第二大罪大戦《第七の狭間》【戦闘フェイズ1】

紅(ルージュ)は傲慢、オルグイユ(@Ssace_sin) 黒(ノワール)は強欲、ギーア(@ikjkr_sin) 狭間に出で遭い、交叉する。
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『   』 @Ssace_sin

「本意であろうと無かろうと、それを成すが『傲慢』の性」 甲冑の騎士が姿を成してナイフを弾く。退行した青年の転移という声とともに針が飛来、騎士がそれを弾く。本が大量に落ちる音がして、 「それが私の『座』」 重い、硬い木の本棚それ自体が突如として飛来する、避けは出来ないと判断して。

2013-08-09 02:05:17
『   』 @Ssace_sin

衝撃と同時に視界が黒に、硬い床に背が叩き付けられて息が詰まる。重量が全身に、どこかが折れる音。痛みはあるが。 ——それも含めて全部で唯つ。 「私は、傲慢で在らねば」 声が掠れる。下敷きにされたまま袖口から『熊』を取り出す。 「許されない」 口の端に血。重いそれを熊が撥ね除けた。

2013-08-09 02:05:19
エッシェ @ikjkr_sin

投げた針はまたも騎士に弾かれる。が、転移させた本棚はまともに食らったようで。 「君が、『黒』の『傲慢』とは大分性質が違うのはわかったよ」 倒れた青年追撃すべく肉薄する。現れた熊によって本棚はあっけなく彼の上から退けられてしまった。

2013-08-09 06:29:33
エッシェ @ikjkr_sin

けれど、きっと彼も無事では済んでいないだろう。 痛む傷もふらつく足も滴る血も、全部気にしてなどいられない。最初よりも動きの鈍った四肢を無理やり動かす。 ――起き上がる、前に! 倒れている彼へ、取り出したナイフを持つ手を大きく振り上げ飛びかかる。

2013-08-09 06:32:05
『   』 @Ssace_sin

轟音、響くその音に僅かに遅れて、ようやく視界に戻って来た光を遮る影。手に持ったそれが光るのを見上げて、 「そちらの傲慢がどうかは知らないが」 まだ掠れたような声で言って、手を伸ばして、 「私はそう在れと望まれ据えられた『大罪』」 切っ先を根元まで、真っ直ぐに、掌に受け入れて、

2013-08-09 16:56:39
『   』 @Ssace_sin

「足掻くのは性ではないのでな」 そこに在る事が当然なのだから。自分が傲慢の座に在るのだから。それが世界の選択なのだから。 ——その意思に従うまで。 染まった指を伸ばす。強欲の手を強く握る。振り払われてもおかしくは無いけれど。 握った手の袖口からは、幾筋もの蛇が、牙を剥いて喉頸に。

2013-08-09 16:56:41
エッシェ @ikjkr_sin

僕の手は青年にしっかりと掴まれる。いつもならなんてことはないのに、毒のせいで振り払えない。 「!? て、」 蛇に気付いて避けようと口を開いたときにはもう遅く。発現したヘビが僕の喉を穿つ。 「っ、ぁ」 声が、空気が。喉元から漏れて言葉にならない。声を発せられるのは残り僅かだろう。

2013-08-09 22:19:52
エッシェ @ikjkr_sin

――それでも、 「(僕は)」 青年を見据えて、唇だけ動かす。顔には、柔らかい笑み。 「(欲しがることを止められない)」 ありったけの針とナイフを空間に放り投げ、掠れる声で呟く。 「転移」 自分に被弾しようと、避ける余裕なんて、ない。 ――願わくば、彼の命が手に入りますように。

2013-08-09 22:20:24
『   』 @Ssace_sin

呼気だけの声。柔らかい笑みは、『強欲』のそれは揺らぐ事も無く。 彼自身が己の『罪科』に呼び掛ける、それでも確かな声を聞きながら、腕を伸ばす。伸ばして、 「勝手に、傲慢は狭量だとは思わないで欲しいな」 覆い被さる『青年』の背に腕を回して、そのまま強く、抱き締める。 刃が、駈ける音。

2013-08-09 22:36:36
エッシェ @ikjkr_sin

声と抱き寄せられる感覚と、背中に幾らか刺さる衝撃と音。 ああ、楯か、と。遠のく意識の中でぼんやり考える。もう体は動かないし、失血で頭も上手く働かなくて。 折角『黒』という居場所をくれたのに、 「――――」 みんな、ごめん。 そう呟こうとした言葉は、僕の意識と一緒に霧散した。

2013-08-09 23:23:01
『   』 @Ssace_sin

抱き締めた身体から力が抜けていく。それを感じて息を吐き出した瞬間に、胸に衝くような激痛。 骨か、そう思いながら、腕をそっと放そうとして、そこに突き刺さった針を見やる。一瞥だけで放っておいて、指だけで手招く。操作の外にあった熊がそれでようやく動き出して、『青年』の身体を抱き上げる。

2013-08-10 00:12:45
『   』 @Ssace_sin

自由になった所で起き上がろうとして、左脚にも痛み。蠍と騎士は円盤に戻った、蛇を掌に戻す。ゆっくりと、身体を起こして、とにかく折れてしまった脚には硬く改めて具現させた蛇を巻き付かせて、そのまま銀へと変えて固定する。左手からナイフを、右腕から針を抜き去って、それでようやく息をついた。

2013-08-10 00:12:46
『   』 @Ssace_sin

熊が抱えた『青年』を見やる。綺麗な方の手を伸ばしてその額に触れた。息はしている、生きている。 「……その罪科も器も、私は消し去ろうとは思わない。『罪』が多いのなら精査すべきだとは思うが」 額に掌を当てる。 「『消し去れ』とは言わないさ……『仲良く』なれそうだからね」 手に、力を。

2013-08-10 00:12:48
『   』 @Ssace_sin

作り替える。 造り変える。 創り換える。 「欲しいものが諦めきれないのは私も同じ」 『傀儡』の糸を繋ぐ。繋ぎ止める。 『黒』の部分を縛り付ける。糸で包んで見えなくする。 「さぁ、」 「——『君は誰』? 『僕のもの』?」

2013-08-10 00:12:49