ウクライナ暫定政府の首相と大統領がユダヤ人？ ― いかにして「ユダヤ人」は捏造されるか

直立演人 @royterek

ウクライナのウマニという町でフィールド・ワークをしてた時、あるウクライナ人一家にお世話になったのだが、みんな音楽家という珍しい一家だった。主のジョルジュは眼鏡をかけたインテリ然とした風貌だったので、よくユダヤ人に間違われるらしく、近所のガキに「ユダ公」呼ばわりされたと愚痴ってた。

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キエフのユダヤ人の友人から、ヤツェニューク元首相はやはりユダヤ人じゃないという有力情報が届く。「ウクライナ暫定政府の首相と大統領がユダヤ人？ ― いかにして「ユダヤ人」は捏造されるか」 - Togetterまとめ togetter.com/li/639636

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というか、ウクライナでは政治家が「ユダヤ人」だということになれば票に影響するが、極右だけがそうした詐術を使うわけでもないらしい（ユダヤ系のオリガルヒが一枚かんでいたという説すらある）。また、youtubeでヤツェニュークの「ラビ」の家系について神妙に語ったユダヤ人もいたそうなw。

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ヤツェニューク＝ユダヤ人説は、選挙の度に、ウクライナの極右勢力がネガキャンで使ってきた常套手段だが、ヤツェニュークの容姿や振る舞いが「ユダヤ的」だという評判（好意的なのも含めて）がウクライナ社会にあまりにも根づいてしまっているので、彼はほとんど「ユダヤ人」になってしまっていた。

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友人が送ってくれた「ソース」によれば、ヤツェニュークが卒業した学校は、出身地のチェルニウツィ（かつてはユダヤ系住民がたくさん居住していたが今はごくわずか）に唯一できた英語を専門に教える学校だったという。

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そして、ソ連当局は、出国を望むユダヤ人の両親が子どもをその学校に通わせないようにするために、その学校の教授言語をロシア語ではなくウクライナ語に指定した（ウクライナのユダヤ人の大半の母語はウクライナ語ではなくロシア語だった）。

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しかし、チェルニウツィのユダヤ人の親たちは当局のそんな「あどけない意図」をすぐ見透かして、その英語を教える学校に子どもを通わせるようになり、すぐにロシア語学校と同じ程度の割合になったという。

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ヤツェニュークの両親は、シェフチェンコやグルシェフスキーらと同様、典型的なウクライナ知識人の出だったが、チェルニウツィの中庭のユダヤ的エナジーが彼らの息子に反映しないではいられなかった。で、実際、外見、立ち居振る舞い、ジェスチャー、イントネーションにまでそれが反映されたのだ。云々

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「かつてチェルノヴィッツ出身のある芸術家が言った：『ヤツェニュークがこの国で大統領になることは決してないだろう。ユダヤ人に似すぎてるから…』。ウクライナ人政治家の「ユダヤ」出自に関する噂の捏造者達もそう考え、実際に功を奏した。だが今や状況は変わった。そんな詐術はもはや通用しまい」

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ちなみに、この話の「ソース」といっても、チェルニウツィ出身のユダヤ系と思しきある人物のソースなきＦＢの投稿に過ぎないのだが、出身地の人間なだけに面白い逸話である。ていうか、限りなくユダヤのフォークロアのようにも感じられるが、その種の話のご多分に漏れず、なかなかのリアリティがある。

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ヤツェニュークと共に暫定政権の大統領代行になったトゥルチノフも、ヤツェニュークほどではないにしても「ユダヤ人」説が囁かれていたが、彼はウクライナでは珍しくプロテスタントの家系とのこと。極右と言われるウクライナ政権だが、アルメニア系の内相やロシア系の大臣もいて「国際色」豊かである。