#ターミネーター や #バックトゥザフューチャー に学ぶタイムトラベル

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Salah Rieman @cosycube

00 ターミネーターシリーズに限らず、バックトゥザフューチャーシリーズなど、SF性のある作品では #タイムトラベル がよく取り上げられる。ドラえもんもそうだし、古い海外TV作品ではタイムトンネルなどが有名らしい。未来へのタイムトラベルは問題ない。相対論は可能としている。~続く

2013-06-21 14:02:57

過去へのタイムトラベルを阻む因果律

Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前01)常に問題となるのは過去へのタイムトラベルである。現在があるのは過去が連綿として続いてきたからで、原因と結果のつながりの連続である。原因が先で結果が後ということを『因果律』と呼んでいる。ボールが飛んできて、ガラス窓に当たってガラスが割れる。~続く

2013-06-21 14:03:07
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前02)ボールをガラス窓に向かって投げたのが原因、ボールがぶつかって窓ガラスが割れるのが結果。そうなるのが当たり前なので「ガラス窓に向かってボールを投げないようにしよう」と気を付けることができるわけである。この順序が逆になるようだと困る。~続く

2013-06-21 14:03:23
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前03)まず窓ガラスが割れてしまう。まだガラスが割れる原因は何もない。その後、ボールをガラス窓に投げつけるわけである。これは気を付けようがない。むしろ窓ガラスが割れたら放置せず、原因を作ってやらねばならない。そうでないと、宇宙に矛盾が生じる。~続く

2013-06-21 14:03:35
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前04)矛盾が生じるような宇宙は不安定であるので、いつ消え去ってもおかしくない。この宇宙を守るためには、常に戦々恐々として原因のない現象(結果)を探して、もしあったら原因を作ってやらねばならない。ガラスが割れたら、すかさずボールを投げつける。~続く

2013-06-21 14:03:49
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前05)そんなことは人類が知る限り、未だかつて起きたことがなく、因果律は経験則ながらも盤石の観があり、安心して暮らせるわけである。何もしなければ何も起こらない。間違わない限り、概ね予測通りの結果を得る。予測という行為が因果律に基づくからだ。~続く

2013-06-21 14:04:01
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前06)ところがタイムトラベルで過去に戻るのは、因果律を破ることになるのである。窓ガラスを割るのは、割ること自体に注目すると因果律は保たれているので分かりにくい。過去へのタイムトラベルの矛盾では「母親殺しのパラドクス」が比較的有名である。~続く

2013-06-21 14:04:16
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前07)自分の母親が自分を生む前の過去に戻り、母親を殺してしまったとする。すると、自分は生まれなくなる。すると、母親は自分に殺されることはなく、無事に自分を生む。すると、自分は過去に戻り母親を殺してしまう。すると(略)と無限ループに陥る。~続く

2013-06-21 14:04:33
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前08)決して「こうなる」ということに行き着かない。このことについて、物理学者の前野昌弘さん(いろもの物理学者さん)が論文の紹介・解説をしておられる。「物理学者によるタイムパラドックス分析」http://t.co/lBUcr2Q8nt に詳細がある。~続く

2013-06-21 14:04:54
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前09)ハードSFに使えるよう詳しいのだが、敢えて正確さを犠牲にして単純・平易に再解説してみる。トンネルを通ると過去に戻るというタイムマシンがある(タイムトンネル)。その入口と出口を近づけておく。入口にボールを投げ込めば過去の出口から出てくる。~続く

2013-06-21 14:05:06
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前10)しかし投げ込む前に出てくるわけである。そこで、ボールが入口に入るのを、出口からのボールが邪魔するようにボールを投げ込むことにする。まず、投げ込んだボールが入口に入るのを出口からのボールが邪魔して、ボールが入口に入らない可能性がある。~続く

