茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1095回【感性を、（ガン）無視してるよね】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１０９５回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、さっきホテルのレストランでごはん食べながら考えていたこと。

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かむ（１）さっき、ＪＲホテルクレメント高松のレストランで朝ごはんを食べていた。朝日新聞が置いてあったので、読んだ。一面トップが、日展の問題だった。今度は洋画などが、審査員による「事前指導」をやっていたというニュース。最後に、「公益団体としてどうか」みたいなことが書いてある。

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かむ（２）その一方で、リーガロイヤルホテルが、食材の不正確な表示をしていたことを把握しながら、そのことを公表していなかったというニュース（こっちについては、私がどうでもいいと思っていることは、すでに何回か書いている通り）。うどんをすすりながら、流し読みした。

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かむ（３）ホットコーヒーのコーナーに人が並んでいたので、面倒くせえ、と思って、ＪＲ高松駅まで行って、ミスタードーナツでコーヒー買った。ついでに、フレンチクルーラーも買っちまった。それで、ホテルに戻ってくる時に、「あっ、そうか、だからオレは世間とずれているんだ」と気づいた。

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かむ（４）東京芸大で教えている頃から、東京都美術館（トビカン）の裏手の公募展の「入賞者名簿」を指しながら、「おい、みろよ、これ、バカみたいだな」と言っていた私だが、その趣旨は、「こんなの芸術じゃねえだろう」という、（私から見れば）実質的な判断においてであった。

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かむ（５）日展などの公募展のあり方を、私が一貫して批判していたのは、そこに「芸術」がない（つまり、批評性であるとか、現状に対する異議申し立てだとか、あるいは全体を貫くキュレーションの思想だとかがない）という、「実質」においてだったのだが、朝日新聞を読んでいるとどうもそうではない。

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かむ（６）朝日新聞が、日展で問題だとしているのは、一貫して「手続き」の問題である。審査員が、自分の会派の作品を途中で指導しているのはおかしいとか、そのような団体が、公益団体としてさまざまな特典を受け、税金でつくられた国立新美術館という貸しギャラリーを使うのはけしからん、という理屈

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かむ（７）なるほどな、と思う。ある作品がすぐれているかどうかは、感性の問題である。たとえば、スプツニ子とか、チンポムとかの作品は、見た瞬間にプレイリードッグくんが「しゅりんくっ！」と立ち上がっていると、私は思う。で、芸術って、そういうものを生み出す悪あがきじゃなかったっけ？

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かむ（８）公募展を何回かのぞいたことがあるが、「終わっている」と思うのは、そこに並んでいる実際の作品を見ての感想であって、決して、審査の形式ではない。審査員が事前に指導するのは問題だろうけど、極論、それでスゲーいい作品ができるならば、それでいい、という立場があってもいい。

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かむ（９）食材「偽装」に関するマスコミ報道もそうだが、一貫して、彼らは「手続き」とか「形式」を議論している。ぼくはそっちに興味がないし、人類史だってそうだと思う。感性という、大切なものに基づいて報道するのは客観性に欠ける、と日本のマスコミは思っている。だから、芸術と無関係。

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以上、連続ツイート第１０９５回「感性を、（ガン）無視してるよね」でした。