刀語シリコンリミックス「珪素語~ケイソガタリ~」

無慈悲なる与太話マン、珪素さんに刀語の設定のみを紹介すると…
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珪素 @keiso_silicon14

無数の刀を携えた刺客、真庭喰鮫。その男は体術の渦動を武具へと伝播させ、武具の破壊と引き換えに膨大な威力を生む絶技、『忍法渦刀』の使い手であった。回避に徹し「弾数切れ」に持ち込むことで忍を退けた七花だが、去り際、喰鮫は不穏な一言を発する。「――我は、真に美しい刀が砕ける様が見たい」

2014-07-24 22:20:55
珪素 @keiso_silicon14

喰鮫の目的は、変体刀中、唯一「物量」の特性を許された、千刀【鍛】。持ち帰るのは一振りで良い。ならば、千の物量を持つ伝説の刀の九百九十九が砕ける様を。そして所有者の敦賀迷彩もまた、“渦刀”の美しさに魅せられた凶人であった。各々【鍛】を携えた狂信者を率い、彼らは鑢七花抹殺を狙う。

2014-07-24 22:25:01
珪素 @keiso_silicon14

「……如何に個の力が優れたものであったとしても、“軍”には勝てぬぞ、七花」「知らぬ。そしてこの修業」迷彩の信者に包囲された高山にて、七花は不可解な修行を課せられていた。「これが軍とやらを倒し得る策か、とがめ」打突を高める呼吸。基礎の基礎としか思えぬ。そして山狩りの時が迫っている。

2014-07-24 22:28:27
珪素 @keiso_silicon14

ついに包囲が狭まり、刻限の時が来た。2つの怪人が七花を狩りに来る。【鈍】を奪うため。強奪者たる七花を始末するため。そして何より……刹那の殺戮の美しさがために。そして一人の信者が、無造作に【鍛】を構え……「鑢七花。受けよ、奥義」――忍法“渦刀”。「……奴め!自らの技を与えたか!!」

2014-07-24 22:31:27
珪素 @keiso_silicon14

敦賀迷彩の統率の力。それが本物だとしても、あの喰鮫の技を信者全てに行き渡らせるとは、正気の沙汰ではない。動きは素人のそれであろうと、その尽くが必殺であり、そしてそれを放つ刀は全てがあの変体刀、【鍛】なのだ!手数と必殺の破壊力!逃げ場のない岩山に2人は追い込まれる……!!

2014-07-24 22:34:06
珪素 @keiso_silicon14

「……どうした。臆したかとがめ。息が荒いぞ」「は。七花、貴様こそどうだ。――修行の成果は」とがめは笑った。「対軍の奥義、今こそ見せてみよ」七花は、幾度と無く鍛錬した“呼吸”を開始する。群れで囲む信者。僅かな間ならば、己一人で凌げよう。しかし、とがめを守っていては……

2014-07-24 22:37:04
珪素 @keiso_silicon14

……だが、七花は躊躇なく走った。狙うは敵の統率の要、敦賀迷彩一人。同時に、海を成す軍勢が七花ととがめに雪崩かかり……。……よろけて、倒れた。「何が起こった」「これは」喰鮫と迷彩は、その時同時に悟った。これは。己達が追い込んでいたのではない。岩山。この地形。「――毒気か!!」

2014-07-24 22:39:02
珪素 @keiso_silicon14

――そう。この数日、七花が繰り返し鍛錬してきた“呼吸”は、酸素を取り込むためのそれではない。その逆。僅かな呼吸のみで生体を駆動させる“呼吸をせぬ呼吸”の鍛錬である……!火山ガスで満たされ、軍が崩れる中、七花の拳が敦賀迷彩を捉える!追い込まれた最初の一手より、これが、奇策士の奇策!

2014-07-24 22:40:56
珪素 @keiso_silicon14

「どうだ、喰鮫。個の力が、軍を破ったであろう?」自らも毒気に呼吸を乱しつつも、とがめは不敵に笑ってみせるのであった。無念の内に撤退する喰鮫。七花ととがめ、二者は千刀【鍛】を、単騎の力で得た。

2014-07-24 22:43:17

薄刀『針』

森田 @amehurasu

@keiso_silicon14 続いて第四の剣・薄刀【針】。究極の『軽さ』と『薄さ』、そして『脆弱さ』も併せ持つ刀。所有者は日本最強剣士・錆白兵。七花以上の腕前を持つという七花の姉、鑢七実。そして真庭忍軍十二頭領「忍法爪合わせ」の蟷螂、「足軽」の蝶々、「菱巻指弾」の蜜蜂が登場。

2014-07-24 22:53:21
珪素 @keiso_silicon14

究極の脆弱さを誇る変体刀、【針】。日本において唯一その刀を破壊せずに揮うことのできる最強の剣士、錆白兵。無論真庭忍軍にあって、この男こそが最も警戒された所有者である。【鈍】【鍛】の奪略作戦と同時、真庭忍軍は白兵に対し、三人もの頭領を同時に差し向けていた。

2014-07-24 23:45:44
珪素 @keiso_silicon14

白鷺の情報偵察が持ち帰った白兵の力、正面戦闘での打倒は不可能との結論にしかならぬ。故に蝶々が躱し、その隙に蟷螂が刃筋を留め、そして蜜蜂が刺す!十二頭領三者で初めて互角となる、それが日本最強剣士の実力である……!……しかし。

