悪い男に騙される山城【最終章其ノ一『墜』】
最上さんに手を貸してもらい、甲鈑に上がる。向こうでは、羽黒さんに引き上げられている榛名の姿が見えた。 金剛さんがどこから出したのか四つ足のテーブルにクロスを掛け始めている。
2013-10-10 21:58:45先程の戦闘でも見ていない程に強大な爆発が姉様を一瞬で覆い包みその姿を見えなくする走り寄っていた榛名が一番に吹き飛び炎を纏いながら海上に放り出される立っていた最上さんと金剛さんが次いで甲鈑を囲む手すりに叩き付けられた床に倒れていた羽黒さんも紅茶セットの破片と一緒に転がっていく
2013-10-10 22:15:18羽黒さんの叫びも次いで何度も起きる爆発に飲み込まれ辛うじて聴こえた程度だった。私の首に巻かれていたタオルが爆風にどこかへ飛ばされていく。
2013-10-10 22:17:34艦は中心位置の爆発により失われた体積が大き過ぎて、自重に耐え切れず真ん中から二つに割れていく。 手の届く距離にいた羽黒さんとの間に一瞬で亀裂が入り、みるみる内に遠くなっていく。傾いていく甲鈑の上を再度転がっていく。
2013-10-10 22:21:21比較的至近距離にいてしまった金剛さんはその瞬間に意識を手放していたようだが、あまりに大き過ぎる足元から響く不吉な音に目を覚ます。まだ朦朧としているようだが、傾く船上で上手くバランスをとって周囲の状況確認に努めている。
2013-10-10 22:23:12. @harunas_ward @fd_yamasiro @AAC_MOGAMI わ、分かったヨ! こういう時私達って艤装が邪魔だネー!
2013-10-10 22:32:27水上からの榛名の声を無視して駆け出す。背中の装備を放り捨て、甲鈑の亀裂に手と足を掛けて跳ぶ。何かの破片が突き刺さったのか、額から流れる血が右目の視界を赤に染めていく。構う事なく、かつてはアンテナだった足場を伝い、いまだに小さな爆音を断続的に上げる炎の中心地点を目指す。
2013-10-10 22:28:52飛んで来た大きな破片に押し潰され、榛名が水中に沈む。真っ赤に熱されながらも形を留めている艦船の骨組みを素手で掴み、黒い煙で塞がる視界の中を必死に探す。艦の断裂は加速していき、つい今までぶら下がる事のできた鉄骨が壁になり、バランスを崩して咄嗟に立てた私の右肘を一瞬で焦がす。
2013-10-10 22:34:49意識を失ったままの最上さんをお姫様抱きで持ち上げ、金剛さんが海に飛び込むのを煙の隙間から視認する。 二つに避けた艦体の後ろ半分が、唐突に爆発する。振動どころではない衝撃に弾かれ赤と黒の世界を転げ落ちる。何かにぶつかる度に痛みと熱さが襲ってくる。左脇腹を何かが貫通した。
2013-10-10 22:40:08