グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド #8

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】#8

2013-10-23 22:09:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いかにしてこの神殿を知り得たか、訊いておきましょうか」ファフニールの身体の輪郭が陽炎じみて揺らぐ。可視化されるほどに充実したカラテだ。ニンジャスレイヤーとファフニール、向かい合う両者の攻め手がぶつかり合えば、ものの数秒で決着がつくやもしれぬ。危うい綱渡りじみた膠着が始まった。1

2013-10-23 22:20:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「状況判断」ニンジャスレイヤーは言った。「そして捜査だ。探偵を排除し、以て秘密が守られたと考えたか?驕りだ。驕りがオヌシの判断を曇らせた」「フーム」ファフニールの目が細まった。ニンジャスレイヤーは右へ摺り足一歩。ファフニールも左へ摺り足一歩。間合いを保つ。「驕りと来ましたか」2

2013-10-23 22:27:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ミニットマンというニンジャがかつて居た」ニンジャスレイヤーは唐突に言った。「かつて私が殺し損ねたニンジャだ。日を改めず、再度その者と戦い、そして殺した。己のウカツだ」「何を言っているのかね?」「私はその後、その者を遡った。戦闘現場をあたり、出自を暴き、全てを調べあげた」 3

2013-10-23 22:32:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何を、言っているのかね?」ファフニールは繰り返した。アンブッシュを警戒する。無意味な会話で注意を逸らし、致命的攻撃を繰り出す……ダマシ・ニンジャクラン等が好む戦術だ。だがニンジャスレイヤーは続けた。「その者が用いたのは奇妙なジツであった。その名をシニフリ。マッタキな死を装う」4

2013-10-23 22:40:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

じり……ファフニールは右へ二歩。ニンジャスレイヤーも左へ二歩。「オヌシは驕り、見誤ったようだな。当時の未熟な私と同様に」「話が見えませんな」「オヌシが苦労して埋めたカンオケはもぬけの殻だ」「……」ファフニールの眉が動いた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのサイドキックが襲う!5

2013-10-23 22:44:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ファフニールは上体を逸らしてこれを躱し、回転しながら後ろ足のまわし蹴りを繰り出す。メイアルーア・ジ・コンパッソだ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは地面すれすれで身を屈めてこれを躱し、強烈な水面蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」ファフニールはバック転回避! 6

2013-10-23 22:45:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

着地した二者は再びカラテ姿勢で睨み合う!ニンジャスレイヤーは瞬時に自身の懐へ手を挿し入れ、懐中時計じみた鎖付きホーリーシンボルを取り出した。「見覚えがあるな?」「貴方が先日の部屋荒らしだと?それが何なのです?面白くもない話です」「データ端末だ。オヌシには解らなかったようだが」7

2013-10-23 22:50:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「成る程そうでしたか」ファフニールは言った。「詳しい者に調べさせるつもりでいましたが、手間が省けましたな」「探偵はオヌシと直接対決するまでに、既によく調べあげていた。地下空間の存在自体には、その時点では至りきっていなかったが」……「その時点」と耳にしたファフニールが目を細めた。8

2013-10-23 22:57:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「推理を継続するにあたり、このデータ端末は非常に重要だった。彼は更なる情報を求め、そしてこの品を求め、校内を徘徊した。手負いの彼は、時に学園内の者に見咎められ、騒ぎを引き起こす」「……」「彼の推理は何の為か。オヌシと再戦し倒す為だ。不自然な敗因を探り、カラクリを破り、勝つ為だ」9

2013-10-23 23:06:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ファフニールがノー・モーションでスリケンを投擲した。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは額の前で指先に挟み取り、コインのように容易く捻じ曲げた。「マガツ・ニンジャよ。霊木の根本に憩うつまらぬ長虫よ。奴は奴なりにオヌシの弱点を探しておったわけだ。儂には自明だが」10

2013-10-23 23:11:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ファフニールが踏み込み、ニンジャスレイヤーの顔面に拳を繰り出す。ニンジャスレイヤーはギリギリでその手首を掴んで止める。ファフニールは握った拳の人差し指と中指を立て、眉間を狙う。ニンジャスレイヤーは頭を後ろへ逸らしてこれを躱す。そしてイポン背負い!「イヤーッ!」11

2013-10-23 23:16:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ファフニールはエンシェント・ウケミでダメージを周囲に逃がす。地面に半径10フィートのクレーターが生まれ、石くれが舞った。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはカワラ割りを振り下ろし、顔面を砕きに行く。ファフニールは転がって回避、スリケンを連続投擲!「イヤーッ!」12

