「ティアーズ・オファード・トゥ・ザ・ソウル・オブ・クロム」(無修正版)後編 ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説

サイバーパンクニンジャ活劇『ニンジャスレイヤー』(@NJSLYR )の二次創作小説、前編です。 ・前編(http://togetter.com/li/624931 ) ・後編(このまとめ)
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うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

(ここまでのあらすじ)(キョート・アンダーガイオンに住む青年マコ。彼は所属するアナキスト集団のテッポ・ダマにされてしまう。煩悶する彼の心に甦るのは、非合法商業施設で奴隷のように扱われた過去と、そこで出会った宿命の少年・フジオとの、アンタイセイの記憶だった……)

2014-02-10 22:48:25
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

●ナンカスゴーイ!ダニンダヨー!ニンジャスレイヤーの永遠のライバル、スーパークールなあいつがヘッズの情熱でスパーク!プリズムする!きらめくかっこよさ!『FJOLOGY』(http://t.co/r5Ol8TSAAv )を読んだら?nau。●

2014-02-10 22:50:09
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

●みんなコマーシャルは見ましたか?●

2014-02-10 22:52:23
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

●まもなく本編がはじまります●

2014-02-10 22:54:11

うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ティアーズ・オファード・トゥ・ザ・ソウル・オブ・クロム」(後編)

2014-02-10 22:56:15
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「見せてやる」フジオの声とともに、マコの手が引かれた。重い鋼鉄の扉を、フジオは片手で引き開けると、タングステンボンボリの照らす廊下にマコをひきずり出した。そして、着ていたボロ布を脱ぎ捨て、背を向けた。薄い胸に翻る金属のアミュレットに目を奪われたマコは、次の瞬間目を見開いた。 57

2014-02-10 22:58:10
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

マコが見たものは……痩せたフジオの背中、美しいカタナめいたその背中に、ザイゴの包丁のそれに似た、ルーンカンジが浮かび上がっていた。「お前、ヤクザか」「違う」フジオは背を向けたまま答えた。「ヤクザタトゥーじゃない。これはカンジだ。僕の……僕の一族に受け継がれたノロイだ」 58

2014-02-10 23:00:04
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ノロイ?」マコはその言葉の禍々しさに身を震わせた。「……お前」「僕の一族にはみな、このカンジが受け継がれている。どこにいっても、なにをしても、僕たちはこのノロイから逃れられない。僕のお父さんも、お母さんも、ノロイのせいで……僕を……!」 59

2014-02-10 23:02:30
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「フジオ」マコは呆然と裸の背中を見つめていた。そこになんと書いてあるのか、無学なマコにはわからない。しかし、フジオが両親にどのような扱いを受けたのか、それは想像できた。「ハガネ……」フジオがつぶやいた。「鋼……クロム……そういう意味なのか」マコは思わず聞き返していた。 60

2014-02-10 23:04:14
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「ハガネ……」しかしフジオは答えない。「巣穴」の戸口に向かって、一人呟き続ける。「ハガネのノロイがある限り……僕はどこに行っても同じなんだ。幼稚園にいたって、カブキチョにいたって、どこにいたって、僕はずっと……ずっと……逃げられない」その肩が震えた。 61

2014-02-10 23:06:22
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「フジオ」マコは思わず、その背中を抱きしめていた。震える肩が、マコの腕の中でびくりと跳ねた。「僕に触るな!」フジオが叫んだ。「汚い!汚い!」恐慌に陥ったバイオネズミめいて暴れるフジオを、マコは自分でも驚くほどの強さで抱きしめた。 62

2014-02-10 23:08:12
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「いやだ……こんなのは……いやだ……」フジオが嗚咽した。温かいものが、マコの腕に滴った。「お父さん……どうして……僕は……」フジオは泣きながら、意味の分からない言葉を繰り返した。「ブッダも……誰も……僕のことを……」 63

2014-02-10 23:10:52
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「フジオ」マコはフジオの耳元に囁いた。同時に、温かいものが、マコの頬を流れた。「なんで……」フジオが尋ねた。「なんで、君が」「お前のためだ」マコは答えた。「今日から、お前の代わりに、俺が泣く」マコは自分の涙に驚きながら、言った。 64

2014-02-10 23:12:19
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「マコ……?」「お前は誰より頭がいいし、誰より強い。俺たちの中で一番だ。そんなお前が泣くのはおかしいよ。強い奴は泣かないんだ」「でも……」「でもとか言うなよ。オーイシが、ドヒコが、お前みたいに頭いいか?ロボだって俺にも勝てなかった。その俺に、お前はさっき、勝ったんだぜ」 65

2014-02-10 23:14:21
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「……」「メメの姉ちゃんを見ただろ。ユリ=サンだ。ユリ=サンと同じくらい、お前はキレイだ。強くて、頭よくて、キレイで、そんなお前が泣いてるのはおかしいんだ。俺は頭はよくないが、それはわかる。お前はこんなところで泣いてていい人間じゃない」「マコ……」「だから……」 66

2014-02-10 23:16:14
うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

マコはそこで深く息を吸い込んだ。忌々しい石鹸の臭気を越えて、名状しがたい香りがマコの鼻孔に流れ込んだ。それを、マコは、フジオの魂の香りだと思った。「お前は泣くな。俺が、お前の代わりに、泣いてやる」 67

2014-02-10 23:18:18
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