スチームパワード 第1話#3(実況なし)
俺はこのまま、あのときの作業員みたいに叩き潰されて死ぬんだろうか?確かにサンダーウォーカーの腕は丸太みたいに……ええと、丸太をスチームパワードサイズにした時の丸太みたいに太い。だが、歯車の質量に耐えられるんだろうか?『耐えられる!』博士の発言記憶が脳を揺さぶった。 12
2014-04-23 19:03:00『サンダーウォーカーの腕を補強するリングは、特別鍛造された亜オリハルコン合金製だ。非常に鍛造難度が高く、使用されているのは腕だけだ。だが、絶対に歪んだり壊れることはない!』サンダーウォーカーは歯車を両腕で受けた!「AAAARGH!」噛み締めた奥歯にヒビが入った!倒れない! 13
2014-04-23 19:08:57幾つものリングが嵌められたサンダーウォーカーの腕は、この恐るべき歯車に耐えた。弾かれた歯車は右横に転がり、建物群を押し潰した。垂れ下がった受話器からノイズが聴こえる。ミシェルが何か叫んでいるのだろう。残念だが応えてやることはできない。俺は敵を見据え、ペダルを踏み込んだ。14
2014-04-23 19:15:42ズズゥーム……ズズゥーム……サンダーウォーカーは両腕をクロスしたまま、前進を開始する。敵の背中にはまだ複数枚の歯車が収納されている。博士を信用してないわけじゃないが、そう何度も歯車を受けたら、サンダーウォーカーはともかく俺がもたない。奥歯にヒビじゃ済まないだろう。15
2014-04-23 19:21:30「キキキキャーン!」敵のスチームパワード野郎が蛇腹状の首を伸ばし、威嚇的に叫んだ。ひどい声してやがる。『ホイール・オブ・サロウは、歯車状の質量兵器を射出するスチームパワード』記憶の中で黒板に設計図を描きながら、博士は説明した。『接近戦に際しては首を伸ばし、噛みつきで攻撃する』16
2014-04-23 19:29:01ズズゥーム……ズズゥーム…ズズゥーム、ズズゥーム、ズズゥーム。サンダーウォーカーは徐々に踏み込みの速度を上げる。俺が走るのは人の絶えた大通りだ。俺にだって、建物をなるべく避けるリテラシーはある。踏み潰された奴らもいるだろうが、多分、マニトゥだ。 17
2014-04-23 19:35:14「キキキキャーン!」ホイール・オブ・サロウが威嚇した。ひどい騒音だ。頭がおかしくなりそうだ。多分、スチームパワードの採音機構を通してパイロットを攻撃する仕組みなんだろう。だが、死ぬ程ではない。こけおどしだ。怯んだら思うつぼだ!「ウヌーッ!」俺はレバーを引き、右腕を振り上げた!18
2014-04-23 19:38:47ホイール・オブ・サロウの首がしなり、噛みつき攻撃が繰り出された。俺は左腕でこの噛みつきを受けた。腕の多重リングアーマーはこれにも耐えた。やるじゃないか。今や、ホイール・オブ・サロウはサンダーウォーカーの目と鼻の先だった。俺は振り上げた右拳を意識した。レバーを……前に出す! 19
2014-04-23 19:41:16質量!速度!真鍮の巨大拳が、ホイール・オブ・サロウの胸部を狙う!秘密武器とやらを思い出すことができない以上、ボクシングするしかない。サンダーウォーカーはこいつと素手でやりあえるか?『できる!』博士の発言記憶が答えた。『サンダーウォーカーのパンチならば!』KRAAAASH! 20
2014-04-23 19:47:05「キキキキャーン!」ホイール・オブ・サロウが悲鳴を上げ、左腕に噛んだ真鍮の牙が離れた。これで両腕の勢いを利用できる!思うつぼだ!俺は両腕を振って思い切り腰部を回転させ、パワーを溜めた。そして、もう一撃!右拳を叩き込んだ!KRAAAAAAAASH! 21
2014-04-23 19:51:38◇さあ!ニンジャスレイヤー殺(キルズ)がもうすぐ始まるぜ!まだまだ楽しいぜ!そして、サンダーウォーカーやホイール・オブ・サロウのイラストレーションは、#DHTLS へ!◇
2014-04-23 19:54:49←前(第1話#2) http://togetter.com/li/653266
http://togetter.com/li/663701 (第1話#4)次→
目次(全話まとめ) http://togetter.com/li/648053