第一回大罪大戦《負-2の狭間》【戦闘フェーズ02】
- sinlite_ohari
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扉を潜ると随分と不可思議な所に通じていた。 そこが空中だと気付いた時は驚いたが、どうやら建物の頂上部の様だ。 見下ろすと、巨大な柱や屋根が崩れ落ち、辛うじて建っている一本の上が私の足元だ。 「崩れた神殿か」 なかなか面白い趣向だと、持ちこんだ葡萄酒を飲みながら下界を見下ろした。
2013-06-28 01:20:52――『狭間』というのは、どれもこういうものなのか。 足許の崩れかけた石柱を見下ろして思う。扉を潜った瞬間にこれなのだから心臓に悪い。息を付いてから周囲を見渡した。ほぼ同時に同じ扉を潜ったもう一人は、見えるだろうか。 ――顔の判別が付く程度には遠くに居る一人は、『虚』だろうか。
2013-06-28 08:20:03ガラガラ、と。踏み出した足元が崩れた。扉を潜って一歩目。門か何か、アーチ状に組まれた石造りの上に降りたらしい。運悪く風化して脆くなった部分に足を置いてしまったのだ。 落ちる。必死で手がかりを掴むも、腕が激痛を訴え力を失う。両腕と片脚に分厚く巻かれた包帯の下、癒え切らぬ傷は深い。
2013-06-28 10:34:23崩れる音に視線を向ける。見えたそれに思わず目を瞬いてから、指輪を一つ外して宙へと投げた。指を空中に走らせれば融けた金がそれに従って、遥か下へと墜落しかけた身体を掬い上げる。そのまますぐ近くへと運ばせて、腕を組んで出迎える。 「……自殺?」 容赦も遠慮もなく、言い放った。
2013-06-28 11:00:00「……む」 降り立った石柱は、それだけでパラパラと破片を落とした。不安定な足場。すぐに崩れる事はないだろうが……。 先の『狭間』とは大違いだ、随分と面倒くさいとため息をつく。……見回せば、先客が三人。随分と多いが、さて。 「…………あれは」 目に留まったのは見覚えのある、紅い髪。
2013-06-28 13:50:20イラに救われたのはこれで幾度目か。そして何度目か思う。敵とは一体何なのかと。 「ありがとうございます。そのつもりがありましたら、ここに至るまでにいくらでも機会はありました」 頭を下げて「翼を」と短く望むと、背に一対の翼が戻った。欲しいと言い切る前に発現したのは『念願』の進化か。→
2013-06-28 14:13:26→羽ばたこうとして、はっとする。狭間に新しく、気配。絆の糸が震える。 「あ、あ……」 込みあげたこの想いを正しく表せる言葉を、私は知らない。歓びであることは間違いないけれど。胸を刺すこの痛みは何だ。 振り返り、声を上げる。 「スロウス様――!」
2013-06-28 14:13:30崩れかけた嘗ての栄光溢れる場所に降り立ったのは私を入れて四名。女性の存在に、随分麗しい戦いになるかと胸が高鳴った。だが、内の一人が落ち、助ける様子にあれが能力の1つかと、視線が鋭くなる。こちらを見ている事に気付けば軽く会釈はしてみせよう。→
2013-06-28 14:40:03誰かの名を呼ぶ声に私の視線はその二人へと。 二人は別の色の扉から訪れたはずだが。 旧い民同士親交でもあるのかと、真実はまだ知らぬまま。 懐かしい再会なら邪魔はすまいと柱に腰を降ろし眺めていた。
2013-06-28 14:43:24少女の声、視線をそちらに向ける。男、否、"大罪"が、一人。 「……そう、じゃあ、ここは大変な事になりそうね」 指を向ける。すぐ近くの石柱にそれを降ろしてやってから金を回収、指に戻す。翼があるなら問題ないだろう、判じて、そして全く動かないもう一人、金髪に碧眼の方へと顔を向けた。 →
2013-06-28 14:55:00——向こうが紅なら、こっちが虚か。 女は紅の"大罪"を知らない。存在と『座』は知っていても顔を合わせた事はない。虚ともなればもう、言うまでもなく。ただでさえ、女は『戦いと怒り』以外には、何にも興味など向けずに生きて来たのだから。 会釈には目礼を。面倒な事になったと、思いながら。