2014-07-24 23:50:53
珪素 @keiso_silicon14

それは相手の刃筋を完全に模倣し止める、唯一【針】を破壊せぬままの「鍔迫り」を可能とする“爪合わせ”の蟷螂。己の重量をゼロと化すことで、最軽最速の剣すらも木の葉の如く流し受ける“足軽”の蝶々。そして、最強の至近戦能力を持つ錆白兵を超長距離より弾き仕留める“菱巻指弾”の蜜蜂。

2014-07-24 23:47:39
珪素 @keiso_silicon14

……白兵の元に向かった彼らが遭遇したのは、【針】を持つ日本最強剣士ではなかった。女、それも、無刀の。「――お主ら」にも関わらず、三者は脅威を覚える。「刀を追っておるな」――それが鑢七花の同門、鑢七実であった。

2014-07-24 23:55:40
珪素 @keiso_silicon14

“爪合わせ”が通じぬ。その変幻自在の拳に、刃筋はないからだ。“足軽”で受けられぬ。その爪が掴み引き裂くからだ。そして理外の戦闘者の六感と経験の前には、必殺の狙撃“菱巻指弾”すらも当たらぬ!「……死ね。全て死ね。刀も七花も、この世に許せぬ!」七実の目的は唯一つ……七花抹殺!!

2014-07-24 23:59:03
珪素 @keiso_silicon14

狂気に駆られた同門の姉、七実。その存在は、何よりも七花にとって恐怖の対象であった。「姉」無感情に見えた肩が、初めて震える。怒り、恐怖。旅の中、少しずつ七花に人間の感情が開きつつある。「姉、さん、だと。とがめ」「……その通り。貴様の姉よ。それが、ここにいる」

2014-07-25 01:33:44
珪素 @keiso_silicon14

とがめが故意に流した情報を辿り、錆白兵に至った七実。「貴様が白兵……それが【針】か。お主を縊り殺せば」日本最強の剣士を前にして、凄絶に笑うのであった。「七花は嘆いてくれるかのう?」対し白兵は、薄く微笑むのみである。「……やれやれ」「僕は、本当に……人を斬りたくなどないのに――」

2014-07-25 01:51:26
珪素 @keiso_silicon14

「【針】を得るにはこの手段しかない。今、この場この時しか!」とがめの眼力は既に知っていた。仮に真庭忍軍十二頭領の三を運用したところで、到底錆白兵には拮抗し得ぬ。「最強の剣士と至強の拳士!両者交錯した、その場……その時こそ、横合いより」――貴様が討ち取るのだ、鑢七花!

2014-07-25 01:41:57
珪素 @keiso_silicon14

……それは同じく最強たる彼女の影を克服せんがための恐怖ではなかったか?自らの拳が、今ならば過去の幻を打ち破れると。――しかしとがめは、無情に告げるのであった。「鑢七花。貴様では、錆白兵を討てぬ。最強の技に、最鋭の刀。……故に」「――貴様が、呼んだか。姉さんを」「聞け!!」

2014-07-25 01:38:50
珪素 @keiso_silicon14

殺戮、死、そして虚刀流の技とそれを学んだ者の末路。全てを幼い七花に直視させ、そして去った恐怖。恐怖の感情を開いたのも彼女ならば、彼の感情を閉じたのもまた、鑢七実そのものである。七花は【針】を追っていたはずだ。今こそこの無刀で、最強の剣士、錆白兵を仕遂げると。

2014-07-25 01:37:05
珪素 @keiso_silicon14

壮絶な死闘。七花の知る次元を超えるかのような。尋常ならぬ眼前の気に紛れ、陰に潜む七花の気配は、虚刀の技により見えぬ。(……討てというのか)情報戦。共犯。毒気。とがめの指揮の下、武道に悖る様々な卑劣を行ってきた。しかし、それでも。(姉さんを策に用いて……俺が討てというのか)

2014-07-25 01:59:20
珪素 @keiso_silicon14

動くか、動かざるべきか。討つべきは、七実か、白兵か。【針】を得る使命は……とがめの奇策とやらは、鑢七花のささやかな自我を引き換えにしても、優先せねばならぬことなのか。暗がりに隠れながら、七花は恐怖の中で迷う。彼は決断することができず、時だけが過ぎる。とがめに信頼を預けられた時が。

2014-07-25 02:01:55
珪素 @keiso_silicon14

七実は無数の斬撃刺突を受けながらも全て致命にならぬ部位で受け、一方白兵は刃圏の間合いそのものに立ち入らせぬ。しかし七花の目に、いまだ七実の気迫が恐怖に映るのは錯覚か。(姉さん)情は捨てるべし。敵は日本最強の剣士。姉が自分以外の敵に。……任務を。(暗殺すべし。今……今、こそ。)

2014-07-25 02:32:26
珪素 @keiso_silicon14

白兵が振った【針】。その刃が止まった。「――薄刀【針】」片目が爆ぜ、両の指は原型を留めぬ有様ではあったが、それは。「捉え、たり!」――忍法“爪合わせ”。真庭蟷螂!瞬息、七実の拳が白兵の臓腑を撃ち抜く!背が廃屋の壁板を割り、【針】が舞う。宙でそれを捕える者あり。“足軽”。蝶々!

2014-07-25 02:35:59