刀語シリコンリミックス「珪素語~ケイソガタリ~」

無慈悲なる与太話マン、珪素さんに刀語の設定のみを紹介すると…
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珪素 @keiso_silicon14

「くはははははは!」七実の笑いが響く。「日本最強、錆白兵……討ち取った!」横合いから最強を討つ奇策。それを用いたのはとがめ一人のみではなかった。七実は、敢えて忍の2人の息の根を止めず。頭脳と暴力が同居する悪意。鑢七花以上の技を持ちながら、その道を外した……これが邪道の拳!

2014-07-25 02:41:04
珪素 @keiso_silicon14

七花は絶望の虚脱から抜け出し、弾かれた如く蝶々を追った。そして、白兵と七実が残る。「傲岸か……武力のみで、全てを斬れると信じてしまった、僕の」座り込み、血を吐く白兵。「戯けめ。その手に武を持って、修羅の理すら覆せると思うたか」「人を」吐血。「人を、斬りたくはない。」

2014-07-25 02:48:47
珪素 @keiso_silicon14

七実は気付いていた。この場に七花が潜むことも。白兵が自らに注意を引きつけ続けようと、背を狙う敵を守り……そして眼前の敵である七実すらも、“殺さず”終わらせようとしていた……圧倒的な剣技からくるその自負、傲慢さを。「七花を逃したぞ、貴様のせいで」

2014-07-25 02:52:43
珪素 @keiso_silicon14

「……強く。誰よりも強い剣でなければ、殺さず終わる事はできぬ」――だからこそ、日本最強に。「自らより弱き者を、全て殺すつもりか、鑢七実」「虚刀は殺人の拳。殺す他の道を選ぶ自由など……だが、……だが、そうではない」影に落ちる廃屋の中、七実は白兵を討つ。「私が望むものは、ただ――」

2014-07-25 02:57:15
珪素 @keiso_silicon14

……そして、雨の降りしきる中。鑢七花は抜け殻のような精神で、【針】を持ち逃げる蟷螂と、蝶々を討ち殺した。幼少以来、再び精神が死したかのような無力感。「……とがめ」虚しく手に入れた【針】は、まるで今の七花の精神の如く、脆い刀に見えた。「もはや、貴様の元に戻れぬ」薄刀【針】、完。

2014-07-25 03:00:07

薄刀『針』から賊刀『鎧』まで幕間

森田 @amehurasu

今宵のアルティメッツ刀語、ここまでにございます(池田昌子ボイス)

2014-07-25 03:06:23
珪素 @keiso_silicon14

そういや真庭忍軍がなんで刀狙ってたのかも曖昧な記憶のまま書いてたけど、これ否定姫さんが差し向けてたってことなのかなあ。

2014-07-25 03:17:28

賊刀『鎧』

森田 @amehurasu

@keiso_silicon14 次回は第五の剣・賊刀【鎧】。所有者は海賊・校倉必。真庭忍軍十二頭領の一人にして真庭里の総帥、『忍法断罪円』の使い手真庭鳳凰、そしてとがめの上司であり政敵、否定姫とその部下左右田右門左衛門が登場。

2014-07-25 03:15:16
森田 @amehurasu

@keiso_silicon14 あ、賊刀の特性は、絶対的な『防御力』です。

2014-07-25 03:16:24
珪素 @keiso_silicon14

唯一信ずるに値した刀、鑢七花の裏切りに遭い、【針】を逸失したとがめは、その責を問われ牢に捕われる。否定姫は、とがめを殺すことはないだろう。左右田右門左衛門という最強の手駒を携える彼女にとって暗殺という手段は余りに容易く、それは彼女にとって政治的な勝利ではない。

2014-07-25 03:24:20
珪素 @keiso_silicon14

だが、全ての手段を失ってなお不敵な笑みを浮かべるとがめの様は、否定姫以外の全ての者に不気味と脅威を与えていた。……彼女は、七花を信じているのか。既に他の手駒があるのか。あるいは、想像だにできぬ奇策を既に仕向けているのか。

