飛行機の対艦攻撃兵器としての発達をだらだらと語る

タイトルのままです。
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M-鈴木 甲28 @kapitan_black

飛行機が出来た頃、それは気球よりは自由度が高い程度の、「飛ぶ事自体」を目標から目的に変えたばかりの文字通りヨチヨチ歩きを始めた機械だった。

2013-07-18 07:32:00
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

しかし、幼な子が練習を繰り返すうちに歩く事自体を意識せずとも容易にこなす様になり、走り、鞄を持ち、30cmの定規で剣客商売の徒と化し、雪の中を走りながら雪を掬い上げ雪玉を拵え投げつけるに至る様に、努力の傾注は「飛行機」を急速に「ヴィーグル」へと変貌させつつあった。

2013-07-18 07:37:25
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

こうした機械的発達の結果、時々ダイナミックな費用対効果の達観を見せる軍事関連に於いて(数々の冒険行と同様に多くの資産家や貴族や有志を踏み台にして)採用され(又は個人的に投入され)偵察/観測やその妨害を経て、空中戦や対地攻撃手段を模索する事になる。

2013-07-18 07:57:16
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

初期の空中戦と呼ばれる行為とガジェットには興味が尽きないものがあるのであるが、此処では「罵声、拳銃、レンガや投石やぶら下げた縄や錨や猟銃の携行から機関銃で自らのプロペラを毟り取る愚行を経て兵器にジョブチェンジした」と記すに留めたい。

2013-07-18 08:04:38
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

一方の「飛行機による対地攻撃」は如何なる発達を見せたのか?って、懸命なる諸兄に置かれては想像に難くないとは思うが、結局は投石レベルから始まるもので、中には全金属製の槍を投げおろして騎兵を狙うと言うロマン溢れる対決(?)すら実現したのであるから推して知るべし

2013-07-18 08:10:18
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

本来、空中から一方的に手出しが出来ない地上を攻撃するのは騎士道精神的にどうよ?と言われるかも知れないが、未だ「飛ぶ事自体が第一級の危険行為」だった時代、むしろ命中率とか言うレベルにない(肝練りより余程危険はない)のであり、驚かせる効果が先行した

2013-07-18 08:16:00
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

それはそうだ、一定の高度で一定の速度で決まった形と重さの物を投下してさえ命中が覚束無い行為を、目分量と感覚で、機内に持ち込む事が可能な僅かな余剰重量と相談しながら揃えた数個(または1つ)の某かを手で投げつけるのだ

2013-07-18 08:22:21
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

だが、飛行機が馬力と強度で妥協と打算の上にステップアップを開始し、2人乗りで更に100kg単位での搭載余力を身に付けると話が変わってくる。火薬の入った容器に信管を取り付け、安定させる棒や紐や羽を付けた代物「爆弾」の登場である。

2013-07-18 17:28:56
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

初期の航空機投下用爆弾は本体に負けず劣らず試行錯誤の産物であり、投下手段も手で投げ下ろすだけだった。無論相変わらず命中率は低い。その内、機体側面に筒を縦にくくりつけ、決まった高度と速度で飛び、爆弾はその上端から手を離す。すると機体から見て大体同じ位置に落ちる様になる。

2013-07-18 17:34:57
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

その内に、訓練と経験則に高度計や速度計や工作精度が進歩して、命中率はどんどん上がる。爆弾も大きく重くなり、爆発力や破片効果による破壊力と殺傷能力は軍事的に意味のある物になってくる。

2013-07-18 17:40:18
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

爆撃の命中させかたも発達する。前述の爆撃は「水平爆撃」と呼ばれる。それに対して目標に向かって降りて行って爆弾を放り出す「降下爆撃」が広まる。これは30°程度までの緩い降下角の「緩降下爆撃」と、下手をすると70°とかで目標に突っ込む「急降下爆撃」がある。

2013-07-18 17:45:13
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

どちらも目的は「命中率の向上」なので、注意して欲しい。別に急降下で速度を上げて威力を上げるのが目的では無い。

2013-07-18 17:47:17
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

降下爆撃は目標に近くなるし、何より角速度が小さい状態で投下するので、命中率は高いし、動く目標にもあてやすい。しかし、降下や引き起こしで生じる負荷を考えても水平爆撃より機体は頑丈でなくちゃいけないし、つまりその分爆弾は小さくなってしまう。

