弁護士紀藤正樹→検察制度改革の方向性‐特捜部解体論の是非・第三者検証機関の有効性等

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

それと重要なのは裁判員制度です。なぜこの時期に被疑者ノートが活用できたのか？というと、裁判員制度を批判する人もいますが、裁判員制度の採用により、裁判官が法廷重視に変わってきたということが今回の事件が明るみになった背景にあります。

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その意味で裁判員制度という裁判制度の民主化は司法制度改革としてきわめて重要で、これに反対する人は弁護士も含めて現状の絶望的刑事司法の現実を知らない人というほかありません。今回の村木さんは、まさに、この時期だからこそ、救われたと思います。以前にも同種事件がたくさんあったと思います。

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保釈については、昨年、こんな提言も出しています。→出頭等確保措置に対する提言　http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/090716_2.html

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とにかく、弁護士及び日弁連は、司法の民主化のために、努力に努力を重ねてきました。日弁連のサイトを見てもらえばわかりますが、制度の実現をことごとく反対してきたのが、検察＝法務省でした。

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ここで論点変えますが、法務省内に第三者機関を置くという考えが広まっていますが、僕は二つの意味において間違っていると思います。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

一つは捜査という性質です。捜査は生ものです。時間がたてばたつほど証拠隠しが用意です。検証ではなく、今、第三者が最高検の捜査に加わる必要があります。後で検証してもそこで検証されるのは集まった証拠でしか判断できません。隠されたり捜査サボタージュで得られた証拠では検証が不十分です。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

もう一つは法務省の特質です。この点はきちんと報じられていません。法務省と検察庁は不思議な関係です。なぜなら検察庁のトップは検事総長です。ところが検察庁は法務省内の組織であるにもかかわらず（庁と省の呼び方で序列がわかります）、なぜか事務方のトップの法務事務次官は検察官から選ばれます

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そのため組織としては法務省が序列が上なのに、法務事務官は検察庁から見ると、序列４番目です。事務次官の上に、検事総長・次長検事・検事長がおり、検事総長・次長検事・検事長は認証官ですが、法務事務次官は認証官ではありません。

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法務省設置法　http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO093.html

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

要するに法務省は、同じ官僚ですが、他の官庁と違い、国家公務員試験ではなく、唯一、司法試験制度のもとにある、官僚組織です。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

つまり法務省検察庁は事実上一体の組織です。他の省庁と全く違うことを理解していただければ、検察庁の外の法務省に検証組織と言っても、その発言にまったく深みがないことを理解していただけると思います。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

特捜部解体論も深みがない議論です。検察官が警察と同時に捜査できない制度を作ることになると、当然、すべての捜査は警察のみに委ねることになります。しかしアメリカでも州警察と連邦警察との二元体制ですし、予審判事制度においても、予審判事に捜査権があります。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

二元体制だからこそ、捜査の合法性の検証ができるのです。捜査権の検証には捜査権でしか対抗できないことをよく理解してもらいたいと思います。ですから特捜部解体論は、今回の事案の病理現象への対処だけ考えただけの議論というほかありません。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

警察だけを信頼する国の制度というのは怖いと思います。検察官から起訴権限を奪うとしても、検察官→大陪審・予審判事というルートは残るのですから、検察官が警察とは独自に捜査をする権限を奪うことはかえって弊害が多いと思います。

紀藤正樹 MasakiKito @masaki_kito

以上、最近の識者の意見も含めてメディアの論調が気になりましたので、僕の意見をまとめてみました。