ヨウカイスレイヤー「スプリング・スプリングス・ユーレイ・アンド・ロスト・ソウルズ」#3

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YOUKAISLAYER @YKSLYR

「スプリング・スプリングス・ユーレイ・アンド・ロスト・ソウルズ」#3

2013-08-08 17:38:18
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(あらすじ:異変を止めるべく地下世界へと潜ったヨウカイスレイヤーたちは、野良ヨウカイを爆発四散させながら旧ジゴクへと到着した。不信感を覚えたニトリは野良ヨウカイの装備を回収、ヨウカイスレイヤーたちを待機させユカリと共に調査へ出掛けた)

2013-08-08 17:40:36
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「ドーモ」マリサは店主が差し出すミソオデンを受け取った。ヨウカイスレイヤーと彼女は地底屋台街の一角、「実際安い」「二度漬けを許さない」と書かれたノーレンのオデン屋台にいた。雪の降りしきる地底の街は二人の予想以上に活気があり、何人ものヨウカイが行き交う。1

2013-08-08 17:44:47
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(仕方がないでしょう。極秘技術がどうのこうのって……こっちは大変だったのよ?)二人に挟まれる位置に座るヨウセイほどの大きさのオーエド人形が言った。(今ニトリ=サンがユカリ=サンと事実確認に行ってるから、それまで待機してて)「了解だぜ……アーウチッ!」ガンモを吐き出すマリサ。2

2013-08-08 17:47:43
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(大丈夫?)「平気だアリス。ガンモが熱かっただけだ」マリサは冷水を一気に口に含んだ。一方ヨウカイスレイヤーはマリサの方には目もくれず、オーガニックハンペンを食べ終え、追加注文したダイコンと鶏肉、そしてジャガイモに手を付け始めている。3

2013-08-08 17:49:54
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「オイ、ちょっと食べすぎじゃないか?カネはどうするんだよ」マリサは箸でレイムの方を指した。「ツケておけばよかろう」(相変わらず非道いねぇー。二度と来ないだろうのに)スイカが吐き捨てるように言った言葉はレイムには届いていない。4

2013-08-08 17:55:48
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(おお、なんたる横暴か。このような人間があろうことかあのハクレイ・シュラインのミコー・プリエステスとは)人形がパタパタと腕を振りながらアヤの声で大仰に言った。(先代のヨウカイスレイヤーが悲しむことはもはや必然では)「食事中だ、黙っていろ」5

2013-08-08 17:57:12
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「先代?」食事を済ませたマリサが会話に乗った。「レイム=サンの前のミコーもヨウカイスレイヤーだったってか」(当たり前じゃないですか)元の口調に戻ったアヤが言う。(ヨウカイ退治はミコーの仕事ですからな)「ならワタシもミコーを名乗れるわけか」(あなたはシーフ(盗賊)でしょ?)6

2013-08-08 18:00:49
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パチュリーからの言葉は無い。先程のヨウカイ達について調べているのだろう。当のレイムはソデン(訳注:ソバ・オデンか)を追加で頼んでいる。(スペルカード・ルール制定前のミコーは代々カラテで制圧するような方でしたからね、ハクレイ・ミコーの怒りに触れたら命はない、と言われたほどの)7

2013-08-08 18:03:49
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「そうなのか?」「私は知らぬ」レイムは店主からソデンを受け取る。(特に先代のヨウカイスレイヤーは歴代最強のカラテの持ち主でして)(そうそう、結界ごと内臓を破壊するポン・パンチだとか、首を実際吹き飛ばすサマーソルトキックとかねぇー)(仲間の天狗が満身創痍で帰ってきたなんてことも)8

2013-08-08 18:07:12
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彼女らの話は誇張が一切無い。人間でもヨウカイと対等に渡り合えるダンマク勝負とは違い、カラテでは力の差が出る。強力な力を持つヨウカイを叩きのめすためには当然、それ以上のカラテが必要なのだ。「私がブザマなような言い方だな」(あくまで比較的、ですのでご安心下さいな)9

2013-08-08 18:13:17
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「ヘッ、となると先代殿は鬼神めいていたッてか。一世代生まれるのが早かったらワタシはとっくにネギトロだな」そう言ってオデンの代金素子を店主に渡そうとしたマリサの腕を、何者かがガッチリと掴んだ。辛味を入れるレイムの手が止まり、目に薄紅の炎が一瞬灯る。10

