アニメ監督・錦織博氏の平準化された制作フローから3DCGを取り入れた多様な制作フローへ
アニメーション演出者。アニメの監督をしています。TV「あずまんが大王」「天保異聞 妖奇士」「とある魔術の禁書目録」映画「マジック・ツリーハウス」など。「トリニティセブン」「デリコズ・ナーサリー」「劇場版アイドリッシュセブンLIVE4bit BEYOND THE PERiOD」
たくさんの監督が同時に作品を作るアニメ業界では、平準化されたシステムや方法論があることは、これまではプラスに働いてきた。制作各社がほぼ同じ作り方や考え方をする中で、センスや技量、管理力を競い合うことが全体の底上げにもなった。
2014-01-31 13:57:41近年はフル3D、セルルック3D、2Dと3Dの混合など方法論の選択肢が増え、表面的には作品の多様化に向かっているように見える。しかし、方法が変わるということは制作のフローや考え方を作品ごとに変える必要があり、これは現在の平準化された業界フローのメリットに反する。
2014-01-31 14:06:26このところ制作されている3DCGベースのアニメ作品は、3DCG業務をメインとする会社がTVアニメの業界に進出してきた形である。これまで、制作費や制作日数などの理由で参入出来なかったところが、各社の努力と機材の進歩により同じ土俵で闘う算段が見えてきたため、ここへきて大きく駒を進めた
2014-01-31 14:17:01手描きベースで制作してきたアニメスタジオも、人材の不足やクオリティへの要求に対応するため、それぞれ3DCGを取り入れる試みを続けてきた。作品の一部や限定されたパートでCGは使われてきたが、近年は作品内でのカット数、表現レベルともに要求が急激に上がり、作品間で競い合うようになった。
2014-01-31 14:27:53手描きと3DCGのハイブリッドな方法論や手描きから3Dへの置き換えなど様々な方法が試され、可能性も含めて多様な作品作りが出来るようになった。それ自体は素晴らしいことだが、監督やクリエイター単位でそれぞれ違った方法論や制作フローを持ち込むことは現在のアニメスタジオでは難しい。
2014-01-31 14:34:52これまでアニメスタジオが様々な監督やクリエイターの作品作りを同時に進めてこられたのは、あくまで平準化されたシステムやフローによるものであり、これが業界にとって最大の利点でもあり、弱点にもなってきているのだ。
2014-01-31 14:39:163DCGをメインとしてきた会社は、 当然ながらそれに特化した制作フローを持っている。社内で制作を完結出来れば、見かけがセルルックであろうと独自の方法論で作ることが出来る。一方、手描きベースのアニメスタジオは独自で完結していることは稀で、数多くの個人やスタジオの協力が欠かせない。
2014-01-31 14:46:26原理的には作品の数だけ方法論やルックがあるはずなのだが、制作フローを作品ごとに簡単に切り替えられないために、現実には方法や物量は限定されてしまうことになる。今後、監督やクリエイターのビジョンの実現の為にはこの問題への対応が必要となるだろう。
2014-01-31 15:00:293DCGで出来る表現や特性は手描きとは全く異なっていて、単に置き換えるという考え方には限界がある。クリエイターが安易に手描きと3DCGを混在させることは、作品のルックに傷をつけることにもなるし、何より制作フローに問題を生じさせることになるだろう。
2014-01-31 15:10:49手描きアニメが3DCGを取り入れ、フル3DCGアニメが手描きルックを目指す。進化の過程において、こうした試行は繰り返されていくべきだが、より制作スタッフの個人化、プロジェクト化が進むことと重なって、これまで以上に作り手の自覚が問われてくることとなるだろう。
2014-01-31 15:33:55つぶやきに対する反応
@nishiki_hiroshi たしかに作品にあったルックって凄く大事だと思うけど、TVシリーズだと準備期間が短すぎるコトが多いですね。そうなると冒険する時間がないんで、いつものスタイルになってしまう。頭の痛い所ですw。
2014-01-31 15:05:03@nishiki_hiroshi 3DCGでいうと、会社の努力と機材の進歩よりも何よりも、3DCG由来のアニメーターが個々で頭角を現してきたところが現在のアニメの状況を面白くしていると感じます。これから先がとても楽しみです。
2014-01-31 19:38:13@virtualboys CGアニメーターの皆さんの技術と情熱は本当に素晴らしいです。僕自身の課題として、より彼らの腕を活かせる作品を作りたいと思っています。宜しくお願い致します。
2014-01-31 21:30:40