ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100209:デス・オブ・アキレス #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
1
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「棄てられた力だと」「そうとも。Y2Kは大きな悲劇だった。電子的・物理的騒乱のなか、かの場所との接続は断たれたのだ。だがそれは消えたのではない。いまだ在る。人類は接続を取り戻さねばならぬ。多少の犠牲はやむを得ん。君の見解は違うだろうが……とにかくロケットはそのために飛んだ」 45

2014-07-27 18:54:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『我々はフジキドの通っていたハイスクールを突き止めました。ソザワ・ハイスクール!点と線を辿り、かつての担任教諭、マイヤマ=サンの実家……』「そして、月は応えた」メフィストフェレスは言った。「リンケージは再び定められた。当然それでは不十分。更なる宇宙計画が必要だ」「何を企む」 46

2014-07-27 19:04:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「鷲の一族の……アガメムノンの一族の再興だよ」メフィストフェレスはギラつく眼差しを向けた。「月はその鍵となる。アマクダリ・セクトは世界を征服するだろう」「鷲の一族」「知らぬのも当然だ。市井の人々には明かされぬ秘密」メフィストフェレスは言った。「君は今、重大な秘密を受け取った」47

2014-07-27 19:30:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【10100228】。「何故明かした」「言っておろう!君の誠実さを、力を買っているのだ!」メフィストフェレスは身を乗り出した。「私は鷲の一族ではない。それはアガメムノンただ一人だ。わかるかね?この私にとって、それは実際あまり面白い話ではないだろう……」「裏切るというのか」 48

2014-07-27 19:40:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「否。私は裏切らぬ。アガメムノンが目的を達成すれば、それはそれで、なかなかの未来だ」メフィストフェレスは言った。「だが、最善の未来をなお確保するのも良い。君が万に一つアガメムノンを打倒すれば……実にいい。ゆえに投資をしよう。リスクヘッジとして、君に力を貸すのだ」悪魔は笑った。49

2014-07-27 19:48:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だと」「力を貸そう、ニンジャスレイヤー=サン!何がほしい。時間がないぞ。整理しよう」彼の手には何の変哲もないオフィス用紙があった。彼はそれをテーブルに置いた。「まず……そうだな。当座の資金を振り込もう」彼は万年筆で数字を書き込んだ。「他の十二人の情報はどうかね?」50

2014-07-27 19:57:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メフィストフェレスはやや思案し、スパルタカス、と書いた。「まずこの男スパルタカスについて君は知っておかねばなるまい。数十分後にはおそらくぶつかり合う相手だ。彼は古代ローマカラテの総元締めだ。古代ローマカラテは五つの構えを持つ。獅子、鷹、馬、一角獣、そして、龍だ!」51

2014-07-27 20:06:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「古代ローマカラテの真髄は隠匿されている。とくに一角獣と龍をモノにしているのは現代においてスパルタカスただ一人。よいか、奴の一角獣の構え。そこから繰り出されるのは……」メフィストフェレスは言葉を切った。「済まん。つい話を急いた。約束の全貌を見せねばフェアではない」 52

2014-07-27 20:14:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼はスパルタカスの名の下に「スターゲイザー」と書いた。「奴は無敵。通常の方法で滅ぼす事はできん」目を細めニンジャスレイヤーを見る。「……そこまでは知っているようだな」「……」ニンジャスレイヤーは沈黙を持って是認した。悪魔は笑った。「この際、君に12人を相当数減らしてもらおう」53

2014-07-27 20:17:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メフィストフェレスはスパルタカスの下にキュア、ハーヴェスターの名を並べた。「私とて全員の情報を掴んではおらんぞ。未来を切り拓くのは君のカラテだ。わかっておろうがな……だが……」メフィストフェレスは髭をしごいた。「これが最も重要だろう」アガメムノン。彼は強く書き記した。 54

2014-07-27 20:23:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私は胸襟を開いて君と話している」メフィストフェレスは胸に手を当てた。「解りあおう。君の力を貸してほしい。君を助けるために、私を助けてほしい」彼はソファを立ち、ニンジャスレイヤーの手を取った。そして万年筆を握らせた。「いざ、協力関係を」「……」フジキドは用紙に屈み込んだ。 55

2014-07-27 20:29:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「君の同意があり次第、私はここに記した者たちにまつわるすべてのデータを渡す準備がある」「……」『マイヤマ=サン!マイヤマ=センセイ!ダメですよ無視は。あなた血も涙もないんですか?』TVからはライブ中継映像だ。『こんな夜中に迷惑を考えろ!』『迷惑は全国民ですよマイヤマ=サン!』56

