初めての就業経験がブラックバイトでいいのか!?
提案1:企業の不当行為から若者を守る/ 提案2:社会の信頼感とウィークタイズの基盤を強化する(引用者注:ウィークタイズとは、緩やかな連携のこと)/
2013-09-07 14:06:10ブリントンは日本の非進学型の高校の進路指導・進路状況を研究し、アメリカ社会の経験も踏まえたうえで、「若者の雇用問題と格差の問題を解決するうえで有益だと考えるアイデア」として、同書第7章で4つの提案を行っている。
2013-09-07 14:05:56(要旨1)アメリカの若者がはじめて経験するアルバイトはたいてい、子守や庭の芝刈りなど、近くの家の手伝い。こうしたアルバイトは、家族や近所の人のつてを通じてみつける。
2013-09-07 14:07:04(要旨2)この仕組みを機能させているネットワークは、アメリカの社会学者ジェームズ・コールマンが言った「社会的囲い込み」の典型に思える。
2013-09-07 14:07:15(要旨3)これらのアルバイトを支える土台は近所レベルやコミュニティーレベルの「信頼」のようだ。大人は子供がまじめに責任をもって働くと信頼し、子供は大人がきちんとお金を払ってくれて、不当な扱いをしないと信頼しているのである。
2013-09-07 14:07:23(要旨4)1960~80年代の日本で高校と企業の実績関係が機能し、高校が企業に目を光らせていた時代の状況も、「社会的囲い込み」の一つの例だ。
2013-09-07 14:07:32(要旨5)もし企業が求人票に記載した労働条件を守らなければ、若者が出身高校の先生に相談し、高校の進路指導部は企業に連絡をして文句を言い、同時に職業安定所に通報することも可能だった。
2013-09-07 14:07:40(要旨6)この関係において、若者は企業とだけむすびついているわけではなく、孤立していない。高校を卒業した後も、就職先の会社に斡旋してくれた高校とつながりを感じ続けられる場合もある。
2013-09-07 14:08:01(要旨7)しかも、高校と企業、高校と職安、企業と職安の間にコミュニケーションの経路が確立している。この仕組みは「制度型の社会的囲い込み」と呼べるだろう。
2013-09-07 14:08:10(要旨9)高校と(アルバイト先の)企業の間にはまったくコミュニケーションがない。その結果、高校生とアルバイト先企業との関係には、高校の監視の目が届かないし、職業安定所の監視の目も及ばない。高校の進路指導部を通さずに就職した高校卒業生の状況もこれに近い。
2013-09-07 14:08:28(要旨10)「社会的囲い込み」が成立しない状況では、労働者の搾取がもっとも起きやすい。会社が約束した労働条件を守らず、非人間的な長時間勤務を要求された第6章のコウイチ(専門学校卒業後、食品工場に正社員で勤務)の話を聞くと、「搾取」という言葉が頭に浮かぶ。
2013-09-07 14:08:39(要旨11)正社員以外の形態で働かなくてはならない若者が増えている状況を考えると、法律とその執行、そして社会規範を通じて企業の行動をコントロールする必要性はきわめて高まっている。
2013-09-07 14:08:51(要旨12)企業に対する社会の監視を強めることも重要だ。アメリカでは、コウイチや自殺した同僚のように、燃え尽きたり鬱状態に陥ったりする社員がいれば、その個人の責任と考えられるより、社員をそういう状況に追い込んだ会社の社会的評判に傷がつく。
2013-09-07 14:09:01(要旨14)日本の大きな強みは、全国にある職業安定所だ。非正社員の採用が増えて、学校と企業のコミュニケーションが乏しくなったとはいえ、職安は若者の労働環境を守るためのきわめて重要な手段になりうる。
2013-09-07 14:09:16第6章ではブリントンは、高校生のアルバイトが禁止という形で高校の目の届かないところにあること、企業が新規高卒採用においてアルバイト経験を価値ある職業経験とみなしていないこと、毎週長時間、労働条件がいいかげんな職場で働くケースが多いこと、を紹介し、
2013-09-07 14:09:33第7章の締めくくり部分でブリントンはこう語る。「若者のかかえている問題は個人の問題ではなく、社会全体の問題だ。いま問題をしっかり認識して状況を変えれば、まだ間に合う。」
2013-09-07 14:09:51「若い男性がまともな労働環境で働いて適正な給料を受け取れる正社員になれない状況は、ひとりひとりの若者にとって好ましくないというだけでなく、社会全体にとっても好ましくない影響をもたらす。」
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