「希望を語るー自閉症、その内面の世界」東田 直樹さん×山登 敬之さん

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#bi_10aniv 東田さん「言葉や態度や表情で、表現することができない人が存在することを、どうすればわかってもらえるのか悩みます。誰にもわかってもらえない人の心を救えるのは、やはり人だと思います。」

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#bi_10aniv 東田さん「話せない人に対しては、気持ちを推測するしかないのはわかります。しかし、見かけの言動だけで、話せない人の気持ちまで、すべてわかったように、決めつけないでほしい。本当の気持ちは、その人にしかわからないはずです。」

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#bi_10aniv 東田さん「思ってもいないことを、まるで本人の意見のように断定されると、それに対して弁解もできない人は、ただ、従うしかない。話せない人の心の中を想像して言う言葉は、あくまでも言っている人の意見だということを、忘れないで欲しいです。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕の精一杯は、たとえば崖っぷちに立っているのに、そこから動けない状態に似ています。僕の目の前の崖下しか見えていません。崖から落ちてしまえば、自分を見失ってしまいます。パニックになるということは、そういうことではないでしょうか。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕は、どんな人も自己肯定感を持っていると思う。自己肯定感が高い人ほど、前向きに生きていけるのではないか。どれくらい楽に生きられるかも、自己肯定感に左右されると感じる。ここでいう『楽』とは、自分を追いつめないという意味です。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕は、自分自身と向き合う時間が長いです。普通の人は、感じたことや思ったことを、すぐに口に出すことができます。すると、誰かが共感してくれたり、意見を言ってくれたりする。そこで話は完結します。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕の場合は、思ったことがあっても、繰り返しそのことを考えます。何度も考えているうちに、どこかで出口のような答えが、見つかることがあります。僕にとって、考えるということは、息をするのと同じくらい日常的なことです。」

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#bi_10aniv 東田さん「次々と考えることがたまるのではと心配されるかもしれません。僕は、考えなければいけないことを整理して、頭のなかに分類しています。」

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#bi_10aniv 東田さん「考えている間は、自分が障害者であることを忘れています。思考は限りなく自由で、無限の可能性を僕に感じさせてくれます。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕の心が躍るのは、空気が澄んでいる景色を見たときです。自分が風景にとけ込むような感覚に陥るからです。体だけがバラバラになって、空や木や大地に吸い込まれていくような感じがします。自分の命が永遠であるかのような錯覚に襲われます。」

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#bi_10aniv 東田さん「そういう瞬間は、幸せの絶頂のような気分です。きっと太古の人間も同じように感じていたのでしょう。」

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#bi_10aniv 東田さん「自閉症という障害は、どこから来たのだろうと考えることがあります。自閉症は、人類が生み出したものではないでしょうか。何かのバランスがくずれているために、僕たちのような人間が必要だから、生まれた来たような気がします。」

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#bi_10aniv 東田さん「だからといって、僕たちがこのままでいいわけではありません。みんなの中で生きるための努力はしなければいけないと思っています。」

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#bi_10aniv 東田さん「僕は、自閉症者が不完全な人間だと判断されるていることに納得できません。自閉症者も完成された人間だと信じています。ただ、大多数の人といろいろなことが、少しずつ違うのです。」

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#bi_10aniv 東田さん「治らない障害というものは、時代が僕らに何かを望んでいることがあって、僕らををこの世に誕生させたに違いない。」

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#bi_10aniv 東田さん「自閉症という言葉には、自分を閉じ込めるという印象があるかもしれませんが、それは間違いです。心はいつも外に開いています。本当に心を閉ざしていたら、奇声を上げることも、パニックになることもないでしょう。」

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#bi_10aniv 東田さん「自閉症者は、心を閉じていて、人と関わらないのではありません。開いているのに、気づいてもらえないのです。外に出るためには、人の力が必要です。どうか、僕たちに、この社会で生きるための力をかしてください。ご清聴、ありがとうございました。」

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#bi_10aniv 会場は満場の拍手です。すばらしい講演に、ツイート中継しながら涙ぐんでしまいました…。続いて精神科医の山登さんの講演です。タイトルは「発達障害から発達マイノリティ」へ。

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#bi_10aniv 山登さん「東田さんは小学校から本を書いている（「この地球にすんでいる僕の仲間たちへ」）。会話ができない自閉症の当事者で、しかも子どもで、これだけしっかりした文章を書ける人がいることに驚いた。」

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#bi_10aniv 山登さん「優れた詩を書かれている。この作品を読んで、この人は詩人だと思った。」会場では東田さんが子どもの頃に書かれた作品が紹介されています。

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#bi_10aniv 山登さん「『東田直樹はここがイイ！』文章に余計な飾りがない。視覚に訴えてくる表現。ちょっぴり哀しくて、ちょっぴり切ない。人間に関する驚きと発見。社会にたいする怒り。そして命の歓び。」

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#bi_10aniv 山登さん「自閉症とは何か。今年は自閉症誕生70周年。カンナー医師が「早期幼児自閉症」を使ったのが最初（1943年）。翌年、アスペルガー医師も「自閉的精神病質」という報告をした。」

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#bi_10aniv 山登さん「アスペルガー医師の報告では、幼児期に言葉の遅れがない。カンナー医師の報告では、幼児期に言葉が不自由だった。」

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#bi_10aniv 山登さん「広汎性発達障害の特徴。1. たい人的、社会的、感情的な事柄に関して、適切な理解、コミュニケーション、振る舞いが困難。2. 特殊な関心に没頭する。同一事物にこだわり固執する。変化への適応が困難。」

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#bi_10aniv 山登さん「アメリカでは広汎性発達障害やアスペルガー障害といった言い方ではなく、『自閉症スペクトラム』と呼ぶようになっている。広汎性発達障害といった呼び方は、10年後になくなっているかもしれない。」