2014-07-27 20:33:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『何の用だ』ナイトキャップを被った痩せた男は、レポーターのライトに目を細めた。『わかってるくせに!フジキド・ケンジの事です!』『ああ……フジキド・ケンジか』マイヤマは言った。『覚えているとも』『そうでしょう!どんな悪の芽が!』『フジキド=サンは実直で真面目な少年だった』 57

2014-07-27 20:38:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『なるほど!その真面目さの奥底に悪魔的破壊衝動を……』『フジキド=サン。見ているか』『何を言って……』『真実は君の口から語りなさい。そンなら、私は聞こう。だが、それができないならば……』『貴方ねえ!』『この様子じゃ、随分大きな存在を敵に回してしまったなあ。フジキド=サン』 58

2014-07-27 20:45:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『スタジオにお返しします、なんかダメだこりゃ……』『フジキド=サン!悪しきことをしたならば、反省しなさい。だが、君が卑劣非道の男に成り下がるなど、私ゃ信じてないぞ』『スタジオ戻します!早く!』『フジキド=サン!これまでもこれからも誠実であれ!カラダニキヲツケ……』 59

2014-07-27 20:50:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

画面には絶句したミチグラが口を半開きにして止まっていた。我に帰り、ボリューム感のある髪を撫でつけながら、剣呑な言葉を投げ始めた。しかしフジキドの耳にはもはやそれは届かなかった。「どうした!」メフィストフェレスが万年筆を持つ手に己の手を添えた。「書き方がわからんかね?さあ!」 60

2014-07-27 20:56:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((見えたッ!)))ナラクの笑いがフジキドのニューロンに響き渡った。(((グハハハ!ハ!耳も腐る思いで黙っておった甲斐があった!此奴の用心も、成功の焦りを前に揺らぎおったわ!フジキド!この者のニンジャソウルはカルマ・ニンジャだ!応ええい!)))「グワーッ!」 61

2014-07-27 21:06:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メフィストフェレスは呻き声をあげ、反射的に素早く身を引いた。熱である。万年筆が熱の塊と化していたのである。「どうした!ニンジャスレイヤー=サン!」(((フジキド!カルマ・ニンジャはタイジン・ジツの創始者だ。ゴジョ・ゴヨク・コトワリを操り、言葉と礼儀で相手を縛りつける!))) 62

2014-07-27 21:11:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「成る程、それがNARAKUか……興味深い」メフィストフェレスは焦げた手をさすりながら、後ずさった。「君の内なるニンジャソウル……そういう反応をするのだな……興味深い。だが、理性的であれ。ニンジャスレイヤー=サン。内なる邪悪なニンジャソウルに呑まれれば、真の敵は倒せぬぞ」 63

2014-07-27 21:21:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ゴジョとはすなわち、喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、恐怖!ゴヨクとは、食欲、性欲、名誉欲、金欲、そして風流なり!フジキド!その紙切れ一枚でオヌシはあの者の奴隷に成り下がるところであった。ニンジャの奴隷にな……!)))「真の敵を知れ、ニンジャスレイヤー=サン。目を曇らせるな」64

2014-07-27 21:27:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはテーブルの紙切れを取った。彼の指先が触れた部分から赤黒い炎が上がり、一瞬にして紙切れは燃え崩れた。メフィストフェレスは首を傾げた。「君はニンジャならば全て無思考で殺害するモンスターではあるまい。理性を失えば、それは君の敗北を意味するぞ。フジキド=サン」65

2014-07-27 21:33:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その通りだ」ニンジャスレイヤーは答えた。「そして、私はオヌシを今ここで殺す。時間切れだ。メフィストフェレス=サン」「みすみす私のオファーを捨てるのか?後悔する事になるぞ」ニンジャスレイヤーは一歩踏み出す。「もはや、殺せと言わんのだな」「残念なのだ。アガメムノンを倒せぬぞ」66

2014-07-27 21:40:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間切れだ。メフィストフェレス=サン」ニンジャスレイヤーは繰り返した。メフィストフェレスはさらに後ずさった。「ナンシー・リーの真の目的は?胡乱な過去を持つ女だ。君を道具として己の目的の為に振り回す存在だ。君の邪悪なニンジャソウル同様に。君の側に、確かなものは何もない!」 67

2014-07-27 21:48:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは微笑した。そしてまた一歩踏み出す。メフィストフェレスは言った。「よした方がいいぞ……私は十二人の一人……私は重要な協力者となろう……」ニンジャスレイヤーは赤黒の炎を瞳に閃かせた。「私がオヌシからこれ以上の情報を引き出す事はできないようだ」68

2014-07-27 21:52:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メフィストフェレスは息を吐いた。顔を上げてニンジャスレイヤーを見た。「残念ながら、その通りだ。ニンジャスレイヤー=サン」冷笑をメンポが覆った。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは踏み込んだ。「イヤーッ!」メフィストフェレスは断頭チョップを繰り出す! 69

2014-07-27 21:55:06