2013-07-18 17:51:05
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

それにはまず、急降下なる行為が、初期の飛行機にとりどれほど恐ろしい行為だったかをしって貰う必要性がある。正確な例えでは無いけれど、その辺はご勘弁いただきたい。

2013-07-19 07:34:21
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

飛行機は凄く早い。これは今なら常識。だが鳥人間コンテストの飛行機はどうだろう?「遅い」よね?実は「限られた動力源で空を飛ぶ」行為は色々な物をかなぐり捨てて、必要なものだけをなんとか確保して実現している。中でも「軽量化」は最も上位に存在する選択肢なのだ。

2013-07-19 07:39:13
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

空気抵抗なんてスカシタ野郎なんぞにも愛想笑いの一つもしたって良いのだが、少なくとも「二番目以降」の問題でしか無かった。揚抗比なんて小洒落た単語もあるけれど、乏しい動力源がプロペラを回して得られたらなけなしの推力が絞り出した馬や蒸気機関車程度の速度で空中に浮き上がる揚力を得たい。

2013-07-19 07:46:07
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

街中で、高いアンテナを見ると解るけれど、強度が欲しい物をしっかり保持する時に有効な手段は「張り線」とよばれるもの。同じ質量なら構造強度は単体の棒より、その棒を分割してトラス構造にした方が強い(クレーン車参照)し、それを推し進めたのが張り線、力は棒(構造)の圧縮と線の張力に依存する

2013-07-20 07:53:47
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

初期の航空機(特に複葉機)が支柱と張り線だらけなのにはそんな理由がある。つまりは多少の空気抵抗には涙を呑んででも軽くしたい。だが、理屈にはあっている。何故か?それは「遅いから」

2013-07-20 07:57:21
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

空気抵抗(と言うよりも流体力学上の抗力)は速度に酷く強く影響を受ける。遅い時には「押しのける」だけで済んだ労力は、早くなるに連れて「引き戻そうとする力」「表面を引き剥がそうとする力」が支配的になる

2013-07-20 08:01:39
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

そこを詳しく語ると「層流」「乱流」「カルマン」等の専攻履修者が隠し持つトラウマに踏み込みかねない単語を説明する事になるので軽く流すとして、流れと角度を持って展帳された張り線はもの凄い空気抵抗を生む。風が強い日に紐や物干しやアンテナが唸り音をだすよね?アレ。アレが凄く抵抗大きい

2013-07-20 08:09:22
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

だが、そうした現象で生じる不利益が、どの辺で軽量化の利益を上回るか?は求める性能の方向に拠っても異なるのだが、200km/hがどうのこうのとか言っている段階では軽量化の効果の方が遥かに大きい。(無論、おフランセ人ならずとも複雑になりがちな引き込み脚を採用するなど愚行の極北である)

2013-07-20 10:02:43
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

当然、航空機の機体強度や荷重の方向性は、機体が発揮可能な速度と、その主翼が生じ得る揚力で発揮し得る旋回Gを目安に設計される。逆に言えばそれを越える負荷がかかれば壊れちゃう。空中分解するのだ。(フラッターは除く)

2013-07-20 10:03:08
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

こうした数値は、地上を走る車輌であればなんとか現実的な数値って奴を設定しやすい。のであるが、生憎と航空機は「空を飛ぶ」機械であって、運動エネルギーをせっせと貢いで高度を上げる事が可能であると同様に、位置エネルギーを浪費すれば莫大な運動エネルギーを獲得が可能である。

2013-07-20 10:07:25
M-鈴木 甲28 @kapitan_black

中でも動力降下と呼ばれる、推力を用いてまで高度を捨てて速度を稼ぐ行為は、通常時にエンジンを全開にした時を遥かに越える速度を獲得する事も可能である。人間が自由落下するだけで200km/h近い速度が獲得できるのであるからして当然と言えば当然。

2013-07-20 12:31:15
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