言論の自由と金銭の関わり合いについて

おとといまとめた「資本主義では自由な言論は存在できない」http://togetter.com/li/581473 に関連し、言論の自由と金銭との関わりがわからないという意見が散見されたので、改めてまとめてみました。 今回自分はコメント欄に何も書かないので、ご自由に感想等お書きください。
2
ポン介 @ume_pon

おとといの http://t.co/82TrFAEszH で「言論の自由と金銭がどうして関わるんだ?日本で自由に発言したければいくらだって出来るだろ」という感想が散見される。文中でもちゃんと言及したんだが、そんなにこの関連性がわかりづらく理解されづらいものとは思いもしなかった。

2013-10-27 11:06:46
ポン介 @ume_pon

→今の社会では、人は、お金を得ないと生きていくことは出来ない。自給自足だって固定資産税払わないとダメでしょ(誰かが土地を無償で貸してくれ、固定資産税を肩代わりしてくれれば可能かもしれないけど……)。この大前提をまず抑えておく。

2013-10-27 11:06:53
ポン介 @ume_pon

→世の中には、言論がお金を得ることと直結してる人が多数いる。マスコミ関係者、プロのライター、小説家など。彼らは言論そのものからお金を得ることが出来、言論だけで飯が食えるので、そこに自らのリソースをすべて割くことが出来る。

2013-10-27 11:07:01
ポン介 @ume_pon

→逆に言論だけでは飯が食えない人は、それ以外の手段で金を得るために自らのリソースを割く必要が有る。副業と言ってもいいけど、そちらが忙しくなる分だけ、言論に割けるリソースは減っていく。量も質も減っていく。

2013-10-27 11:07:10
ポン介 @ume_pon

→金を得るというのは原則として、金を支払う側の要求に応えることによって可能になる(例外は生活保護などの福祉かな。他にもあるかもしれないけど)。言論で金を十分に得られている人は、金を支払う側の要求に十分に応えられてると言える。

2013-10-27 11:07:18
ポン介 @ume_pon

→逆に言論で金を得られない人は、支払う側の要求に十分に応えられていないと言える。だがここで問題となるのは、支払う側の支払能力がどれだけあるか。十分に満足したくさん支払いたくても、支払能力がなければ適切な支払いができない事態になる。

2013-10-27 11:07:24
ポン介 @ume_pon

→これのもっともわかりやすい例がある。企業の顧問弁護士は多額の報酬を得て、裁判で勝てば億単位の報酬を得ることだってある。だが人権派弁護士は、生活費にも困る貧乏生活を送っていたりする。人権を守ってほしいという訴えを起こす貧乏人は、成果に対し多額の報酬を支払うことが困難だからだ。

2013-10-27 11:07:31
ポン介 @ume_pon

→大企業の権利を擁護すれば多額の報酬を得られ、貧しい人の権利を擁護してもあまりお金は得られない。権利を擁護するという弁護行為自体に変わりはないのに。結果「豊かになりたい」と素直に思う弁護士は、企業の顧問弁護士をしたほうがいいという話になってしまう。

2013-10-27 11:07:38
ポン介 @ume_pon

→人権派弁護士をするのは相当の使命感とか、覚悟がないとやってられない。企業に雇われるほど能力がないからなんて人もなるかもしれないけど、能力がないなら成果は出ないよね、残念ながら。それは金を支払う側の要求に応えられてないから、話にならない。

2013-10-27 11:07:43
ポン介 @ume_pon

→こういう問題は訴訟大国アメリカでももちろん顕著だし、日本だって同じ。優秀な弁護士は企業に群がり、残念ながら能力のない人が仕方なく人権派弁護士になるなら、後者が負けやすいのは当然になる。使命感でがんばってくれてる優秀な方には頭がさがるが、大変だよなあ。

2013-10-27 11:07:49
ポン介 @ume_pon

→どちらにつくかは弁護士の自由。その自由は保証されている。だけど、収入という現実から、企業側を選んでしまう。人間だもの。誰だって同じ程度の労力をかけるなら、豊かな生活ができるほうを選ぶよね。同じ構造が言論の自由にだってある。

