悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』二章最終日
んっ…。 視界が一瞬歪み、雑音が鼓膜を揺すった気がしたけども気のせいみたいね。流石に疲れているのかしら。 構わずに、連装砲の点検と確認の作業に戻る。 今のところおかしな点は見当たらない。 工廠に勤める作業員の方々が奇異な目で私をちらちら見ている。 気にしない。
2013-11-30 18:19:49奴は昨晩に山城を殺すと言っていた。新しい武器に爆弾を仕込んで。 早起きして工廠に来てみれば、確かに扶桑さんと山城の分の新兵器が完成していた。 冗談だと奴は言っていたけども、信じれるわけもない。 なのでこうして山城の分を点検していたりする。
2013-11-30 18:47:59うーん。流石に爆弾を積むとかするわけがないか…。実際のやるつもりならば、私にわざわざ教えたりするわけもない。 大丈夫ね、うん。
2013-11-30 18:54:38立ち上がり、膝の埃を払っていると最上さんがてくてくと歩み寄ってくる。武装こそしていないものの、いつもの服装にいつもの髪型。それにいつも通りの顔で心なしか気持ちが軽くなる。 おはようございます。今日は随分早いんですね、珍しい。雨が降るからやめて下さいよ。
2013-11-30 19:02:10肩を回す。次に首を回してから両手を組んで真上に伸ばす。 んんっ…。 懸念していた筋肉痛は朝起きたら全快していた。身体が凄く軽く感じる。これなら足を引っ張る事も無いと思う。今日は戦艦が4人も集まる一大作戦だから気は抜けないけども。
2013-11-30 19:06:51少なくともサラシは必要無いですよね。大変なんですよ、これ。 最近じゃ霧に手伝ってもらわないとうまく巻けないんですから。
2013-11-30 19:27:50あらあら、事実を言っただけなのに怒るだなんて、本当に最上さんは短気な人なんですねっ。 削ぎ落とせるものならやってみて下さいよ! その大根おろしみたいな胸でやられたら一発でしょうね!
2013-11-30 19:39:24怒った最上さんに両頬をつねられながら、負けじと右足の脛をがしがしと蹴りまくる。 ああ、どうしていつもこうなるんだろう。 げしっ、げしっ、げしっ。
2013-11-30 19:42:34唐突に頭頂部を叩かれて、私と最上さんが一緒になって頭を押さえてしゃがみ込む。涙目で見上げると、扶桑さんがにこにこと見下ろしていた。 手刀の形になった右手からは白い煙が上がっている。
2013-11-30 19:49:50何事も無かったかのように右手を下ろし、何事も無かったかのように挨拶してくる。 いったぁこれ。割れてないかしらこれ大丈夫? 痛みにくらくらしながらも立ち上がり、挨拶を返す。 お、おはようございます扶桑さん…。
2013-11-30 19:51:31@harunas_ward おはよう山城。それに最上さんもおはようございます。 どうしたの、こんな所で? 榛名達も新しい武器を配給されたの?
2013-11-30 19:08:56扶桑さんの後ろにいた山城が小さく手を振りながら微笑む。 今のを見ていながら心配をしてこない辺り、もしかしたら山城は既に『鬼』になってしまっているのかもしれない。 ん。おはよう山城。 んーん。山城に新しい武器とかもったいないからマジックで落書きしに来たの。
2013-11-30 19:54:55@harunas_ward 私に使いこなせるかしら…。どうして今日私が呼ばれたのかいまだにわからないわ…。扶桑姉様と金剛さんに榛名が一緒だなんて、足手まとい確定じゃない。はぁ…不幸だわ。
2013-11-30 19:10:32私の冗談も、しゃがんだまま動けないでいる最上さんもスルーして山城がさめざめと凹み出す。横を見れば扶桑さんも鼻歌でも歌い出しそうな上機嫌振りで、真新しい金属の塊を眺めている。なんだこの姉妹。 金剛姉さんはティーセットを磨いていたけどね。武器の手入れはろくにしないくせに…。
2013-11-30 19:59:58あちこちに散らばる機材や工具の隙間を縫って羽黒さんが現れる。 あ、そこあぶな…。 声を掛けるのが間に合わずに、太い配線コードに足をとられて羽黒さんが顔から床へと倒れ込む。 思わず目を背けたくなるくらいに見事な倒れ方だった。手を貸しに駆け寄る。 大丈夫?
2013-11-30 20:05:01