sis_sisさんの『御召艦比叡に和食料理人として乗り組んでいた曽祖父の話』

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昨日は忙しくて書けなかったけど、戦艦比叡がお召し艦として使われた際に和食料理人として乗っていた曽祖父が同じような立場の洋食料理人から聞きだしたというアイスの件。砂糖と蜂蜜の併用なのです。陛下にお出しになる際の砂糖は和三盆だったようですが、普通の砂糖でも代用可とされていました。

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ただ、やはり和三盆で作った方が美味しいらしく、「可能ならば和三盆で…」とあります。現代でも和三盆を多量に使うのは金銭面でのハードルが高いので、当時も一般の将校向けには普通の砂糖だったかもしれません。蜂蜜と砂糖をいかにミックスさせるかで後味が変わるとのこと。

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それが間宮で作られていたアイスなのかはわかりませんが、曽祖父もその1人ですが、普段は民間人である外部の職人をわざわざ集めて作っていたので、お召し艦のようなところでは海軍レシピまんまではないと思うわけです。曽祖父はお召し艦だけしか乗っていませんが、他の艦に呼ばれたこともあるとか。

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曽祖父は乗艦する度に艦長から感謝状を貰っていて、一番状態が良い（文面が確認できる）昭和10年の大演習参加のときはこんな感じでした。当時の艦長である大川内傳七大佐の名前も読み取れます。 http://t.co/udAIREjALg

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民間なので、乗艦するとこのような感謝状が発行され、「お召し艦で仕事をしましたよ」といった証明になるそうです。ただ、曽祖父は普段から御用邸で料理を作っていたので、そんなに価値を感じておらず、良い状態で保管されているものがあまりないのです。

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この感謝状は、比叡が参加した大演習を記録した写真集と一緒に残されていました。70年ぐらい前のものですが、銀行の貸金庫に保管されていたこともあって、保存状態はかなり良好です。奥付には昭和11年6月発行とあります。 http://t.co/Id2dd1mAOR

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アイスの話に戻りますと、これは今で言うところのアイスクリーム（乳脂肪分たっぷり）というより、シャーベット（氷菓）に近い感じみたいです。曽祖父が作ったものを食べたことがあるのはうちの母ですが、「現代でアイスクリンと呼ばれるものに近い」と言っていました。

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当時の比叡で将校向けに出していたのは洋食で、陛下もそれを食されることになっていたようなのですが、陛下が「口に合わなかった」とおっしゃられ、かなりのワガママを言ってうちの曽祖父を連れて行くということになったようです。外部から呼んだ洋食の方は主としてデサートを作っていたとか。

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で、曽祖父は「ケーキも食った、美味かった」、「アイスクリームがやたらと美味くて、職人から作り方を聞き出してみた」となり、そうした職人の作っていたケーキやらアイスやらのレシピが伝わる…ということになったみたいです。曽祖父の作った和食自体は陛下と供奉員、一部の統監部員が食べたとか。

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厨房は艦の中のやつを間借りするので、そのあたりの調整に統監部員が苦労させられた…みたいな話も残っています。結構面白いんだけど、俺が直接聞いたわけではない（俺が生まれた時点で曽祖父は亡くなっていた）ので、祖母や母からの伝聞ですが。

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感謝状には「品行方正」とあるのですが、曽祖父は飲む打つ買うをフルにやった人で、特にバクチは大好きだったようです。葉山の森戸神社境内でバクチをやったとか、そんな話もあったり。地元の警察が「陛下の料理人を賭博のような微罪で捕まえるわけにはいかない」と苦労させられたなんて話も。

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陛下から「連れて行く」と言われ、一番最初は「自分はフネが嫌いです」と答え、以後もかなりゴネたらしいけど、結局は押し切られて乗ることに。なので統監部員は「彼の機嫌を損ねないように」と、曽祖父が求めるままに艦のあちこちを見せて回ったとか。