2013-06-28 15:23:31少女の声が、耳に届く。意志ある叫び、薄い繋がり……あそこにいるのは、どうやら紅の強欲で間違いないらしい。 そうなると、その隣に立つのが黒。もう一人が虚か。少なくとも自分は、どちらにも見覚えはない。 「……乱戦は嫌いなんだがな」 ぼやいても変わらない。一先ずは様子を見ることとした。
2013-06-28 15:23:17吹く風に煽られながらも、降ろされた石柱の上にしっかりと足を着く。紅として、強欲として、情けない姿はこれ以上見せたくない。心を落ち着けて虚の方へと向き直る。 「お初にお目にかかります。わたくしはグリード。唯一にして真なる強欲に座します、紅の大罪です」 名乗りは己を含む全てに向けて。
2013-06-28 18:38:06どうやら礼儀を弁えている者はいる所にはいるようだ。名乗りを受けて、腰を上げる。 「礼儀を重んじるのは好印象。私は新しき世界の創造者にして支配者、モデスト。短い間だがお見知りおきを」 今度は会釈ではなく、掌を胸に置いて深い礼を名乗りと共に。→
2013-06-28 19:15:34「残念ながら。もしそうだったら、簡単だったかもしれないけれど」 虚、モデストの声にはすぐさま返す。組んでいた腕を解き、名乗った彼、そして紅だろうもう一人に視線をやった。 「全てを覆う黒の一人、イラ。座は『憤怒』、罪科は『無我』。……どうやらここは、三つ全部が揃っちゃったみたいね」
2013-06-28 19:26:47「……やっぱり面倒なことになりそうだ」 イラの言を聞き、小さく呟いた。……ああやって名乗られては、こちらも名乗らない訳にはいかないか。 「紅の『怠惰』、スロウスだ。精々よろしく」 短い挨拶と共に、軽く会釈をして。
2013-06-28 19:41:21「黒と赤」 残る二人の名乗りを繰り返し、解せぬと頭を傾ける。 「仲違いしたからこそ、世界が割れた筈だが。仲は悪そうには見えんな」 私の表に出ることのない過去。 私が自らを『傲慢』だと理解したのは割れた世界のせいだがと答えを待った。
2013-06-28 20:32:17「モデスト様。己の優位を疑わないその在りよう、傲慢でいらっしゃいますね。……わたくしは、その疑問に対して、解足る言葉を持ちません」 死んでいてもおかしくなかった。先の戦いで敗れた自分が、何故今も生きて私として在るのか、私は知らされていない。ちら、とイラを見遣る。 →
2013-06-28 20:54:19→「お尋ねしたいことがあります、モデスト様。其方様は、わたくしの暴食、グラトニー様の行方をご存知でしょうか」
2013-06-28 20:54:26@HeNotShe_sin 「敵対する相手にも敬意を払う姿勢は評価して叶う限り応えてやりたいが。生憎私は自分が戦った相手の名を知らぬ」 還って来た二人の口から名は出なかったはずだ。 少なくとも私の記憶には無いと断りを入れた。
2013-06-28 22:42:26「……知らねえってことは、死んだってことだな」 二人のやり取りを聞いていた男が、言葉を発する。そして、モデストの方を見遣り。 「それじゃあ、俺からも一つ聞きたいんだが……お前が戦った相手、どんな奴だった?」
2013-06-28 22:50:59@siroeda_sin 私の言葉を掬う様に口を開いた男が、続けて私に問う。 「誇り高く、強い男だったな。アヴァリーティアと名乗ったか」 彼の名には敬意を払う。 その名において、私は勝ち続けると誓ったのだから。 尤も、相手がどう思っているかは知らない。私がそう思えばいいのだ。
2013-06-28 23:08:20「……アヴァ、リーティア……?」 ひどく動揺した、表情。その名は、この戦いの根底で。敵の象徴みたいなもので、そしてひどく懐かしい……。 「…………何だ、オイ」 さっくり負けてんじゃねえよ。何やってんだ手前ェ、何もかも奪うんじゃあなかったのか。→
2013-06-28 23:18:13