はだしのゲン閉架問題って本当に駄目な事？ その２　その後の進展と見解

あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

となると、勢いこれはやはり「描写の過激さを問題視はあくまで建前でしかなく、結局クレームに屈した形なのではないだろうか？」と推測したくもなるだろう。　が、そういった推測も確かに説得力が無いでは無いが、個人的にはまだ「邪推」の域をそこまで大きくは出ていないように思える。

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なぜなら、前半における原爆投下の描写と、後半におけるヤクザの殺し合いやまんこに一升瓶突っ込まれる女性のレイプシーンなどとを比べて、後半部分をより問題視する事もそこまで不自然な事では無いからだ。

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ここでもう一度例の議事録を参照すると、問題視されている「表現」とはどうやら「暴力表現」の事を特に指しているようだ。

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確かに前半部はグロテクスな死体や身体欠損の描写はあれど、殺し合いやレイプなどの「暴力描写」はことのほか多くなかったように記憶している。となれば「暴力描写を問題視して後半部分のみ閉架」という市教委の言い分には、相応の論理一貫性と妥当性を見出しても良いだろう。

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私個人としてはもっとシンプルにグロテクスさやショッキングさなどを基準とすべきでは無いかと思うので、どちらかと言うと原爆投下シーンの方をより問題視したい所だが、人によって基準の取り方に差が出るのは当たり前なのでそこは一旦置いておく。

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と言う訳で、長々と呟いてきたが結局の所、決定的な判断はまだこの時点では下せないとしか言えない。ちょっと怪しいなと感じる部分もあるが、世間の断定口調による市教委批判はやはり短絡的で稚拙にすぎるように私には思えてしまう。

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今回の件で世間は随分にぎわったが、「はだしのゲン閉架反対」にかなり多くの署名が集まっているらしい。まあ案の定市教委側は「撤回も視野に入れた上で再検討」だそうな。今度こそ拙速な議論で曖昧な基準などを用いず、細やかな検討を経た上で明確な基準の下で判断して欲しい。

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「多くの人に反対されたから」などという程度の理由に開架に戻すようであれば、それこそ「クレームに屈した」以外の何物でもない訳で、くれぐれも市教委には「毅然な対応」を求む。

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（いや多分、適当に作った紙箱に表紙カバー被せて「読みたい人は先生に言ってね」て書いた物を元々有った棚に置いとけば、誰からも不満出ないと思うんだけど、如何っすかね？）

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と格好良く（？）キメたが、実は以上の意見には @NakanishiB 氏の意見がかなり反映されている。実際の所、私自身はfinalvent氏の記事を読んだ段階で「なんだ何の問題も無かったんじゃん」となってしまっていたので、そこは若干黒歴史。粘り強く付き合って頂いた氏には深く感謝。

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で、もうちょっと話を続ける。ここまで私は何度か「論理一貫性」「妥当性」という言葉を使ってきたけど、正直な所、個人的には「論理一貫性」を重視すれば小学校で何の配慮も無くこの漫画置いとくって結構無茶だと思うんだよな。

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「はだしのゲンがゾーニング対象になるのなら、他のあの名作やこの古典作品も対象になっちゃう」と言う意見もあるが、それとは逆に「はだしのゲンが対象にならないなら、他のあの作品やこの作品だって学校図書室に置いて良いはずだ」というのもあるので、どっちにしろ真に厳密な一貫性は得られない。

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で、だ。「はだしのゲン」をゾーニング対象としない事で崩れる一貫性と、対象とする事で崩れる一貫性とだと、被害は圧倒的に後者の方が少ないように俺は思うんだよなあ。

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いやだって「はだしのゲン」が認められれば「ハレンチ学園」も認められてもおかしくないし、そうなったら「To LOVEる ダークネス」までは後数歩だぞ。それなら地獄絵図などの残虐描写や裸婦画が書かれまくってる宗教書籍とかを「はだしのゲン」と一緒に閉架する方がまだよっぽど現実的だろう。

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そもそも実際には司書さんが購入した全書籍の中身に目を通すなんてのは土台無理な話で、タイトルだけで購入して中身ちゃんと精査してない書籍って沢山ある訳だよ。皆もそういう記憶の１つや２つはあるんじゃないか？

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俺の学校に置いてあった石ノ森章太郎著の「マンガ日本の歴史」では、第一巻から「収穫祭の後に幻覚性の葉っぱ燃やしながら乱交パーティー」という描写が存在する。これも１０歳以下の子供が自由に手に取れる場所に置く事はあまり推奨されないだろう。

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そこら辺も含めて、本当に厳密な一貫性なんて労力的には元より、原理的にも持たせる事は出来ないという事は、ちゃんと皆分かっておくべきなんだろうな。

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ちょっとこっから先は凄い俺の感覚的な話。俺の身勝手な価値観や理想論に基づく、ちょっと論理的でない話を少しする。

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そもそも「基準が完全に厳密に首尾一貫してるって本当に良い事なのか？」という結構根本的な疑問はないでもないんだよな。なんとなくで例外扱いされてるものが日常の片隅に存在してる事は、そんなに悪い事なのか？という。

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やっぱさあ、例外が散らばった世の中の方がよっぽど豊かだよなあ。そういう意味で、とある漫画が何となく何故か例外になってるってのも、それはそれで良いんじゃないかなあと思う。

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でもその例外はやっぱりあくまで「抜け道」であって欲しいと言うか。あくまで「図書館にヤバい漫画置いてあるぜ」って子供の噂話になるような。司書さんが「本当はちょっと微妙なんだけど、まあ良いか」と放置してくれてるような。

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「はだしのゲン」が「描写に色んな問題はあるけど教育に良いので例外的に図書室にあります」という行政のくれた錦の旗を掲げる事を、俺達は本当に望んでいたか？

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「馬鹿な大人は単純な反戦教育漫画だと思い込んで見落としてるけど、本当のこの漫画の姿は俺達はちゃんと知ってるんだぜ」って、そういうのが楽しくなかったか？