2013-10-27 11:07:56
ポン介 @ume_pon

→言論の自由は確かにある。大金をくれる側に立った言論をする自由も、逆側に立った言論をする自由も。自由は確かにあるんだよ。だけどここでも、弁護士同様に生計という壁が立ちはだかる。同程度の労力でより大金がもらえるのは、明らかに企業側に立つことだから。

2013-10-27 11:08:03
ポン介 @ume_pon

→これは学者も同じ。企業に多額の研究費を支援してもらえる研究はとてもやりやすい。だけどそうでないもの、つまり、企業にとって金を支払う価値がないとみなされる研究は金が集まらないので、難しくなる。研究の自由はあったって、金が無いなら研究ができない。

2013-10-27 11:08:11
ポン介 @ume_pon

→ノーベル賞を取った山中教授が基礎研究の大事さを説いたが、基礎研究には金が集まらない苦しさも同時に語っていた。マラソンまでやって研究費用を得ようとしたんだよね。そんな時間があれば研究に専念してもらうほうが本当はいいはずなのに。

2013-10-27 11:08:20
ポン介 @ume_pon

→言論、弁護士、研究、どれもこれも、金を支払う側の要求に応えられればお金を得られるが、そうでなければ得られない。弱者に沿う言論も人権派弁護士も基礎研究も、大金を持ってる人間に気に入られないから、金が得られない。

2013-10-27 11:08:30
ポン介 @ume_pon

→その結果、ともかく金を持ってる人に媚びるような仕組みになってしまった。有能な人も金になびく。資本主義においては金こそが正義であり力だから。金が無いと何も出来ないからね。

2013-10-27 11:08:39
ポン介 @ume_pon

→人間の本来的な欲として豊かになりたいというのがあるなら、それが容易な方になびいてしまうのは仕方がない。富裕層と貧困層、どちらに近づくほうが容易に金持ちになりやすいかと考えた場合、優秀な人が富裕層になびくのも、残念ながら当たり前。

2013-10-27 11:08:46
ポン介 @ume_pon

自由は確かにある。だがその行使には、金が必要というのが資本主義の社会。金がなければ言論の「結果」も裁判の「結果」も研究の「結果」も、いいものを作るのは難しい。使命感でやり遂げるにしたって限界がある。金がある方が有利になるのも仕組み上当然。

2013-10-27 11:08:53
ポン介 @ume_pon

→それを脇に置いて「(言論の)自由の行使と金銭を得ることがなんで関係してるんだよ」と言ってしまうのは、こういう仕組みをまったく理解できていないということでしかない。ちゃんとした収入を得られることが質のいいものを作る、それが著作権の考え方だよね?

2013-10-27 11:09:02

著作権の考え方の「一つ」だよね、としておくほうが、より正確でした。

ポン介 @ume_pon

→以上、言論の自由と金銭を得られることはどう関わってるかという話を改めてしてみた。自由があるのと、それをちゃんとした形で質・量共に行使できるようにするのは、同じようで遠い話なんだよ。適切な行使には金が必要なのよね、悲しいかな。

2013-10-27 11:09:18
リンク morikoshisoshiro.seesaa.net 弁護士報酬に3.5億円 神奈川県の企業税訴訟: 札幌弁護士会所属 弁護士森越壮史郎のブログ 弁護士報酬に3.5億円 神奈川県の企業税訴訟,日々の気になったニュース、役に立つニュースを、コメントつきで投稿しています。

「企業側に立った弁護士は多額の報酬を得られる」の例。このケースは「大企業vs地方自治体」という金を使える立場同士の戦いだったわけだけど、文中でも指摘されているように、相手企業に雇われた一流弁護士が、地方自治体に雇われた弁護士と同程度かそれ以上の報酬を得ているのは想像に難くない。
これが「大企業vs労働者」では、どうか? 労働者側が何億も用意できるか? 金がほしい弁護士であれば、どちらに立つか? そういう問題なんだよね。