正しくTogetter / min.tにログインできない不具合が発生中です。X側の修正をお待ちください(詳細はこちら)

「千の想いを」~「千代田と天龍」~

タイムライン上で繰り広げられる読者参加型艦これ二次創作ストーリー『千の想いを』 ~『千代田と天龍』~ 明かされる艦娘の想いをここにまとめます。 ←前 http://togetter.com/li/687386 次→ http://togetter.com/li/698594 続きを読む
1
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

【『千代田と天龍』開始】 【介入制限:…不可にする以前に入ろうと思えない筈】

2014-05-04 02:15:35
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ぞろぞろと姉達が部屋の外に出て行ったのを確認し、天龍が深く溜め息を吐く。 何に対しての嘆息なのかは本人にしかわかりようもない。 顔を横に向ける。 椅子に座ったままぐずつく…を通り越して泣き続ける千代田をじっと見詰める。 そしてもう一度肺の中の空気を吐き出した。 右腕は動かない。

2014-05-04 02:19:37
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

呆れたように告げる。 声は聞こえているのだろうが、相手は行動で言われた内容を遂行しようとはしない。いや、しようとはしているのかも知れないが、天龍には変化は見て取れなかった。 何度目になるかもわからない溜め息を吐く。 「ぐっ、えぐっ…、ごべ…ごめ、ん…あぐ」 見る。

2014-05-04 02:23:58
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「ごめん、ねてんりゅ、ぐ…えぅ、うあぁぁ…」 黙って見詰めていた。ちらりと扉に目を向ける。廊下ではどんなやりとりが展開されるのか、大体の見当はついていた。 …結果として、どうなるのかも。 千代田を見守る仕事に戻る。天龍の中に湧き続けたまま収まる気配の無い感情を無視する。

2014-05-04 02:27:36
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

何分そうしていただろうか。 廊下から伊勢の怒声が聴こえた。内容までは聞き取れない。 どうでもいいか。 天龍は独りごちて、ようやくの事落ち着いてきた千代田を延々と見詰める。 声を掛けると余計に泣かせるというのは、ここまでの時間で把握できた。 待つしかないようだ。構わない。

2014-05-04 02:29:58
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「…はぅ。 …うぅ」 ずびび、と鼻の啜る音を最後に、千代田が顔を上げる。 真っ赤になった目で、天龍を見、じわっ、と潤んだかと思うとすぐに顔を覆って泣き始めた。徐々に。本当に徐々にではあるが、波は落ち着いてきている。 まともに会話ができるのにはまだ当分かかるだろうが。

2014-05-04 02:33:22
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「あー…」 泣く、という行動は意外に体力を使う。もう8回目にもなる顔を上げる、という行為の後に袖で目元をごしごしと擦ってから、千代田が首を縦に大きく振る。 「も、だいじょぶ…。ごめ、てんりゅ…ずびっ」 子供かお前は。言ったら泣くんじゃないかと思い飲み込む。

2014-05-04 02:36:57
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

左手を差し出す。 手の平の上の黒をじぃ、と見下ろして、千代田がそれと天龍の顔を交互に見比べる。 初めて見せる左目をまじまじと見られたくなくて、思わず顔を背ける。 眼球は、あるのだ。 外見だけならば、無傷のままで。 ただ何も映さないだけで、彼女の左目は眼窩に納まっている。

2014-05-04 02:42:45
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

その言葉と意味に、うるっ、と涙目になる千代田だったが、こくこく、と頷いて眼帯を手に掴んだ。ずびび、と奇麗ではない音をこぼしながら、もそもそとベッドの上に靴を脱いで上がり込む。膝立ちでちょっとずつ、枕を潰しつつ天龍の背の後ろを回り込む。 細い指先が、天龍の耳に触れた。

2014-05-04 02:45:38
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

他人のどころか自分にすら巻いた事が無いのだろう。天龍が思っていた以上に苦戦する千代田に何度も声を掛け続ける。 ようやく結ぶだけ、の段階になってから天龍は右目を動かし、床に転がる紙袋から覗く白と黒の布を左手で指差す。 「…うん。ごめんね」 か細い声が、後ろ髪をくすぐる。

2014-05-04 02:49:05
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「だって…」 間。 「1から作ったりしてなければ、天龍が斬られるの、止められたかも知れないし…」 ああ、そういう事か。 合点がいくのに合わせて、彼女の言葉を胸中で反芻する。 作った? 作ったって言ったか今こいつ。

2014-05-04 02:51:19
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

右目は紙袋の中身を凝視したまま離れる気がしない。 「ん? うん…。ちょうちょ結びでいいの?」 結ぶだけなのにどれだけ時間がかかるんだと思っていたら、後ろであれこれと格闘していたらしい。 天龍が頷くと、わかった、と返して指先を改めて動かし始める。

2014-05-04 02:53:57
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

その一言を言うが為に、どれだけ勇気を振り絞ったか、相手はきっと気付かないんだろう。天龍は思う。 「うん、いいわよ別に」 紐を結び終えた千代田がよいしょよいしょと膝立ちで移動し始める。 廊下の喧騒はまだ続いているようだ。 千代田が動く度に、その豊満過ぎる胸が背に当たる。

2014-05-04 02:57:11
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

声。 「んー?」 身体を捻る。 「なに?」 すぐ目の前に、千代田がいた。 当たり前だ。 ぱちくりと赤い眼を瞬かせて、膝立ちのままで振り向いた天龍を見下ろしている。 「天龍?」 左手を。 「ちょ…」 彼女の背に回して、引き寄せる。

2014-05-04 03:00:41
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ぼふっ 天龍のふとももの上に、掛け布団を挟んで千代田が転がる。 強引に倒されて状況が飲み込めていないのか、天井の照明が眩しいのか、やたらと瞬きを繰り返している。 「な、何…?」 真っ赤に充血した瞳が。 まだかすかに赤い頬が。 柔らかそうな唇が。

2014-05-04 03:03:53
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

すんなりと言えた事に、驚いたのは本人だ。 言われた本人は傍目には驚いているようには見えなかった。

2014-05-04 03:04:53