2014-07-25 03:25:52
珪素 @keiso_silicon14

一方、一人放浪する七花は、浪人めいた一人の男と船に乗り合い、成り行きで同行する。「名はなんという」「鑢。……七花」「そうか。俺は鳳凰」無論――互い、その正体素性について勘付きながらも、行く宛のない七花は、気ままな鳳凰と共に茶屋で腰を休め、風景を見下ろし、漁村へとたどり着く。

2014-07-25 03:31:15
珪素 @keiso_silicon14

「この海には、賊が出るという話だ」「……そうか」「妙な【鎧】を遣うらしい。おもしろいのう、七花。貴様ならば何とする」「……」 「虚刀――ただの拳ではないのだろう」変体刀の一、賊刀。その在り処を知った上で、鳳凰はこの村へと。「……真庭に入らぬか、貴様」

2014-07-25 03:36:17
珪素 @keiso_silicon14

「――鑢七花は、危険にござります」その晩。手酌で酒を嗜む鳳凰に、戸裏から語りかける声があった。「ほう。俺の眼を疑るか、白鷺」「否。鑢自身ではありませぬ」真庭白鷺。無論首領の前に姿を晒すことはない。「とがめという女、奇策士の名は伊達ではなく――如何なる策を、七花に仕込んでいるか」

2014-07-25 03:56:18
珪素 @keiso_silicon14

それも良いかも知れぬ。一振りの【針】と引き換えに、とがめという頭脳を喪った。己に残ったものは、ただの暴力のみ。ならば組織に属し、虚刀を揮うのも面白かろう……。「蝙蝠。蟷螂。蝶々。貴様らの仲間の名だ。彼奴らの死はどうする」「任務よ。全て任務ならば、恨みも無し……貴様と同じくな」

2014-07-25 03:41:08
珪素 @keiso_silicon14

「ふふ。自らは幽閉され、江戸と遠く隔たれたこの地に、その奇策とやらで神通力でも起こすか」「……やも、しれませぬ。とがめ程の敵であれば、【鎧】の在所も掴んでいたでありましょう」「……だが今や、我らを討とうと校倉必を討とうと、とがめに益はなし」「は」

2014-07-25 04:01:11
珪素 @keiso_silicon14

……真庭を討ったとて、とがめが【鎧】を得ることはできぬ。そして校倉を討ったとて、【鎧】は真庭の手に渡るのみ。いずれにせよ、もはや政敵は万策尽きた。「しかし、面白い」「……」「ふふ。仮に在るとしたら――俺の目で見たいものよ、その大仕掛け」校倉抹殺。決行は翌日である。

2014-07-25 04:03:33
珪素 @keiso_silicon14

群鳥の影が映る海。その船上。「遂にこの己を討ちに来たか、忍共」校倉必は真庭忍軍の刺客を受けて立つ構えである。“断罪円”の鳳凰。“逆鱗探し”の白鷺。そして――。「ふ、ふ。どちらが賊か、分からぬものよな」鳳凰は遠く桟橋に座る。校倉に相対するのは、見た目には一人……鑢七花のみである。

2014-07-25 04:24:09
珪素 @keiso_silicon14

いつかの大火で全身が爛れ、以来【鎧】に肌を隠し、無法の賊に成り下がった男であるという。「……貰うとするぞ、貴様の【鎧】」七花は構える。条件は【鉋】の時と動揺。“勁”などは用い得ぬ――。【鎧】は全て装甲にして刃を兼ね、打、投、極のいずれを以っても拳を苛む、無刀に対して最悪の刀。

2014-07-25 04:29:02
珪素 @keiso_silicon14

それは白鷺にしても同様。この時代において持ち得る個人火力を凌駕する防御性能は、“逆鱗探し”を持ってしても「見えど通じぬ」敵の二人目である。白鷺と七花。かつて宇練銀閣を破ったこの手練すら及ばぬ、最も堅固な要塞。故に、首領がこの場に来た。白鷺らはその技量の程を見せねばならぬ。

2014-07-25 04:38:21