悪い男に騙される山城【最終章其ノ二『対』】
警報が鳴り始める。 彼を抱えて走り出しつつ、つい今しがた自分が飛び出した窓を肩越しに見上げる。 最上さんの姿が見えた。ゆっぴー提督の姿が見えた。羽黒さんの姿が見えた。何か叫んでいる。聴こえない。 聴こえない。
2013-10-13 01:29:09「おーおー、人が集まってる集まってる。ははっ、窓から逃げてる奴がいるよ。バカだねー。はいドーン」 彼が楽しそうに手の中にある装置の、ボタンの1つを押す。 それだけで、提督寮を囲むように並んでいた花壇が爆発する。多くの人が、一瞬で炎に飲み込まれる。
2013-10-13 01:32:31@AAC_MOGAMI @fd_yamasiro なん、てことをっ…! っ!とりあえず捕まえないと!(走り出そうとする
2013-10-13 01:36:40遠くからでも見てとれる混乱と悲鳴が渦巻く光景を、腕の中で彼がけらけらと指差しながら笑っている。 彼が楽しいのなら、それでいい。 彼の指示に従うまま、港を目指す。
2013-10-13 01:37:50笛を鳴らしながら遮ろうとする憲兵を、爪先で黙らせて先を急ぐ。 建物のよく磨かれた窓に映る影を見て、近くの売店の屋根に飛び乗り身を反転させつつ停止する。 艦載機が8機、追ってきていますけど、いかがしましょう。 「あー? 決まってんじゃん。 扶桑ちゃんの出番だよ」 彼が笑む。
2013-10-13 01:44:33彼が口早に告げるチャンネルに目を瞑ってアクセスする。 コード解除、承認。ラン、コネクト自動設定。バイトリバイト非許可。 姉様の使っていた瑞雲が、私の支配下に置かれ、工廠の屋上からカタパルトで射出され空に飛び立つまでの景色が私の脳内に映される。 姉様、やっと一緒になれたのですね。
2013-10-13 01:53:56砲を背負う。上着を着直し、壁の向こうの喧騒に耳を傾ける。 逃がさない。 奴の狙いは見当が付いている。逃がすわけにはいかない。 港につながる通路のシャッターを開き、状況を無視して明るいままの空に目を細める。 待ってて、山城。すぐ行くわ。
2013-10-13 02:03:23最上さんと加賀さんの扱う艦載機を牽制しながら、一隻の船に降り立つ。 彼がぐぐーっと背筋を伸ばしてから、私の頬に触れて微笑む。 「さて、行こうか」 はい、何処までも。 予め準備されていた彼お手製の砲台に指を這わすだけで、これからの未来を想い胸が弾む。 誰にも邪魔させない。
2013-10-13 02:11:24