2013-06-21 14:05:26
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前11)これは母親殺しのパラドクスと数学的には同じで、数学解が無い。つまり、不可能なタイムトラベルとなる。これは、過去へのタイムトラベル自体が不可能なことを意味する。それなら自分を生む前の母親を殺しには行けないわけで矛盾は起こらない。~続く

2013-06-21 14:05:37
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前12)しかし条件を変えれば数学解が存在して、過去へのタイムトラベルが可能なことが示される。それは、出口から飛び出たボールが入口に入ろうとするボールを邪魔はするが、それでもかろうじて入口にボールが飛び込む場合である(衝突しない場合も広義には含む)。~続く

2013-06-21 14:06:00
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前13)この場合の解釈は、少しややこしい。本来は入口に飛び込まないコースに投げたボールが、出口からの未来のボールで軌道が変わって入口に飛び込んでしまうこともあり得る。これは、未来からの干渉を必然として予定した歴史といった感じになる。~続く

2013-06-21 14:06:11
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前14)映画バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTF)は、そうした例である。劇中では主人公マーティが過去の結婚前の両親に干渉したことが、両親の結婚の原因を作っている。BTFでは過去から帰ってきたマーティには前より良い現在が待っていたというオチだった。~続く

2013-06-21 14:06:26
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前15)残念ながら、それは数学解としてはあり得ない。過去から戻ってきたら、以前と同じ現実となる。過去に干渉しても、それは現在が現在の状態である原因を作っただけで、現在を変えてしまうことはできない。矛盾を引き起こしてしまう。あまり夢がない話ではある。~続く

2013-06-21 14:06:37
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前16)実は過去へのタイムトラベルもう一つの数学解がある。つまり可能なパターンがある。それは、入口にボールを投げ込もうとしたら、そのボールではない別の何かが出て来て、ボールを入り口に入らないよう邪魔してしまうものである。。ちょっと卑怯な気もする。~続く

2013-06-21 14:06:53
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前17)たとえば、ボールを投げたら、出口からバットを持ったイチローが飛び出て来て、ボールを打ち返してしまうとか。ただし、そのイチロー自身の因果律はこのパターンでは守れず、既述の過去を改変したからこそ、そのイチローが存在するものでなければならない。~続く

2013-06-21 14:07:03

タイムトラベルと決定論

Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前18)こうしたことがあり得るとすれば、それはその宇宙全体で常にそうしたことが起こり得ることになる。あちこちで頻繁に未来から過去への干渉があり、それがあるゆえに宇宙が安定して存在することになる。そういう宇宙はあり得て、一例にゲーデルの宇宙がある。~続く

2013-06-21 14:07:18
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前19)ゲーデルは数学者であり、不完全性定理は有名。そのゲーデルが数学的にあり得るとして導き足したのがゲーデルの宇宙である。特徴は時間がループしていることである。時間をずっと未来へ進めていくと、いつの間にか過去に戻り、現在に帰り着く。~続く

2013-06-21 14:07:29
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前20)その宇宙では全ての事はあらかじめ決まっている。19世紀末頃の物理学は宇宙の時間がループしていると思っていなかったが、宇宙が誕生した瞬間にその後の宇宙の歴史は全て確定すると考えていた。物理学の数式が全て確定を示していたからだった。~続く

2013-06-21 14:07:46
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前21)それは決定論と呼ばれている。「どの時刻でもよいから、宇宙の全ての粒子の位置と速度が分かり、無限の計算能力があれば、宇宙のどの時刻・場所のことも正確に分かる」という表現もある。そういうことができる架空の存在が『ラプラスの悪魔』である。~続く

2013-06-21 14:07:57
Salah Rieman @cosycube

#タイムトラベル (承前22)実際にはそんな存在はいないだろうけど、未来は誰にも分からないとしても、全てはあらかじめ決まっているということの別表現である。この決定論を打ち砕いたのが量子力学である。どんな粒子も確率的で不確定である以上、確定的なことは何も言えない。~続く

2013-06-21 14:08:13