2013-08-08 18:17:40
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「ちょっと待ちな!」「ア?何だ?」マリサは声の飛んできた方向を見た。そこにいたのは、彼女が想像した先代のヨウカイスレイヤーめいた強者風のアトモスフィアを放つ、ヨウカイ!腕を掴んでいない方の手で盃を持ち、両手首には鎖。額からまっすぐに延びる一本角。11

2013-08-08 18:21:57
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「オイオイ、アンタって……」驚愕で手からトークンがこぼれ落ちるが、ヨウカイスレイヤーが素早くキャッチする。「ん?ああ、いきなりシツレイだったな!ドーモ、私はホシグマ・ユウギだ」そのヨウカイはマリサの腕を離すと、拳を掌に叩きつけるように合わせた。「ドーモ、タカギ・マリサです」12

2013-08-08 18:26:36
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「……」ヨウカイスレイヤーはソデンをすする。「そう警戒するなって。アンタらの会話が鬼の話らしかったから、つい首を突っ込んでしまっただけだ」ユウギは悪びれるそぶりも無く言った。「オヤジ、サケをこの盃に注げるだけくれ」「ハイヨロコンデー」13

2013-08-08 18:28:50
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ザッケンナコラー……スッゾー……近くでヨタモノ同士の喧嘩が起こり、ドスの利いたヤクザスラングが飛び交う。「するってえと、アンタは」(鬼だよ。友達さ)人形が言った。(久しぶりだねぇユウギ=サン。随分留守にしてたけど、変わってないようで安心したよ)14

2013-08-08 18:33:31
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「うん?この小さいの、もしかしてスイカ=サンなのか?見ないうちに人形趣味になっちゃって」(そんなわけないだろう)と酔っぱらった声。(人形は通信装置であります。我々は地上から貴方様の所へ向かったそちらの人間のサポーターでありまして)アヤの口調が再度変化する。15

2013-08-08 18:38:15
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「その声は天狗殿か。ヘコヘコした態度は鬼様には嫌われるぞ?」(滅相もございません)ヨウカイスレイヤーはチャを飲んでいる。「それで?誰が鬼並の強さだって?そこで茶をすすってるお嬢さんかい?」ユウギはなみなみと注がれたホット・サケを口にする。16

2013-08-08 18:47:02
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「それは、」(目の前の金髪の人間よ)マリサを制するようにアリスの声で人形が答える「オイオイオイ!ちょっと待てアリス!」(ダンマクはパワーなんでしょう?)「食後の運動は脇腹に悪いぜ」「ほう、アンタがそうかい!そうだな……飯の代金をかけて力比べするというのはどうだ?」17

2013-08-08 18:51:17
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その言葉に反応したのはヨウカイスレイヤーだ。「いいだろう、こちらが勝てばカネは払ってもらおう」「信頼されているな、ご友人。腕は確かなのか?」「うむ、腕に自信有り」マリサは袖をまくった。「でも、口だけの奴はここで死ぬ!しっかりと試させて貰うよ」18

2013-08-08 18:54:15
YOUKAISLAYER @YKSLYR

「ザッケンナコラー!」ニトリのヤクザスラングが響き渡った。コワイ!「「アイエエエ!」」「スッゾオラー!知らないわけアッコラー!?シェバカグレッコラー!」「「アイエエエ!」」足元にはドゲザするカッパエンジニア。「ザッケ……」「その辺にしておいたら?」ユカリはやんわりと制する。20

2013-08-30 23:14:40
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「ここまで言われても口を割らないんじゃあ、本当に知らない」彼女はエンジニアリング・ルームに配置された引き出しを調べながら言う。慣れた手つきだ。「もしくは、貴女より強い誰かに口封じされている、ってところかしら」「……」ニトリはドゲザをやめない仲間たちを見た。「時間の無駄だわ」21

2013-08-30 23:15:39
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タイムイズマネー、と呟きながらユカリは家捜しを続ける。「そもそも木っ端下っ端は自分が何を作っているかさえ……おっ、ヨーカンゲット……分かってないでしょう」ニトリに促されたエンジニアたちが持ち場へ散っていく。「貴女の言う機密って、どうせ外の世界からのものでしょ?なおさら、ね」22

2013-08-30 23:17:42
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ユカリは寝転び、「春な戦い」のショドーをめくる。その裏にニンジャ屋敷めいた抜け穴はない。しかし彼女は、カケジクの裏側に張り付けられた封筒を見逃さなかった。「『簡易武装システムハ』『モータークモ設計図』『極秘な』……あった、これだわ」23

2013-08-30 23:19:26