ヒア・カムズ・ザ・サン #6

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブガーブガーブガー……再びアラート音が鳴り、照明が明滅した。「カウントダウンを開始ドスエ」合成マイコ音声がアナウンスした。「20……」「……」シャドウドラゴンは足を止め、アナウンスに注意を払った。「19……」「……」シャドウドラゴンは歩みを再開。呻くレッドハッグを目指す。 66

2014-03-29 00:59:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「18」「畜生テメェ……」レッドハッグは床に手を突き、身を起こそうとした。彼女は顔を歪め、凄まじい苦痛に耐える。「やってくれるじゃねェか……」「17」「イヤーッ!」レッドハッグはスリケンを投げた。シャドウドラゴンは指先でスリケンを挟み取り、捻じり潰した。「16」 67

2014-03-29 01:04:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もうやれないと思うか?エエッ?」レッドハッグは立ち上がり、後ずさった。下がりながら彼女はファイティングポーズを取る。右拳にはナックルダスター。「またブザマにノされたいなら、来な。あン時みたいにさ……」「忘れたと言ったが、出任せか」シャドウドラゴンが無感情に指摘した。「15」68

2014-03-29 01:09:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このカウントダウン、何?大急ぎで飛ばすのか」レッドハッグは不敵な笑みを作ろうとした。「14」『ザリザリ……焦らないで』ナンシー・リーの声がIRCインカムから発せられる。『射出はこの際関係ない。施設を最終的に破壊すればいい……切り抜けて』「13」「ああ、それが一番キツいんだ」69

2014-03-29 01:17:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『もう少し……ああ!もう少しだから』「そりゃよかった」レッドハッグは左腕をやや下ろした。「右なら殴れるよ。やろうじゃないか。来なよ」「12」「イヤーッ!」だが、シャドウドラゴンは彼女の足元にクナイ・ダートを投げたのだ!レッドハッグはステップでこれを避けたが、狙いは影にあった。70

2014-03-29 01:23:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

レッドハッグはもはやステップを踏めなかった。彼女の影にシャドウドラゴンのクナイが刺さると、何たる面妖、その身体はギシギシと軋み、足は床を離れることを拒否した。ナムサン……これは秘密のヒサツ・ワザ、敵の動きを封じるシャドウピン・ジツである!「11」シャドウドラゴンが踏み込む! 71

2014-03-29 01:26:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」回転跳び蹴りが狙ったのはレッドハッグの頭だ!一撃でその首を刎ね飛ばそうというのだ。無慈悲な蹴りは死神の鎌めいて、レッドハッグの命を狩りにゆく!レッドハッグはジツを破ろうともがく!その時だ!「Wasshoi!」72

2014-03-29 01:29:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その瞬間、天井の円形穴から弾丸めいて飛び出し、シャドウドラゴンを上から強襲したのは、ニンジャスレイヤーであった!「グワーッ!」死角からアンブッシュを受けたシャドウドラゴンはカイシャクを遮られ、床に叩きつけられた。「10」赤黒の死神はクルクルと回転し、片膝を突いて着地した!73

2014-03-29 01:32:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて名を告げると、決断的なジュー・ジツを構えた……。「9」……「10」……「11」……「12」……「13」……「14」……「15」……。……。 74

2014-03-29 01:34:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……数分前!ニンジャスレイヤーがその脇腹にショートフックを叩き込み、振り下ろされた拳を肘打ちで返し、更に股間をコンパクトな動作で蹴り上げ、喉元にチョップ突きを叩き込んでも、コーナラーの鈍色スモトリ巨体は崩れなかった。コーナラーは後ずさり、両手を威嚇的に拡げてみせた。「虫……」75

2014-03-29 01:37:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーへ再び襲いかかろうとしたコーナラーが電気ショックを受けたように引きつけを起こしたのはこの瞬間だった。不意に内なる紫の火が掻き消え、眼窩は黒く虚ろな闇に変わった。考えるまでもない。ニンジャスレイヤーはこの瞬間を待ち続けていたのだ。炎は再び熾ったが、ずっと弱い。76

2014-03-29 01:41:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((すぐに再生する)))ナラクが告げた。(((今が機ぞ!これを逃すは恥も恥!儂を失望させるな!)))ニンジャスレイヤーは既に踏み込んでいた!「イヤーッ!」そして腰を捻る!右チョップ突きがコーナラーの右腕付け根を撃ちぬく!そして腰を捻る!左チョップ突きが左腕付け根を撃ちぬく!77

2014-03-29 01:48:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

繰り返し加え続けた打撃の蓄積は今まさに具体的成果を伴ってニンジャスレイヤーにこたえた。コーナラーの両腕付け根の金属が砕けた。紫の炎が溢れ出るが、やや遅かった。両腕がボロボロと地面に落ちた。「グワーッ!」その腹部にニンジャスレイヤーの拳がぴたりと触れていた。彼は更に踏み込んだ。78

2014-03-29 01:52:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは身体をじわりと動かし、踵から爪先へ重心を動かした。コーナラーの巨体がワイヤーで引っ張られたように吹き飛ばされた!「グワーッ!?」コーナラーは管制塔壁面に大の字に叩きつけられる。ゴウランガ!何たる巨山が大地を震わせ鳴動するが如きカラテ! 79

2014-03-29 01:55:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「虫……ケラァ、虫」もがくコーナラー!紫の炎がその体内でゴウゴウと燃えるが、もはや先程までの絶望的安定からは程遠い!「グワーッ!」喉元にスリケンが突き刺さる!「イヤーッ!」更にニンジャスレイヤーはスリケンを投擲!喉元のスリケンを、次なるスリケンが杭打ちする!「グワーッ!」80

2014-03-29 01:58:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの上体はほとんど真後ろを向いていた。その腕に、肩に、背に、装束越し、縄めいた筋肉が浮き上がる!そしてスリケンを……投げた!「イイイイヤアーッ!」ツヨイ・スリケン!赤黒の軌跡を残す致命的スリケンは喉元のスリケンをコーナラーの奥深くまで捩じ込んだ!「サヨナラ!」81

2014-03-29 02:00:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

爆発四散するコーナラーを尻目に、ニンジャスレイヤーはフックロープを振り回し投擲!管制塔3階高さの出っ張りにフックを引っ掛け、巻き上げ機構を働かせて、窓から中へ入り込んだ。『レッドハッグ=サンが交戦中だ!』サヌマのIRC通信が入り、道筋のマーカーガイドが転送された。そして……。82

2014-03-29 02:04:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

10……9……「8」シャドウドラゴンはニンジャスレイヤーとレッドハッグを見比べ、吟味するかのように首を傾げた。「7」シャドウドラゴンは一歩下がった。輪郭がじわりと揺らぎ、フスマ戸の奥へと流れ、消えた。割に合わぬイクサと見たか。カウントダウンが進んだ事に満足したか。彼は去った。83

2014-03-29 02:11:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クローンヤクザの血は酸化を始め、緑から赤へ変わりつつあった。「7」ニンジャスレイヤーはレッドハッグを見た。レッドハッグはタバコを咥えた。「疲れた。一服いいか」「吸いながら来い」二者は歩き出す。「6」『基幹UNIXの位置を転送するわ』ナンシーの通信。『終わりにしましょう』84

2014-03-29 02:16:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ヒア・カムズ・ザ・サン】#6 終わり。 #7(最終セクション) に続く

2014-03-29 02:17:20
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