2013-10-23 23:19:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの顔の前で火花が弾ける。飛来するスリケンをチョップで叩き落としたのだ。「イヤーッ!」繰り出すケリ・キックをファフニールはバックフリップで回避、二者は再び近接間合いに向かい合った!「手下のコソつきは……」ファフニールが問うた。「どこだ!」 13

2013-10-23 23:25:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがスリケンを投擲!「イヤーッ!」ファフニールはブリッジでこれを回避!避けながら真横へスリケン投擲!「グワーッ!」ナムサン!木の根のあわいを這いまわっていた一匹の蛇が、背中にスリケンを受け、身悶えしながら地面に落下!「クズめ!油断ならぬ事だ!」14

2013-10-23 23:28:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの低空ジャンプパンチが襲う!ファフニールは横へ躱し、鞭のようなミドルキックを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは横へ吹き飛び、蛇と化したフィルギアとは逆側の壁に叩きつけられる!「弱敵!」ファフニールの目が燃える! 15

2013-10-23 23:31:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「性根が出てきたな。面白い」ニンジャスレイヤーは素早く起き上がり、前傾姿勢のカラテを構えた。「紳士面も一皮剥けば犬畜生と変わらぬ有り様よ」「さて」ファフニールは笑った。「貴方がたの私への対処とは、まさかそこのケチなヘンゲヨーカイを用いて、樹の秘密を探ろうという事ですかな?」16

2013-10-23 23:37:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはファフニール越しに、奥のフィルギア蛇を見やる。あの飄々たるニンジャが攻撃を受けたのを見たのは彼にとって初めてだ。稲妻にも比すべき速度のスリケン投擲であった。実際侮り難きファフニールのニンジャ反射神経!蛇は動かない。じきに復帰するか?あるいは手立てが要るか。17

2013-10-23 23:41:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ファフニールは背後のフィルギアにスリケン再投擲でカイシャクを試みようとした。その手首にフックロープが巻きつき、投擲を阻止した。ロープ表面を赤黒の炎が伝う!「ヌウーッ!」「オヌシの相手は儂だ。ファフニール=サン」綱引きじみた力比べが始まる!引き寄せられた側が死ぬ!18

2013-10-23 23:48:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……あの探偵と何らかの繋がりがあることは承知しました。あの探偵はピイピイ泣いてブザマに命乞いをしておりましたよ」「そのブザマな探偵に出し抜かれ、こうして取って置きの茶の間を荒らされたとあっては、オヌシの無念も察するに余りある事よ」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて切り返した。19

2013-10-23 23:55:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「奴はその後、学園史の遡及と事務UNIXアクセスによって更なる情報を集めた。学園の定礎の秘密をな。それら情報を組み合わせ、推理し、この地への入り口を見出した。臆病で用心深き長虫め。礼拝堂より直通路でも設けておれば、儂等の労苦も減じられたものを」「……」「オヌシの目的は何だ」20

2013-10-24 00:03:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フククク……」ファフニールは咳き込むように嘲笑う。二者の背中の筋肉は装束越しに縄めいて盛り上がり、この力比べが容易ならざる応酬である事を示す。言葉の投げ合いもまたカラテだ。精神を揺るがせば、それが肉体の集中を削ぎ、敗北に至らしめる。「それこそ自明!神聖なるドージョーだ!」 21

2013-10-24 00:09:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドージョーだと?」「他に何の為すべき事があります?楽しきアソビです。創立以来、実に多くの娘等が巣立ってゆきました。私は彼女らに……ちょっとしたインストラクションをくれてやった。互いに断じあい、友を蹴落とす。私が作ったタノシイ枠組みだ!彼女らはそれを自主的に継承し続けた」22

2013-10-24 00:20:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

玄室の入り口ではUNIXモニタが光を放ち、まさにその光景を映し出している。ニンジャ頭巾を被った生徒達が、拘束した少女を取り囲み、吊し上げを行っているのだ。「哀れなモータル……己の手でこさえた堕落の爪痕は決して消えない。無意味でつまらぬミーミーが、社会に伝播する。素晴らしい」23

2013-10-24 00:28:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんと……くだらぬ……!」「然り!くだらないアソビです。イクサとイサオシの世界も遥か昔。今や、私ごとき死にぞこないの老いぼれの楽しみなど、この程度。フククク……善良なニンジャが日々の暮らしを何とか送っておるのです。実にモデストな営みを。私に牙剥くなど、お門違いにも程がある」24

2013-10-24 00:34:07
1 ・・ 5 次へ