「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード3 「ソウカイ・シンジケート」

B・ボンド&F・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台に繰り広げられるサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物のtwitter連載まとめ 第1巻「ネオサイタマ炎上」より
11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「500?」ラオモト=サンの口調が突然、セラミックカタナのように切れ味鋭いそれに変わった。たったそれだけで、周囲にいたクローンヤクザ4人が同時に失禁する。命の危機を感じたカタギ=サンは、素早く自らの過ちを認めた。「アイエエエ。大変失礼いたしました。1000ダースのタイプミスです」

2010-10-29 00:24:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ムハハハ! 1000! ムッハハハハハ!」ラオモトは再び温和な口調に戻り、鎖頭巾の奥に満足そうな笑みを浮かべた。カタギはほっと胸を撫で下ろす。だが、それから数秒も経たぬうちに再びラオモトの目元から笑いが消え、今日一度も見せたことのない目……恐るべきニンジャの目へと変わったのだ。

2010-10-29 00:31:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何かあったか、ダークニンジャ」とラオモトが呟く。 すると、彼の後ろに伸びる影の中に、いつの間にか見慣れぬニンジャが立て膝の姿勢で控えているのだった。 「報告いたします、バンディット=サンが戻りません」

2010-10-29 00:35:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

影の名はフジオ・カタクラ。ラオモト・カンの懐刀であり、ダークニンジャの通り名でも知られている。彼は、かのフジキド・ケンジを一度殺したニンジャでもあるが……それはまた別の機会に語られることだろう。

2010-10-29 00:40:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「計画の遅れは許されん。奴が戻らぬなら、おぬしがビホルダーに密書を届けよ」ラオモトはボンボリ3Dモニタの株価情報と時計とオイラン天気予報を同時に見ながら、苛立たしげに言った。「…バンディットにはニンジャスレイヤーなる妨害者の調査も命じてあった。何か関係があるやもしれん。注意せよ」

2010-10-29 00:48:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「御意」と残し、ダークニンジャは再び影の中に消える。 「不安にさせたかな、カタギ=サン?」うってかわって、ラオモトが猫を撫でるように優しげな口調で言った。「襲撃計画は必ずや実行に移される。ズバリ・ドリンクを頼んだぞ」 「ヨロコンデー!」出っ歯の小男は、いそいそと談合ルームを出た。

2010-10-29 00:59:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

談合ルームにはラオモトとクローンヤクザだけが残された。ラオモトは株価情報を注視しながらネコソギ・ファンド事務所とのホットラインを開き、ニンジャ頭巾に備わったインカムに囁く。彼の口元には、勝ち誇ったような笑みが刻まれていた。 「サカイエサン・トーフの株を、100万本ショートしろ」

2010-10-29 01:07:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ! 何たる謀略だろう。ソウカイ・シンジケートは、このように日本株式市場を背後からコントロールしているのだ。サカイエサン・トーフ工場はこのままラオモト・カンの陰謀によって破壊され、何十万もの罪無き人々が餓死してしまうのだろうか? 走れ! ニンジャスレイヤー! 走れ!

2010-10-29 01:15:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード3「ソウカイ・シンジケート」終わり。 エピソード4「ウシミツ・アワー・ライオット」に続く。

2010-10-29 01:29:44