用しないことは判ってる。

2013-06-18 19:34:47
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

それでも私には勝機があった。負けを認めて引き下がるほど、「自分だけの現実」はやわではなかった。体中から放たれる電磁波に、一方通行は肩をすくめる。「やるってのか。ならいい。かかってこいよ!」一方通行はそのベクトル変換能力で一気に間合いを縮め、接近戦を挑んできた。

2013-06-18 19:37:47
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

そしてそれこそ、私の待っていた勝機だった。電磁力を込めた渾身のパンチを、一方津港の腹に打ち込み――そしてベクトル変換能力作動を読んで「当たる直前で引き返す」。パンチを繰り出した右手はその強烈な機動に耐え切れず骨折したが、一方通行もまた甚大なダメージを受けていた。

2013-06-18 19:40:44
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「木原神拳かよ……てめえ、随分修羅場をくぐってきたみたいだな」自身のベクトル変換能力により吹き飛ばされ、血反吐を吐く一方通行。私は彼を見据えて云う。「地獄を見たのは、あなただけじゃない。私も、あなたも、あのバカも、みんな不条理に振り回されてた。でも私は逃げない。あなたみたいには」

2013-06-18 19:42:44
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「俺が逃げたって……お前はそういうのか」「そうよ。あなたの能力とミサカネットワークの補助があれば、統括理事会なんて一捻り。世界中にあたしの妹達が闘いのために駆り出されるなんて事態を防げた。なのにあなたはそうしなかった」「買いかぶりだ、そりゃあ」一方通行は唾を吐く。その色は赤い。

2013-06-18 19:45:47
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「俺はこいつらがいなきゃあ、ただの無能力者だ。だからこいつらを頼った。こいつらも俺を頼った。誰も彼もを救うことができるヒーローなんて、あのバカくらいしかいねぇ、そうじゃねえのか?」「……」私は理解する。たしかにそのとおりだ。彼にできることはその程度だったのだろう。

2013-06-18 19:47:58
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

しかし、だからこそ、その惰弱が、ヒーローになろうとしない弱さが、私を苛立たせた。私もまた、ヒーローになれない存在、惰弱で無力な存在であるがゆえに。私は使い物にならなくなった右手をぶら下げ、左手に電磁波を集中させた。木原神拳は後1回しか撃てない。倒しきれるかは未知数だった。

2013-06-18 19:50:26
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

先に動いたのは一方通行だった。「俺はできることを全てした! お前はどうだ! 統括理事会の犬に成り下がって!」猛スピードで迫る一方通行に対し、私は再度の木原神拳をLv5の電磁波込みで撃ちこむ。「それでもやっちゃいけないことがあるでしょ!」拳が交差し、私と一方通行は同時に吹き飛んだ。

2013-06-18 19:54:28
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

一方通行のベクトル変換を突き抜けるための秘技、木原神拳。私の技量と体力では、片腕に付き1回しか撃てない。折れた両腕が痛む。これでヤツを倒しきれてなければ……その時は負けだ。そう、頭の何処かの冷静な一部がささやく。立ち上がる気力も、もはやない。

2013-06-18 19:57:00
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

そして一方通行は立ち上がり、そして私の元へとやってきた。凄絶な表情を浮かべたその姿は、死、そのものを思わせた。私はその瞬間を待った。しかし、それは訪れなかった。一方通行は大量に吐血し、私の前に跪いた。

2013-06-18 19:58:49
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

私はようやく立ち上がり、跪く彼を見下ろした。両腕はもう使い物にならず、これ以上の戦闘は不可能だ。もし一方通行が妹達に私の殺害命令を下したなら、私は死ぬだろう。だが、彼は血を吐きながら「なんで、この世の中ってのはうまくできてないのかねぇ」と嘆息した。

2013-06-18 20:00:51
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「どいつもこいつもクズばっかり、そんな連中の思惑に躍らされるのが嫌で、自分の好きにしたいと思ったら、テメエみたいなのが来やがる。全く、うまく行かねえ」「あなたは最初から間違ってたんだと思う。そして私も」一方通行は私を見上げた。「そりゃどういうこった」

2013-06-18 20:03:19
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「多分、あんたが思い描いてたようなセカイを作るには――あのバカみたいに、全てを救い、見捨てない、そんな覚悟が必要だったんだと思う。あんたはそれを見切った。無理だと思った。「自分だけの現実」を狭めてしまった――それは、あたしも同じ」

2013-06-18 20:04:47
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「ちくしょう、あんなバカの真似なんかできるわけねえだろ」一方通行は咳き込み、また大量に吐血した。私と彼を囲む「妹達」は微動だにしない。まるで神殿の偶像のように、私達を見つめている。何の感情もなく、何の含意もなく。

2013-06-18 20:06:59
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「一つ質問。どうして「「妹達」を使わなかったの?」たった2劇で事実上戦闘力を失った私を仕留めることなんか、妹達を支配下に置いている彼なら命令一下可能だったはずだ。そこで一方通行は青白い顔で嗤った。「妹に、姉貴を殺させるなんてできねえよ」私はその言葉に黙然とした。

2013-06-18 20:09:21
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「止めはいらねえ。だが、こいつらの面倒は見てやってくれねえか」一方通行はそう私に云った。「俺のやったことは間違いだらけだったかもしれねえ。でも、先があるお前なら、それを正せるんじゃないかって思えるんだ」「できるだけやってみる」その答えに一方通行は満足したようだった。

2013-06-18 20:12:32
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

「じゃあな、後は任せた」何か達観したような表情で、一方通行はこと切れた。学園都市最強の能力者を倒したという達成感はなく、ただ悲しいだけだった。そして彼の代わりに背負うべき責任の重さに、私は圧倒されていた。

2013-06-18 20:28:14
クロウ教授(Fake) @Dr_crowfake

黙然と立ち尽くす私の前に、妹達が集まってきた。そして彼女たちは、一方通行を、予め定められていたかのように、近くにある偶像の前へと運んでいった。その偶像は、人間の苦悩も悦楽も全て超越した、無関心といえる表情で、辺りを見回していた。私にとって、それはセカイそのもののあり方に見えた。

2013-06-18 20:30:54